ページをめくる手が止まらないおすすめ小説20選【2021年版】

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おうち時間が増え、小説を読み始めた方も多いそうです。おもしろい小説に出会いたい、どの小説を読めばいいのかわからない、誰かがおすすめする小説を読みたいなど、今、読むべき小説を探しているという方におすすめ!読んで損はなし、読みやすさ重視でおすすめの小説をジャンル別にセレクト。次の読書時間の参考に、ぜひ!

今日は何を読む?面白いおすすめ小説

小説を読むとき、みなさんはどんな基準で作品選びをしていますか? 作家で、シリーズで、その日の気分や好きなジャンル、話題性など、選ぶ基準はさまざまです。私自身は、書影や読みやすさで本を選ぶこともあります。人気作・話題作は、メディアミックス展開される作品も多く、映画やドラマ、アニメなどの映像化作品を観て、原作が気になる! とチェックする方も多いのではないでしょうか。紙の本で読むもよし、電子書籍で読むもよし。定番から新作まで、胸キュンありからほろ苦な恋愛もの、想像力は果てしなく膨らむSFもの、衝撃のどんでん返しありのミステリーや自分の思い出と重ねたくなる青春もの、過去に生きた“かもしれない”人々の思いを知ることができる歴史・時代系ジャンルから、おすすめ小説を紹介します。

胸キュン、ピュア、ほろ苦まで「恋愛小説編」

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦(著)

<あらすじ>
物語の舞台は京都。主人公「先輩」は大学生の男で、後輩の「黒髪の乙女」に片思い中。恋を成就させるため、彼女に気づいてほしいと願う「先輩」は、彼女の視界に入るべく日々奮闘するものの、なかなかうまくいきません。彼女との偶然の「出会い」を演出しても、とことん鈍い彼女は、本当の「偶然」と受け取り、なかなか気持ちは届かず。超がつくほどの個性的なキャラクターが登場し、突飛な出来事が次々と起こる、独特の世界観が描かれます。

<おすすめポイント>
ストーリーはシンプルながら、主人公をはじめ登場人物のクセが強い! 独特な作風の森見智彦作品ですが、ハマってしまったら抜け出せない中毒性が魅力。普通の恋愛小説では物足りないという方におすすめです。山本周五郎賞受賞、直木賞ノミネート、本屋大賞第2位など、高い評価を受けるベストセラー作品。アニメーション映画化もされ、主人公「先輩」の声を星野源が担当しています。

<ここもチェック!>
語り手が交互に入れ替わるリズム感も魅力。大好きなお酒を追求する「黒髪の乙女」と、その彼女が大好きな「先輩」。ニアミス続きの関係性が交わる展開は来るのか? ブックマークいらずの一気読みできる恋愛小説です。不思議な世界観が気に入った方には、森見作品『四畳半神話大系』『きつねのはなし』『有頂天家族』なども手にとってみて!



『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』七月隆文(著)

<あらすじ>
舞台は京都。美大に通うぼくは一目惚れをした女の子は高嶺の花。意を決して声をかけ交際にこぎつけたが、気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていたのです。奇跡の運命でむずばれた二人を描く、甘く切ない恋愛物語です。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」彼女のセリフ、不思議な言動に隠された秘密とは?
 
<おすすめポイント>
電車で一目惚れした女性に、駅で告白。彼にとっては新たな恋の始まりですが、彼女にとっては……。デートシーンで登場するスポットは、京都の名所の数々。男子大学生の甘くてキラキラした恋愛のお話、かと思いきや、衝撃的な結末が待っています。彼女の秘密を知ったとき、もう一度読み返してみたくなるとの声が多い一冊です。

<ここもチェック!>
2016年に福士蒼汰×小松菜奈主演で映画化された切ないラブストーリー。時の奇跡を描いたちょっと不思議なタイトルが印象的です。ファンタジー要素が強めの作品ですが、二人の幸せを本気で願わずにはいられません。二人の出来事を書き出して、時系列を整理しながら読むという楽しみ方もおすすめです。


『恋愛中毒』山本文緒(著)

<あらすじ>
主人公の水無月は、過恋愛で失敗を繰り返した過去を持つ女性。愛した男にストーカー行為を繰り返してしまう、一途さが強すぎるタイプ。人を愛してしまうと感情のコントロールができない水無月は、抑えられない衝動を抑制するために、人を愛さないと誓います。そんな彼女の目の前に現れたのが小説家の創路。水無月が尊敬する小説家で、親子ほど年も離れています。そのうえ、妻の他に何人も愛人があるというモテ男。人を愛さないと決めた水無月が次第に創路に惹かれてしまいーー。

<おすすめポイント>
吉川英治文学新人賞受賞作で、恋愛小説の最高傑作として人気の高い作品です。甘酸っぱさや、甘さよりも、ヒリヒリ、ピリピリと痛みを感じる恋愛ものが好きな方におすすめ。読み進める中で、急に変わる視点に最初は戸惑いつつも、いつの間にかハマる! 一見普通の女性の狂気が描かれ、普通に見える人ほど怖さを秘めていると再確認させられます。普通が一番怖いのかも!?

<ここもチェック!>
読み終わった後、新たな展開がまた始まるのでは? と思わせるゾクゾク感あり! 冷静に読むと人を愛する気持ちは理解できても、主人公の行動は理解できないと思えるのに、どこか共感できそうな気がしてしまうところに、心を惹きつけるおもしろさを感じる作品です。


『ツ、イ、ラ、ク』姫野カオルコ

<あらすじ>
中学生の森本隼子が恋に落ちたのは、国語教師。生徒と教師の禁断の愛を描いた激しさありの純愛小説です。何もない小さな田舎町で出会い、恋をして、傷ついた少女。自分ではどうしようもない感情に堕ちてゆく少女の行先とはーー。主人公が小学生の頃から大人へと成長していく物語が描かれます。

<おすすめポイント>
大人になれば大したことのない「歳の差」問題は、少女時代にはあまりにも大きすぎるもの。時が流れ、その愛が本物だったのかどうか、答え合わせまではいかないけれど、それもひとつの恋愛と思わせてくれる終わり方は、悪くない!

<ここもチェック!>
小学生、中学生時代の自分の立ち位置はどうだったのか、などを思い出させる作品です。残酷さも切なさも、痛みも、自分にはあまりわからない世界かもと思う一方で、もしかして実は自分の身近にもあった話なのか、と妙にリアルに感じてしまう作品でもあります。


想像するだけでワクワクが止まらない!「SF小説編」

『時をかける少女』筒井康隆(著)

<あらすじ>
主人公・芳山和子は中学3年生。ある日、クラスメイトの深町一夫、浅倉吾朗とともに理科室の掃除をしていた和子は、物音を聞き、実験室のドアを開けます。ガラスが割れる音と同時に人影を見ますが、割れた試験管からこぼれ出た液体から発せられるラベンダーの香りを嗅いだ和子は、意識を失ってしまいます。目を覚ました和子の周囲では、時間と記憶を廻奇妙な事件が次々と起こるのですが、翌日には同じ風景が繰り返されていることに気付きます。タイプリープができる体になった和子が出会ったのはーー。

<おすすめポイント>
説明不要の超人気タイムトラベル系SF小説です。結末がわかっていても、何度も読み返したくなる一冊。何度も映像化、アニメ化された人気作で、映画版には小説の内容に近い形で描かれた大林宣彦監督、原田知世主演版や、アニメ版で主人公の声を務めた仲里依紗主演版があります。

<ここもチェック!>
1967年に発行された小説ということもあり、時代を感じる背景の描かれ方も注目ポイント。キャラクターの独特な語り口調なところにも、ノスタルジックを感じます。一緒に収録されている『悪夢の真相』『果てしない多元宇宙』もおすすめです。


『きまぐれロボット』星新一(著)

<あらすじ>
お金持ちの主人公エヌは博士が作った最高傑作の万能ロボットを購入します。料理を作り、部屋を片付け、話し相手にもなってくれるロボットですが、とてもきまぐれで、突然暴れ出したり、エヌの元から逃げ出してしまう、ちょっと困った一面を持っています。エヌはロボットを作った博士に「ひどいロボットを買わされた!」と文句を言いますが、博士の答えは「それでいい」の一点張り。やがて、ロボットと暮らすえぬに、ある転機が訪れてーー。

<おすすめポイント>
イチオシポイントは、1話3ページほどの短いお話が35話収められている短編集ということ。大人にもおすすめですが、子どもにも読みやすい作品なので、親子で楽しめる一冊です。お話がたくさんあるので、飽きずに読み進めることができます。

<ここもチェック!>
ロボットや発明(しかも脱力してしまうようなくだらない系もあり!)にまつわるお話なので、SFジャンルに分類しましたが、ガッツリSFモノを求めている方には物足りなさを感じるかもしれません。しかし! 教訓めいた結末がじわじわくる魅力溢れる一冊です。


『流星ワゴン』重松清

<あらすじ>
会社からリストラされ、妻からは離婚を切り出され、何もかもやる気をなくし、人生に絶望を感じている主人公の永田一雄のもとに、父親が病気で入院しているという連絡が入ります。父親のことをあまりよく思っていなかった一雄が、見舞い後に出会ったのは、5年前に交通事故死した父子が乗る不思議なワゴン。そして、一雄は自分と同い年の父親に出会いーー。時空を超えてワゴンがめぐる、人生の岐路になった場所への旅が描かれます。やり直しは、叶えられるのでしょうか?

<おすすめポイント>
内容はシリアスで、シビアでとても現実的です。タイムマシンで時空をめぐると聞くと、とてもファンタジーな世界を想像しがちですが、「過去に戻ってやり直そう、ハッピーになろう!」という短絡的な物語ではありません。主人公が問題解決のために、必死に体当たりする姿がとても印象的で、胸を打ちます。どこで間違ってしまったのか、あのときこうしていればと過去を振り返ることは、誰にでもよくあること。しかし、過去は振り返るためではなく、前を向くためにあると教えられる、そんなお話です。

<ここもチェック!>
西島秀俊×香川照之共演でドラマ化もされた話題作。ご都合主義ですべてがうまくいきましたとさ、とハッピーエンドにならず、現実は何も変わらないけれど、見方を変える、見ていなかった部分に気づくことで、前を向くところが心地よい!

 


『ナミヤ雑貨店の奇蹟』東野圭吾(著)

<あらすじ>
「ナミヤ雑貨店」に訪れたコソ泥3人組は、突然雑貨店に閉じ込められてしまいます。そこに投げ込まれる手紙には、将来に不安を抱く女性や、現実と夢の間で揺れ動く男性などの悩みが書き込まれています。人生の岐路に立った人たちとの、過去と現在を超え、温かな手紙交換がスタート。一見、繋がりのない人たちが、奇跡のようにつながり合う、心震わす物語が描かれます。

<おすすめポイント>
なぜか悩み事に向き合うことになったコソ泥3人組。悩みは1話形式となっていて、とても読みやすい! ミステリーやサスペンス小説を多く手がける東野圭吾によるSFの世界は、一味違う! 張り巡らされた伏線を鮮やかに回収していくところに、読み応えを感じる作品です。

<ここもチェック!>
山田涼介主演で映画化されたヒット作で、舞台化もされた人気作です。手紙を書く機会が少なくなってきた今、手紙ならではの温もりや素晴らしさを改めて見直したくなります。読めば誰かに手紙をしたためたくなる、かもしれません。


『空の中』有川浩(著)

<あらすじ>
次々と起こる航空機事故の謎を探るため、メーカー担当者と自衛隊パイロットたちが高度2万キロの高空調査へ。彼らたちが事故の秘密に関係するものを発見する一方で、地上では子どもたちが、海で奇妙な生き物と遭遇します。大人が空の上で見つけたもの、子どもが地上で見つけたもの。その2つの秘密が出会うとき、日本にそして人類に降りかかる前代未聞の奇妙な危機とはーー。

<おすすめポイント>
結末が気になりすぎて、ページをめくる手が止まらない一冊。SF的要素がたっぷりと含まれつつ、大人の恋愛や、若者の若々しい関係性などの人間ドラマも描かれた作品。共存についても改めて考えさせられます。登場人物が、全部すっきりとはいかないまでも、何かしらの形で報われるという後味の良さも魅力!

<ここもチェック!>
土佐弁が物語に独特の温もりをプラスしています。『塩の街』『海の底』とあわせた、有村浩の自衛隊三部作に改めて注目したくなります。ちなみに、この三部作の共通点は、異常事態が起こり、自衛隊が活躍することのみで、相互の関連性はないので、どの作品から読んでも楽しめます。

あっと驚くどんでん返しにクセになるイヤミスも!「ミステリー小説編」

『イニシエーション・ラブ』乾くるみ(著)

<あらすじ>
1980年代の旧静岡市と東京を舞台に、男女の出会いを別れが描かれます。主人公は鈴木夕樹と恋人のマユこと成岡繭子。小説は「Side-A」と「Side-B」の2部構成になっていて、「Side-A」では、マユがたっくんと地元静岡で出会いから始まる物語が、「Side-B」では、鈴木が就職を機に上京したことをきっかけに、ふたりが遠距離恋愛が始まる物語が描かれます。

<おすすめポイント>
「必ず2回読みたくなる」と絶賛された傑作ミステリーじゃ、ときに甘く、ときにほろ苦い青春のひとときをみずみずしく描いたものと思いきや、最後から2つめのセリフでまったく違う物語へと変貌します。最後の2行を読むために、そして、2回目を読むために読み進めているという不思議な感覚が味わえる、珍しい作品です。

<ここもチェック!>
ミステリーは、謎を解くのが醍醐味でもありますが、どんでん返しが大好き、騙されたい人、「騙された!」と叫びたい人におすすめです。文春文庫版には用語解説も掲載。「Side-A」「Side-B」などの意味を深く理解するためにも、目を通しておくのがおすすめです。


『悪の教典』貴志祐介(著)

<あらすじ>
晨光(しんこう)学院町田高校の英語教師、蓮実聖司はルックスの良さと爽やかな弁舌で、生徒はもちろん、同僚やPTAをも虜にしています。しかし彼は、邪魔者は躊躇なく排除する共感性欠如の殺人鬼だったのです。学校という性善説に基づくシステムにサイコパスが紛れこんだらーー。

<おすすめポイント>
ピカレスクロマンの輝きを秘めた戦慄のサイコホラー傑作。大した理由もなく殺人を犯していく思考も気持ちも理解できない、“いやミス”ならではの後味の悪さあり。怖いを通り越して気持ち悪い行動の蓮見だが、殺す対象が強すぎると愚痴ったり、生徒たちの反撃に英語教師らしく“Excellent!”と叫ぶシーンなどには、クスッと笑ってしまいます。後味悪さを味わいたくて、何度も読み返したくなる気持ち悪さも、作品の魅力なのかも!

<ここもチェック!>
蓮見視点で描かれているので、サイコパスの心情が分かりやすいという印象。心情がわかるのと、気持ちが理解できるのとは全く意味が違います。生徒のキャラクターが立っているので、学園ものでありがちな「この子、誰だっけ?」といった疑問が浮かぶことなく、ドキドキとページをめくってしまうのは、作品にハマっている証拠なのかも?!



あの頃の気持ちが蘇る?!「青春小説編」

『池袋ウエストゲートパーク』石田衣良(著)

<あらすじ>
池袋西口公園、通称ウエストゲートパークには、週末になるとどこからともなく様々な人間が集まります。主人公のマコトは、池袋西口公園近くで果物屋を営む母親の手伝いをしながら、トラブルシューターとして活躍しています。そんなマコトと仲間たち、若者の現在をクールにそして鮮烈に描きます。

<おすすめポイント>
マコトの目を通して見ると、どれも日常のなんてことない出来事のように映りますが、読みたには危険な味わいを感じるハラハラドキドキの印象を与えます。第1作目となる本作では、当時の社会問題や流行など、時代を感じるテーマもあり。当時の“今”を体感しながら読むのもおすすめです。

<ここもチェック!>
長瀬智也主演の連続ドラマも伝説的名作のひとつ。実際にこの世界の住人にはなれないからこそ、安全な場所から活字でこの世界観を体験できるのも小説版の醍醐味です。かなりハードな世界の物語ですが、主人公の考え方に共感する人も多い、親近感を持てる不思議な魅力のある作品です。


『チョコレートコスモス』恩田陸(著)

<あらすじ>
華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子と、大学で芝居を始めたばかりの、華奢でじみな少女、飛鳥。二人の女優が、伝説の映画プロデューサーによる異色のオーディションに挑みます。芝居の面白さには果てがない、一生かけても味わい尽くせないと、舞台の暗がりの向こうにある何かを目にするため、少女たちの才能が熱となってぶつかり合う、戦いの物語が描かれます。興奮と感動の演劇ロマンの幕が上がるーー。

<おすすめポイント>
空手一家に生まれた飛鳥と、芸能一家に生まれた響子。まったく違う環境で育った二人ですが、演劇を通して交わり、ぶつかり合う物語です。役を勝ち取るために、文字通り全身全霊で自分の演技をぶつけあう迫力ある姿に引き込まれます。二人をはじめ、個性と才能に溢れるキャラクターもとても魅力的ですが、「人はなぜ演じるのか」「なぜ演劇に惹かれ、求めるのか」「演じた先に何があるのか」という演劇の魅力についてもたっぷりと描かれているのもポイントです。

<ここもチェック!>
実際のオーディションを見ているような臨場感が味わえます。役をどう演じるのか、芝居をやる側の醍醐味が擬似体験できる作品です。才能と才能のぶつかり合い系のストーリーがお好みの方ならハマること間違いなし。徹底したリサーチと、実際の声を聞いて小説を作っているという恩田陸ならではの描き方に、面白さの深みを感じます。


『青くて痛くて脆い』住野よる(著)

<あらすじ>
大学一年生の春、人に不用意に近づきすぎないことを心情にしていた田端楓が出会った秋好寿乃。周囲から浮いていたけれど、誰よりも真っ直ぐな秋好の理想と情熱に触れ、“二人”の秘密結社「モアイ」を作ります。あれから三年、将来の夢を語り合った秋好はもういません。彼女がついた嘘は楓の心にトゲのように刺さったままでーー。

<おすすめポイント>
吉沢亮×杉咲花による映画版も記憶に新しい青春サスペンス。人の気持ちや考えは、ちょっとしたきっかけで変化するものと気づかせてくれます。タイトルがズバリ、この作品の内容をまとめています。青くて痛くて脆い。そして歪んだ愛は誰にでも存在しうるものです。もし、主人公と同じ立場に立ったら、と考えてしまう物語です。

<ここもチェック!>
楓と秋好、二人の関係性の定義しにくい感じが、脆さの引き金になってしまったのでしょうか。気の合う二人、意気投合したように見えるけれど、同じ方向を向いているわけではないし、向き合っているようにも思えない不思議な関係性。恋人なのか、友人なのか、同士なのか。二人の関係性にぴったりと当てはまる言葉を探しながら読み進めるのもおもしろいかも?!


『鴨川ホルモー』万城目学(著)

<あらすじ>
京都大学に入学した安倍は葵祭りのエキストラのアルバイトをしていました。その帰り道に京大青竜会から新歓コンパの勧誘を受け、入会した安倍。そこで謎の競技ホルモーに出会い、死闘を繰り広げていくことになります。謎の競技ホルモーとは? 

<おすすめポイント>
京都を舞台にした奇想天外摩訶不思議な青春エンターテインメント。まさにこれぞ万城目ワールドが展開します。わけのわからない設定なのに、理解したくなる。そんな中毒性も万城目学の魅力です。結局ホルモーって何? というのが大きなテーマのひとつですが、説明しろといわれるとすごく難しいけれど、読むとなぜか納得できるという不思議。キテレツな内容ですが、恋愛要素もある青春小説で、これぞエンターテインメント! と拍手を送りたくなる傑作です。

<ここもチェック!>
京都という素敵な場所で、真面目に馬鹿らしいことをやっているところがおもしろい! 語り口もとてもユーモラスで、よくわからないと感じる部分は多々あれど、気づけばサクサク読み進めてしまう。意味もなく「ホルモォォォ!」と叫びたくなったら、万城目ワールドの住人になった証です!


気になる時代へタイムスリップ!「歴史・時代小説編」

『のぼうの城』和田竜(著)

<あらすじ>
時は乱世。天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城、武州・忍城。周囲を湖に囲まれ「浮城」と呼ばれていたこの場所の領主・成田長親の呼び名は「木偶の棒」の略称で「のぼう様」。泰然としている男で、智も仁も勇もないけれど、人間臭い魅力で衆人を惹きつける魅力があり、誰にも及ばぬ人気がありました。他のどの戦国武将とは違う自分らしさで勝負し、武士の誇りと領民を守りぬいた新英傑の姿を描きます。

<おすすめポイント>
「第139回直木賞」ノミネート作品で、「第6回本屋大賞」で第2位を獲得している和田竜のベストセラー小説。天下統一前の日本が舞台なので、なじみのある有名な歴史上の人物がたくさん登場します。2012年には野村萬斎主演で実写映画化されました。掴みどころがないけれど、なぜか人を惹きつける「のぼう様」がとにかく魅力的。あの秀吉が落とせない城の城主と聞いてイメージする武将とは程遠い。そのギャップがたまりません。爽快な戦闘シーンも見どころのひとつです。

<ここもチェック!>
カバーイラストは、人気漫画家オノ・ナツメが担当。個性的な絵柄で魅力的な男性キャラクターを描き、やみつきになる世界観を持っています。



『蝉しぐれ』藤沢周平(著)

<あらすじ>
架空の藩・海坂藩普請組牧家跡取りの文四郎は15歳。文四郎の15際の初夏からの物語です。隣家のふくとの淡い恋や、小和田逸平、島崎与之助らとの友情、突然一家を襲う悲運――、そして再会。時代に巻き込まれ、苛烈な運命に翻弄されつつ成長してゆく少年藩士の姿を爽やかに描きます。

<おすすめポイント>
歴史・時代小説のジャンルですが、青春、友情、恋、などあらゆる要素が盛り込まれた傑作。数ある藤沢作品の中でも、不動のナンバーワンと称される『蝉しぐれ』。時代を超えて読み継がれる、藤沢文学の金字塔は読んでおきたい一冊。歴史もの、時代ものを読んでみたいという初心者にも流れが分かりやすく描かれているのもポイント。2003年には内野聖陽でTVドラマ化、2005年には市川染五郎(現・松本幸四郎)主演で映画化もされた人気作です。

<ここもチェック!>
美しい風景描写も本作の魅力。藤沢周平没後20年を記念して出版された、カラー挿絵入りの愛蔵版は本棚に並べておきたくなる一冊です。


『燃えよ剣』司馬遼太郎(著)

<あらすじ>
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き、剣に死んだ男、土方歳三の華麗なまでに頑なな生涯を描いた物語。武州石田村の百姓の子“バラガキのトシ”は、浪人や百姓上りの寄せ集めにすぎなかった新選組を、生来の喧嘩好きと組織作りの天性により、当時最強の人間集団へと作りあげ、己れも思い及ばなかった波紋を日本の歴史に投じてゆきますーー。

<おすすめポイント>
鬼の副長・土方歳三の不器用で人間臭い部分を垣間見ることができます。史実とはことなるところはありますが、幕末のヒーローとして描かれる土方歳三の流されず、突き通した人生、男の生き様に、どっぷりとひたれる作品です。

<ここもチェック!>
「新選組」土方歳三の知られざる真実を描く、歴史スペクタクル超大作が、岡田准一主演で映画化。過去にも映画化、ドラマ化もされている作品です。史実よりも、人気作の多い司馬遼太郎小説の中でも、『竜馬がゆく』と合わせて読むのもおすすめです。フィクションを交えつつの幕末歴史モノで、ラブストーリー的要素もあり、ビジネス書的要素もあり。さまざまな視点から楽しめます。



『八朔の雪―みをつくし料理帖』高田郁(著)

<あらすじ>
主人公は、江戸の神田明神下御台所街の蕎麦屋「つる家」の調理場で料理の腕をふるう澪。両親を失った天涯孤独な少女には、天才的な味覚がありました。その才能を活かし、厳しい修行を積みながら、一人前の料理人への道を歩んでいく物語が描かれます。

<おすすめポイント>
年末年始になると時代小説・歴史小説を読みたくなりがちなのですが、本作は、年末年始のお話もあるので、時期に合わせて読むのもおすすめです。全10巻のシリーズもので、その第1巻となる「八朔の雪」は、4編構成のお話です。各話で澪が作った絶品レシピが掲載されているので、実際に作ってみることで、より作品の世界観にハマれます。

<ここもチェック!>
レシピのほか、シリーズ誕生秘話や「つる家」の間取り図など、書き下ろしエッセイを掲載した「みをつくし献立帖」もおすすめ。シリーズ番外編的な立ち位置ですが、ヒロインの幼い頃の思い出を描く短編「貝寄風」も収録されています。料理の写真もカラーなので、本編とは違った楽しみ方で「みをつくし献立帖」の世界観に浸れます。


『天地明察』冲方丁(著)

<あらすじ>
徳川四代将軍家綱の治世、日本独自の暦を作り上げるというある「プロジェクト」が立ちあがります。当時使われていた暦・宣明暦は正確さを失い、ズレが生じ始めていました。改暦の実行者として選ばれたのは渋川春海。碁打ちの名門に生まれた春海は己の境遇に飽き、算術に生き甲斐を見出していました。彼と「天」との壮絶な勝負が今、幕を開けます。

<おすすめポイント>
日本文化を変えた大計画をみずみずしくも重厚に描いた第7回本屋大賞受賞の傑作時代小説です。春海の家が碁打ちということもあり、囲碁の話もたびたび登場します。天文、算術、囲碁といった、興味はあるけれど、ちょっと難しそうと敬遠しがちな方にこそ、読みやすさを感じられるはずです。

<ここもチェック!>
当たり前のように使っている暦(カレンダー)を作るために命を賭けた男たちがいたとなると、暦に対するイメージが変わってきます。個性的なキャラクターがたくさん出てきますが、まさかのみんな実在の人物というのも驚きです。



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Text/タナカシノブ
通信社・新聞社・ゲーム会社・映像制作会社を経て、2015年9月よりフリーライターとして活動中。映画、ライブ、歌舞伎、落語、美術館にふらりと行くのが好き。たのしい情報をお届けしていきます!

初回掲載日:2021/04/19

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