「事件を知らない世代へ」地下鉄サリンから30年、公安調査庁の啓発活動が大反響
「オウム真理教」による「地下鉄サリン事件」が発生してから3月20日で30年が経つ。大都市において化学兵器が使用されるという世界でも類を見ない無差別テロ事件は、当時の日本を震撼させた。
首謀者の麻原彰晃こと松本智津夫は、2006年9月の死刑確定から11年10カ月後の、18年7月6日に刑が執行されている。
ただ、発生から30年が経過していることもあり、若年層の中には、事件だけでなく、オウム真理教自体を知らない者も少なくない。
「そんな中、事件を風化させないため、公安調査庁は『オウム真理教問題デジタルアーカイブ』を2月21日に公開しました。これが若年層の間で大きな反響を呼んでいるのです」(社会部記者)
アーカイブを見た若者からは、《映画の世界の話かと思った》《日本にこんなテロ組織があったなんて信じられない》といった声が続々と寄せられている。
2月28日には、東京・足立区で「足立区地下鉄サリン事件風化防止啓発推進条例」が施行された。同区内には、オウム真理教の後継団体の1つである「アレフ」の活動拠点が3カ所あり、数十人が居住しているとされている。施設は塀で囲まれ、「関係者以外立入禁止」の張り紙があり、監視カメラも置かれるなど、物々しい雰囲気だ。地元住民も、いつかなんらかの事件が起きるのではと不安を募らせているという。
「現在、オウム真理教は、主流派のアレフの他、『山田らの集団』『ひかりの輪』といったグループに分かれて活動を続けています。中でもアレフは、SNSやイベントを使って、若い世代を中心に勧誘活動を行い、新たな信者を獲得しているとされます」(前出・記者)
公安調査庁のアーカイブには、地下鉄サリン事件の被害者の手記が掲載されている。ある女性被害者は「今の若者たちに伝えたい事がある。宗教を信じるのは悪いことではないが、オウム真理教は別だ。殺人犯の集団である。巧みな勧誘手口にのらないように気を付けて欲しい」と訴えている。
地下鉄サリン事件を知らない若者は、誰であれ、このアーカイブを見るべきだろう。
(ケン高田)