40歳過ぎて一般企業に正社員就職した女優も。元売れっ子たちがTVから消えても輝くワケ
激動の芸能界で絶え間なく売れつづけ、テレビに出演しつづける芸能人は一握りの存在です。入れ替わりが激しいだけでなく、ライフイベントの変化の影響を受けやすい女性タレントにおいては、その傾向はより顕著かもしれません。
そうしたなか、テレビからは姿を消してしまった今でも、新たな自分の居場所を見つけて輝いている人々も。今回は小森純さんに片瀬那奈さん、そしてマリエさんの現在にフィーチャーします。
◆小森純“、現在は経営者兼ネイリストとして活躍
『Popteen』の読者モデルとして活躍し、ギャルタレントとしてバラエティ番組に多数出演していた小森純さん。
カリスマモデルでありながら芸人からのいじりもウェルカムで、率直な恋愛観もぶっちゃける、親しみやすいキャラクターで大成功を収めていました。
しかし、2012年のペニーオークション関連の不祥事から一転、テレビからその姿を見なくなりました。
現在、芸能活動は事実上の休止状態ながらも、ネイルサロンを2店舗経営している小森さん。自身もネイリストとして働いていることを、自身のInstagramやYouTubeでも発信しています。
◆持ち前の根の真面目さとギャルマインドで“禊”も済んだはず
そんな小森さんに密着した、2月公開のネット番組『ダマってられない女たち』#8(ABEMA)も話題に。
ほかの従業員と同じく現場に出てネイリストの仕事をしていることにくわえ、抱えるスタッフ全員が正社員であることから、経営者としての姿勢・手腕まで高評価を受けていました。
“ペニオク騒動”の際にはしっかりと謝罪をし、芸能活動も自粛した小森さん。世間からのバッシングもしっかり受け止めていたことが印象的でした。
経営者として雇用を生み出すだけでなく、正社員としての立場もしっかり保障。ネイルの仕事そのものにも真摯に向き合っている現在の姿は、お金関連の不祥事を起こした芸能人としても、十分な禊(みそぎ)が済んでいるように思えます。
過去を反省して今に活かし、新天地でひたむきに生きる姿は、テレビに出ていたときよりも輝いて見えるのは筆者だけではないでしょう。
2011年に結婚した元モデルの今井諒さんとの間に、3人のお子さんがいる小森さん。Instagramには幸せそうな家族の写真も多く、家庭も円満であることがうかがえます。
その前向きな生き様にはギャルマインドを感じさせ、元芸能人としてではなく、母として、ネイリストとして応援したくなる人も多いのではないでしょうか。
◆片瀬那奈、40歳を過ぎて「一般企業に正社員として就職」
俳優業だけでなく、MCにモデルにと、マルチに活躍していた片瀬那奈さん。日曜日の朝の情報番組『シューイチ』(日本テレビ系)でも総合司会を務めるなど、人気タレントでした。
潮目が変わったのは、2021年のこと。親密な知人男性が麻薬取締法違反で逮捕されると、片瀬さんも家宅捜査を受けることに。ところが、所属事務所に対して捜査の虚偽申告を行ったことから、契約解除となったと言われています。
以降はYouTuber活動などを行っていましたが、現在は靴や衣料品の通販サイトを運営する、ジェイドグループ株式会社にて正社員として勤務しています。
職場では広報としても活躍。同社にとっては「元芸能人が社員として働く会社」という話題性もあることでしょう。会社にとっても片瀬さんにとっても、お互いにwin-winの関係性が築かれていそうです。
◆「女性のセカンドキャリア」における新たなアイコンに
現在は会社での仕事の充実からか休眠中ですが、2023年にはオンラインタロット占いのサービスを始めてもいました。そうした活動ぶりからは、自由闊達に過ごせていることが伺えます。
大手事務所に所属し、芸能活動を行うことでしかできないような活動もある反面、それは世間からの「イメージの鎖」につながれていることともイコール。
40歳を過ぎた今、その枷(かせ)から解き放たれて仕事をしている様子がとても楽しそうにも見えるのです。
10代から芸能界に身を置きながらも、事務所を契約解除になってしまった片瀬さん。正社員としての安定した収入を得ながらも、のびのびと活躍できる今の状況は、片瀬さんにとってはきっと居心地がいいのではないでしょうか。
当然、この年齢ではじめて一般企業で正社員として働くことは、さまざまなハードルがあることも想像に難くありません。
だからこそ、生き生きとした現在の片瀬さんを見ていると、女性のセカンドキャリアの可能性を感じさせてもくれるようで、新たな憧れの存在になっているのではないでしょうか。
◆マリエはファッションブランドを立ち上げ
ファッションモデル出身で、「父親が自動車用オイル輸入代理店の元社長」という“セレブキャラ”としても一世を風靡(ふうび)したマリエさん。
『森田一義アワー 笑っていいとも!』(フジテレビ系)にもレギュラー出演するなど、お茶の間からの人気も高かったタレントです。
そんなマリエさんは、2011年にニューヨークのパーソンズ美術大学へ留学。以降、メディア露出が激減します。
留学を経て世界を見てきたことで、社会課題や女性の抱える悩みにより強い関心を抱くようになったマリエさん。帰国後はタレント業ではなく、ファッションやサステナブルに関した活動に勤しむようになりました。
自身のファッションブランド「パスカル マリエ デマレ」を立ち上げたり、ラジオのパーソナリティや雑誌で連載したりと、自分のペースで自分が納得できる仕事と向き合っている様子が、自身のInstagramでも綴られています。
◆若くして手にした成功にしがみつかず、新たな道を開拓する姿に勇気をもらえる
しかし、10代後半から20代前半という若い多感な時期には、キャラ消費的に扱われてしまっていた面があるのは否定できないでしょう。当然その裏では、嫌な思いをしていたり、やりたくない仕事があったとしてもおかしくありません。
30代後半にさしかかった今のマリエさんは、作られた虚像の存在としてでなく、等身大のマリエさんとして生きていることがひしひしと伝わってくるよう。
心からやりたいと思える仕事を追求し、人生を自分の手に取り戻して生きているようにも見えてきます。
また、2022年には第1子を出産されており、公私ともに充実していることもうかがえます。テレビに出ていたときよりも優しく穏やかな表情が今の幸せを物語っているのではないでしょうか。
◆周囲をも幸せにするような働き方・生き方
自分の居場所を見つけて生き生きとポジティブに働く元売れっ子たち。特にこの3人に関しては自分だけでなく、周囲をも幸せにするような働き方・生き方をしているからこそ輝いているようにも感じられます。
テレビに出続け、「わかりやすく売れている」状態だけが幸せだとは限らない――。3人の生き方を見ていると、そんな気持ちがあらためて芽生えてきます。
元・売れっ子だからこそ行き着いた新天地での活躍を、これからも見届けたいところです。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中