映画『夏への扉-キミのいる未来へ-』婚約者役・夏菜インタビュー。女優としての“挑戦”と“新しい1歩”へ

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米国の作家ロバート・A・ハインラインの名作SF小説を映画化した『夏への扉-キミのいる未来へ-』。「時間旅行」をキーワードに壮大な物語が展開される本作の世界観を三木孝浩監督が描き切る。主人公の科学者を演じるのは、若手NO.1俳優・山﨑賢人。今回は婚約者役で重要な役回りを演じた夏菜さんにインタビューを行なった。

■原作と台本、それぞれの世界観

(C)加賀谷健

-今回『夏への扉』という世界的な文学の映画化作品にご出演するにあたって、プレッシャーを感じたことや意識されたことはありましたか?

夏菜:実は原作は読んでいないんです。私は漫画原作だとしっかり読み込んで研究するタイプなんですが、文字だけの場合、小説の世界観よりも台本の世界観を大切にします。というのも、一度原作を読んでしまうとそっちに引っ張られてしまうからです。その意味ではプレッシャーなどは感じませんでした。

-小説と漫画原作では演じる上で大きく変わってくるのでしょうか?

夏菜:全然違います。漫画だと視覚的にキャラクターとして出来上がっているので、やはり原作に忠実に近づけるのがモットーです。小説だとまだ誰も見たことがないわけですから、私が演じることでキャラクターが初めて視覚として立ち上がっていきます。

-原作よりも台本の世界観を大切にされるということですが、本作の台本を読んだ感想を教えてください。

夏菜:とても面白かったです。これはどうやって映像化するんだろうとワクワクしました。日本映画でこれだけ複雑でエンターテインメント作品はあまり最近みていなかったので、衝撃でした。これはきっと面白くなると感じました。このような作品に出演出来るのは嬉しいことですし、一方で私が演じた鈴というキャラクターをどれだけみんなに嫌われようかと(笑)。

■お芝居の「呼吸」を意識

(C)加賀谷健

-白石鈴という悪女を演じる上での役作りはどのようにされたのですか?

夏菜:なぜか鈴だけ猫がなつかなかったりしますが、しかし前半部では主人公の宗一郎のことがほんとうに好きなのではないかとみせる優しいお姉さんというギャップからの切り替わりが大切だと思い、最初はナチュラルに芝居をしています。箸の持ち方や指先にまで神経を使いニュアンスを出そうとしました。そこからどんどん芝居がかってくるというか、キャラを濃くしていくという濃淡は意識していました。ビジュアルの面では、安室奈美恵さん時代の人なので、アムラーを目指した衣装にしてもらい、前髪もワンレンにして、その時代のリップや流行りをメイクさんやスタイリストさんに再現してもらいました。また台本には綺麗な美貌の女性という指示があったので、体調管理やスタイル維持などは徹底していました。

-内面と外面のバランスが取れた演技だと感じましたが、演技をする上で一番大切にしていることを教えてください。

夏菜:呼吸です(笑)。どのお芝居をする時もそうですが、自分の中で呼吸が乱れると一気に芝居が出来なくなるんです。それは走っている芝居で呼吸が乱れるということではなくて、ちゃんと息が吸えていない時はいい芝居が出来ていません。それは身体のリラックスとも関係していると思いますが、芝居に対して自分が思っていることを表現するのに呼吸さえ整っていたら、アドリブ含め想い通りにいくことが多いです。本番前、私は緊張するタイプなので、カメラなど私に注目している人たちをあえてみて深呼吸するというのは意識してやっています。

-それは共演者との呼吸を合わせるという意味でもありますか?

夏菜:そうですね、相手も受け容れなければいけないですからね。だいたいお芝居をする相手は初対面なわけですが、あえて目をみてひと呼吸置くと、相手をすんなりと受けいれられる感覚があります。

(C)2021「夏への扉」製作委員会

-今回の現場では共演者やスタッフとどのようにコミュニケーションを深めていったのでしょうか?

夏菜:自分から積極的に話しかけるのが私のスタイルです。監督にも細かいところまで聞きにいくとか。あとは、スタッフさんの近くをうろちょろするとか。眞島秀和さんくらいしか共演したことがありませんでしたが、山﨑さんとは、よく楽屋でミスチルを聴いてなぜかそこからボン・ジョヴィになるくだりを繰り返して盛り上がっていました。

-監督とはいかがでしたか?

夏菜:監督はゆるキャラみたいな雰囲気で接しやすく、何でもかんでも、覚えてないくらい日常会話を話していました。和気あいあいと数え切れないくらいです。演技の面でもキャラがこくなる前の鈴に関して、どれだけの優しさで演じるのかは三木監督からの指示通りに演じていきました。すべて三木さんが引き出してくれました。

■「コールドスリープ」というロマン

(C)2021「夏への扉」製作委員会

-本作で山﨑賢人さんが行なう時間旅行について、夏菜さんはどのように思われますか?

夏菜:出来たらいいですよね。誰もが望んでいることなのではないかと思います。何十万人が冬眠を望むのだろうか。そこは憧れであり、ロマンですよね。

-コールドスリープは本作の重要なキーワードですが、夏菜さんがコールドスリープしたいと思う瞬間はありますか?

夏菜:たくさんあります(笑)。でも、先の日本や世界をみてみたいとは思いますが、今の友達や家族を捨ててまでしたいとは思いません。

-本作は1995年の東京が舞台ですが、その当時の思いでとして面白かったことはありますか?

私はまだ6歳で記憶はほとんどありませんが、ミスチル世代であるのは確かで、学生時代に映画にも流れるあの曲を歌っていました。MDや携帯電話は覚えていますが、95年を青春として生きた方々には面白いかもしれませんね。

-宗一郎がコールドスリープした後の未来がまた凄まじい現実として描かれていましたが。

夏菜:自分がCGになるところなど、気味が悪く出来たと思います。私のバージョンを取って、30年後の姿を撮っています。あの場面はゴミ屋敷でほこりまみれで、さらにスモークをたいていたので、翌日喉が酷い状態になりました。体力的には大変な撮影場面でした(笑)。

■「女優として新しいもう1歩を踏み出せる作品に」

(C)加賀谷健

-夏菜さんは、中学2年生の時にスカウトされたということですが、そこから本格的に女優を意識されたのはいつ頃ですか?

夏菜:最初芸能界に入るなら、女優になりたいと思いました。デビュー作がきっかけにはなっていますが、モデルなど色々やったとしても最終的には女優かなと思いました。その時は学園ドラマでほとんど興味本位でしたが、自分の役があるのは楽しいとは思っていました。

-好きだった作品はありますか?

夏菜:行定勲監督の『GO』(2001)です。何度も繰り返しみました。内容については当時の私は分かっていなかったと思いますが、窪塚洋介さんと柴崎コウさんがきらきら輝いていて、何て素敵なんだろうと。

-こんな女優さんになりたいと思った方はいますか?

夏菜:『GO』の柴崎さんやずっと変わっていませんが、天海祐希さんです。お二方ともコメディをやっていても緩急や切れ味が抜群で、コメディが出来る女優さんに憧れています。

-その点、夏菜さんはバラエティー出演も多いかと思いますが、バラエティーでの顔と役者としての顔に違いはありますか?

夏菜:そうですね、私もちょっと迷っているところがあります(笑)。もともと女優もやりつつコントもやっていましたから、どちらも私自身ではあります。ただ女優としての私は、台本を読み込んで役の履歴をノートにして役作りをしていくことによって勝手にその役になっていくので、自分の中には人格として2人います。夏菜として素でいられるのはバラエティーですが、女優をやると背筋がピンとなる気がしています。どちらもあるから前に進んでいけて、バランスが取れているんだと思います。

(C)加賀谷健

-次に挑戦してみたい役はありますか?

夏菜:常にスパイスでありたいと思っています。一癖ある役が演じていて楽しいと思います。あまりにも癖を強く出しすぎないようにとは今回の悪女役で思いましたが、そこの按配が難しいです。ナチュラルにスパイスでありたいです。

-バラエティーも今後も続けて出演されますか?

夏菜:少しだけ女優にシフトしていきたいです。最近はバラエティー出演が多かったので、女優としての自分を忘れないためにもバランスとしては女優業を増やしていきたいと思っています。

-最後に夏菜さんにとって本作はどのような作品になりましたか?

夏菜:私がすごく面白いと思った作品に出演出来ることがこんなに楽しいことなのだと再確認させてもらいました。久しぶりに大きな作品に出演出来たこともありますが、今回役柄として初めて悪女を演じて感じたのは、以前は柔軟性がお芝居にない人間でしたが、2面性のある役を演じられたことです。この経験は、女優として新しいもう1歩を踏み出せる作品になったと自負しています。

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  • 6/24 18:00
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