渡辺恒雄氏の死去で「プロ野球拡大構想」は再燃するのか
12月19日、98歳で逝去した読売新聞社代表主筆の渡辺恒雄氏。政財界だけでなく日本のプロ野球界に大きな影響を与えた人物として知られているが、これにより再び議論が活性化すると囁かれているのが、プロ野球拡大構想だ。
現在はセ・パ各6球団の12球団だが、これを14球団、ないし16球団に増やすというもの。20年前の2004年、近鉄とオリックスの合併が報じられた際、10球団による1リーグ制の案も浮上していた。これに対し拡大構想はプロ球団のない都市に新球団を誘致するという案だったが、結局は楽天が新球団として参入する形になったものの球団数は現状維持の12球団のままとなった。
「“球界の盟主”巨人軍のオーナーを務め、退いた後も最高顧問をしていた渡辺氏は、04年の球界再編時に10球団構想の青写真を描いていた人物のひとり。拡大構想には反対の立場だったと言われています」(スポーツ紙記者)
いくら参入を望んでいても渡辺氏に認められなければプロ野球チームのオーナーになれないというのが球界では暗黙の了解となっており、それをクリアできたのが楽天の三木谷浩史氏とソフトバンクの孫正義氏、DeNAの南場智子氏だ。
だが、球界拡大構想に消極的だったとされる渡辺氏が亡くなっても新球団設立には問題が山積みだという。
「24年からイースタン・リーグには『オイシックス』、ウエスタン・リーグには『くふうハヤテ』が参入しましたが、いずれも2軍だけのチームです。これが1軍2軍両方となる必要経費もケタ外れにかかり、年間100億円前後はかかるはず。それだけの資本力に加え、プロ野球参入の意思を持つ企業となる現実的に難しい」(同)
ネット上には《選手や資金に余裕のあるソフトバンクがセ・リーグにもう1球団作ればいい》なんて意見もあったが、現行ルール上において複数球団持つことは不可能。サッカーのJリーグ、バスケットのBリーグに比べると予算規模が大きすぎるものネックだ。
拡大構想について積極的に議論が交わされるのは悪いことではないがやはり球団が増えるのは現実的ではないのかも。