一卵性双生児が「ヴィーガン vs 雑食」を検証!12週間の実験で明らかになった変化とは?
99.99%同じDNAを持つ一卵性双生児が異なる食生活を送るとどうなるのか――。12週間にわたって一方がヴィーガンメニューのみで、もう一方が雑食性の食事を行った興味深い実験が行われている。
■異なる食事を続けた一卵性双生児
2021年にキングス・カレッジ・ロンドンによって実施された興味深い科学実験では、一卵性双生児のヒューゴ・ターナー氏とロス・ターナー氏が異なる食生活を送りその影響が調査された。
実験は12週間続き、ヒューゴ氏は植物ベースのヴィーガン(完全菜食主義)メニューのみを摂取し、ロス氏は肉、魚、乳製品を含む雑食性の食事を期間中続けたのである。
メニューは違えど両者は1日あたり同じカロリーを消費し、同じ運動量をキープして食事以外の条件が同じになるように厳密にコントロールされた。
期間中にヴィーガンになったヒューゴ氏は「最初の数週間は、肉、乳製品、チーズが本当に食べたいと感じていたと思います。私はチーズが大好きです」と後に英メディア「BBC」に話している。
ヒューゴ氏の植物ベースの食事では、果物、ナッツ、乳製品の代替品の摂取量が増加していた。この変化により、1日を通じて血糖値がより安定し、エネルギーレベルが増加したと報告した。
「今、私はフルーツ、ナッツ、乳製品を含まない代替品を食べなければなりませんでした。つまりより健康的な食べ物を食べることになり、一日を通して血糖値がより安定しました。そしてエネルギーが増えたような気がしました」(ヒューゴ氏)
一方、肉を含む食事に関するロス氏の経験はより多様な側面を持っていた。
「私はとても元気な気分になることがよくありましたが、時々、エネルギーが大幅に低下することがありました」(ロス氏)
ロス氏はまた、ヒューゴ氏のヴィーガンメニューと比較した際、自分の食事に加工食品が多く含まれていることに気づかされた。
この研究で両者の生理学的変化が明らかになった。ヒューゴ氏の場合、当初84kgだった体重は82kgに減少し、体脂肪率は13%から12%に減少した。さらに、彼のコレステロール値は大幅に改善され、2型糖尿病に対する抵抗力が高まった。しかし腸内の細菌の多様性は大幅に減少しており、これが彼の免疫システムに影響を与える可能性もあることが示唆された。
一方、ロス氏は実験スタート時点でヒューゴ氏と同じ13%の体脂肪率であったが、12週間後に体重86kg、体脂肪率15%まで増加していた。同じ運動量ではあったが筋肉量は4.5kg増えていた。
結果は予想されたほどには劇的に異なるものではなかったともいえるのだが、2つの食事は具体的な長所と短所を示したといえる。ヒューゴ氏はコレステロール値が低下し、エネルギーレベルの高まりを経験した一方、ロス氏は筋肉量が大幅に増加したもののエネルギーレベルが特に高まったわけではなかった。
ヴィーガンのほうがおおむね体調が安定し、雑食は場合によってはエネルギー不足を感じることもある点がやはり気になるところだろうか。そして同じ運動量でも肉や魚を食べていたほうが筋肉がつきやすいことも証明されたことになる。
「You are what you eat(食べたモノが君なのだ)」というフレーズもあるように、何を食べるのかについては身近でありながら人生を通じて問われる問題なのだろう。
参考:「Misterios do Mundo」ほか