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公務員になりたくなかった僕が、いま1番公務員を楽しんでいる理由 まちと生きる挑戦の軌跡

地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024を獲得した安高昌輝さん

「公務員には絶対になりたくない」

学生時代(大学2年生頃まで)はそう思っていたという安高昌輝さん。彼は、全国に280万人いる地方公務員の中から2024年「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2024(以下公務員アワード)」に選ばれた。部署を異動するたびに数々の改革を成し遂げてきたスーパー公務員 安高昌輝さんに話を伺った。

【プロフィール】

安高 昌輝(やすたか まさき)

埼玉県草加市出身。1988年1月生まれ。中学時代から草加市子ども会育成者連絡協議会に所属し、地域の子ども会の子どもたちのために様々なイベントを企画運営。2006年には浪人中(当時18歳)でありながら、全国初の子ども会が無くなってしまった市内全ての地域を対象とし、中高大学生が運営する「草加市子ども会」を設立。2011年草加市役所入庁。新たな調査手法導入による年間5000万円以上の税収のベースアップ、リノベーションまちづくり2年連続100%事業化、広報紙フルリニューアル草加市初の広報コンクール埼玉県審査1位(広報紙部門・動画部門のダブル受賞)など、数々の成果を上げてきた。周りを巻き込みながら事業を進める姿を「漫画の主人公のような公務員」「“ルフィ”な公務員」などと評価され、2024年に公務員アワードを受賞。

公務員のイメージから一転、草加市役所への決意

――市役所で働こうと思ったきっかけを教えてください。

実は大学2年生くらいまでは公務員には絶対になりたくないと思っていました(笑)

当時は公務員の不祥事がテレビのニュースなどで頻繁に取り上げられていたこともあり、私の中の公務員のイメージはあまり良くなかったんです。

だから私は、民間企業でバリバリ働いて、将来は起業して社長になり、プライベートでは子どもたちのためにボランティアでまちづくりをする。そういう夢を抱いていました。

――起業して社長ですか!?今とは全く真逆の人生ですね(笑)

そうなんです。あくまで夢の話ですが、少なくとも行政職員になることはみじんも考えていなくて、民間企業でバリバリ働いて、プライベートでまちづくりに携わる。そういうほうがカッコイイと考えていました。

――どうして市役所に入ろうと思ったんですか。

学生時代、草加市子ども会育成者連絡協議会(以下草子連(そうこれん))という団体でボランティアをしていました。草子連は地域の子ども会の連合団体で、子どもたちのために様々なイベントの企画、運営を行っています。この団体は、草加市役所に事務局を置き、公民連携で運営していたので、イベントの際は市役所の職員さんが手伝いに来てくれたりしていました。

ある日のこと、キャンプの企画があり、その行事中、来ていた職員さんたちに「皆さんはどこに住んでいるんですか」と聞いたことがありました。

私は、草加市の職員は草加市内に住み、草加のまちづくりに熱心に取り組んでいると勝手に思っていたので、あくまで市内の“どこに”住んでいるのかという意味で尋ねました。

すると、そこにいた全員が「市外に住んでいる」と答えました。私は少し驚きつつもその理由を尋ねました。一人の人は「都内のほうがカッコイイから」と答え、もう一人の人は「市民に休みの日にまで会いたくないから」と答えました。さらに別の人にも尋ねてみるとその人は「草加市は行政サービスが悪いから」と答えました。

私は愕然としました。そして、沸々とした怒りのようなものすら覚えました。私が住んでいるまちはこんな人たちが作っているのか。住んでいないどころか、他のまちのほうがいいと思いながら働いている。そんな人たちが良いまちを作れるのか・・・。

民間企業で言えば、自分の会社の商品を自分では買わないのに人には売りつけている。そんなふうに感じました。

そんな企業があったら間違いなく倒産する。この人たちにまちづくりを任せておくわけにはいかない。そう思ったんです。

――それは衝撃ですね。実際に市役所職員となってイメージは変わりましたか。

最初に配属された市民税課では、市民の皆様の税金の額を算定する事務を担当しました。職員の先輩方は夜遅くまで残業し、ミスの無いように細心の注意を払いながら膨大な件数の事務をスピーディーに処理していました。

私のイメージしていた「だらだらと仕事をして定時になったらとっとと帰ってしまう」という公務員のイメージとは全く違う世界だったので、正直驚きました。何事も外野からではなく自分でやってみなければわからないと痛感しました。

――市民税課での具体的な取組を教えてください。

2011年4月に草加市役所に入庁し、最初は軽自動車税の課税担当でした。入庁初年度は地方税法など様々な法律や業務を覚えるのに手いっぱいでしたが、「市役所に入って中から変えてやる!」と思っていたので、窓口の申請書類の見直しや業務マニュアルの作成など、自分ができることを考えて、少しずつ実行しました。翌年度の途中からは個人住民税の課税の担当となり、そこで会社等が法律上提出すべき「給与支払報告書」という書類の提出義務を守っていない事例が少なからずあるということを発見し、2013年から調査を行いました。

その結果、毎年の税収を5000万円以上ベースアップさせることに成功。その他にも、罹災証明書の発行に係る要綱を新たに制定したり、災害時、被災した方への減免の決まりがなかったので、災害時に備えて草加市税条例施行規則の一部(減免に係る部分)の改正をしたり、市民の方の利便性の向上や草加市のキャッシュフローを安定させるため、市税などを一括納付できるようにする仕組みを整えるなど、様々な改革を行いました。

――すごい実行力ですね。市役所に入って数年ですよね?まだまだ若手という中でどうやって実行したんですか。

確かに市役所に入庁後数年の話ですが、市役所の場合、頻繁に異動があるため、たとえ若手職員であってもその部署に3年もいるとその部署の中ではベテランになります。そうすると発言力も増してくる(笑)

あとは、いかに先輩や上司を説得し、後輩や同僚を味方につけていくかというところが大事で、そこは意義や効果を丁寧に説明して一人ずつ味方を増やしていきました。

子どもたちの誇れるまちを創りたい!様々なアイデアで苦難を乗り越える

ボランティアで子どもたちの議論をサポートする安高さん

ーー学生時代のボランティアはいつから始めたんですか。

私がボランティア活動(草子連の活動)を始めたのは中学生の時です。ただ、中学生の時はほとんど参加していなくて、本格的に関わり始めたのは高校生になってからです。

高校生になり、色々と自分で考えられるようになってからは、ボランティア活動が楽しくなりました。子どもたちに様々なイベントを通じて楽しい思い出を作ってもらい地域に誇りと愛着を持ってもらいたい。そのためにはなるべく多くの子どもたちに参加しもらい関わる人を増やしていく必要がある。そのように目的意識を持って活動していました。

ーーその頃から自分で考えて目的意識を持って取り組んでいたんですね。具体的にどんな活動をしていたんですか?

草子連では、当時子どもたちに防災意識を持ってもらうために小学校の体育館に泊まる「学校でキャンプ」やバスで草加市以外のまちを探検に行く「まちなみ探検」などを行っていました。

「学校でキャンプ」校庭でキャンプファイヤーをしている様子

しかし、毎年内容が同じだったり、子どもには難しい内容だったりと高校生の私から見ると改善が必要だなと感じる部分がたくさんありました。

そこで、今まで大人の役員さんたちが中心となって企画していたものを、中高大学生の子どもたち(ジュニアリーダー)が積極的に企画する体制に変え、新しい事業もたくさん増やしました。企画したイベントを各子ども会にお知らせするためのチラシも自分たちで作成し、参加者の増加を目指しました。

そうした努力の甲斐あって草子連の活動はどんどん充実していきました。

「この調子なら子どもたちの参加者は次第に増えていくだろう」

私達は、少しずつ自分たちの努力が形になっていく中で、あとは結果を待つだけだと考えていました。しかし、しばらくしても思ったほど参加者が伸びませんでした。

参加者は少し増えたのですが、期待していたほどの成果ではなかったんです。

ーー大人がやっていたことを中高大学生たちがやるようになったんですね。それは素晴らしい。それなのになぜ思ったほどの成果が出なかったんでしょうか。

中高大学生は、子どもたちに年齢も立場も近いので、子どもたちの気持ちがよくわかり、子どもと大人の架け橋的な存在になっていきました。中高大学生が企画や運営をすることで、子どもたちの心をガッチリ掴み、参加してくれる各子ども会の会員の出席率は確かに上がりました。

しかし、思ったほど参加者が伸びない。参加してくれる人数は伸びたが、参加してくる地域の子ども会(単位子ども会)の団体数が増えていない。なぜだろう・・・。

疑問に思い調べてみると、草子連に所属する単位子ども会の団体数が年々減っていることに気がつきました。

過去に遡って子ども会の団体数を調べてみると、1986年には84団体あった単位子ども会が、2006年には12団体まで減少しており、20年間で7分の1になっていることがわかりました。

草加市に住んでいる子どもたちの立場で言うと、以前は市内のどこにいても子ども会活動に参加できる土壌があったのが、子ども会の団体数が減ったことで子ども会の活動に参加したくても参加できなくなってしまった。

そこで、解散した子ども会などにヒアリングしてみると多くの場合、担い手不足が原因になっていました。

時代とともに共働きの世帯が増えたことや、地域活動より自分の時間に使いたいという人が増えたことで運営の担い手となる役員をやってくれる大人が減っていた。ここが課題になっていたんです。

そこで私は、「大人がやらないのであれば自分たち子どもが担い手になればいい」と考え、全国初の市内で子ども会が無くなってしまった地域すべてを対象とし、中高大学生のジュニアリーダーが立ち上げ、役員となって運営する組織「草加市子ども会」を立ち上げました。

前例や常識にとらわれず常に新しいアイデアを生み出し続ける

ーー全国初の組織の立ち上げや税収UPなど、数々の成果を上げられていますが、意識していることはありますか。

私の場合は常に目的を考えて、そのための戦略を練ります。何のためにやるのか。ゴールはどこか。そのためには、どういうステップが必要か。

それらを①目的→②目標→③戦略→④戦術の順番に考えています。

先ほどの子ども会の例で言えば、目的は「子どもたちが誇れるまちにするため」、目標は「草子連事業の参加者を増やす」、戦略は「子ども会がない地域の子どもにも参加してもらう」、戦術は「中高大学生が子ども会を立ち上げる」でした。

このような意識を持って常に取り組んできたからこそ、リノベーションまちづくりの成功や広報紙のフルリニューアルなどを短期間で達成できたんだと思います。

現在はシティプロモーションを担当しているので、市外の方には草加に興味を持っていただき、住みたいと思ってもらう。市内の方には草加の魅力を知っていただくことで暮らすことに満足感や充実感を持っていただく。その2つを目標にして、取り組んでいます。

そのための戦術の一つとして、実は最近個人的に草加の魅力を発信するSNSをはじめました。

https://www.instagram.com/soka_guide_yasutakamasaki/

https://x.com/masakiyasutaka?t=bM2tvL3WWzfDy5SUkk6hNw&s=09

ーー個人的にSNSで草加の魅力発信ですか?なぜ業務ではなく個人で始めたんですか。

業務としてやることも考えましたが、個人でやれば失敗しても良いし、自由にできる。例えば飲食店などの紹介は、行政として業務でやるとなると色々と難しい部分が出てきて整理が必要です。整理してから始めるとどんどん遅くなってしまう。まずは個人的にやってみて、トライアンドエラーを繰り返し、うまく行きそうだったら業務としてやってみればいい。

リール動画を作ってみることで、業務で動画を作成するときや広報課のインスタグラムアカウントの運用にも役に立ちます。それに、異動してもやりたければ続けられますしね(笑)

ーーまさにスーパー公務員!子ども会やSNSなど仕事以外でも地域のために色々とやっていていつ休んでいるのかと思ってしまうくらいなんですが、ぶっちゃけ大変じゃないですか。

そうですねー。たまにやらなきゃいけないことが色々と重なりすぎちゃって泣きそうになることもあります。

ただ、それでも子ども会のイベントが終わって、子どもたちが「楽しかったー。また参加したい!」と言って笑顔で家に帰る姿を見るとまたやっちゃうんですよね。

仕事も同じで、辛いことももちろんあるけど、市民の皆さんが「草加っていいよね」とか、「最近まちが変わってきたよね」とか言ってくれたりするとやっててよかったなって思います。

仕事だとかプライベートだとかあまり考えすぎちゃうと逆に辛くなっちゃうと思うので、線引きをあえてしないで曖昧な部分を作っているのも逆にいいのかもしれません。

私はそれを“公私混合“と言ってます。公私混同じゃないですよ!?笑

「自分の住む草加のまちの魅力を高めたい。このまちで住む人たちが誇りと愛着を持ち、住んでてよかったと思えるまちにしたい」

そう思って市役所に入りました。自分の住むこのまちが良くなれば、自分の暮らしも充実するし、私には娘が2人いますが、彼女たちにとっては故郷(ふるさと)の価値が上がるってことじゃないですか。親としても職員としても個人としてもウィンウィンウィン。

しかも、それを楽しめちゃったら最高ですよね。

だから、仕事とプライベートはあえてわけずに公私混合で両方楽しんでいます。

ーー仕事もプライベートもあえて線引きせずに一緒に楽しむ。「公私混合」良いですね。最後に、今後の意気込みを聞かせてください。

行政の目的は「より良いまちを作り、市民がこのまちに住んでてよかったと思ってくれるようにすること」だと思うんです。そのために草加市役所の職員になったので、どこの部署に行っても、どんな立場になっても、これからも市民のため、まちのために全力を尽くします。

【メディア掲載】

公務員アワード関連

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子ども会関連

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その他

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【公務員アワード表彰式の様子(YouTube配信)】

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2025/3/24 7:00

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