スタート社がチケット転売者に開示請求 コンサートのシステムにファンは?
チケット転売サイトを通じて、所属しているアイドルグループやタレントのコンサートチケットを転売する行為に対して、法的手続を行っていた、株式会社STARTO ENTERTAINMENT。
2024年12月9日、同社が『チケット高額転売者に対する開示請求のお知らせ』を発表しました。
大手芸能事務所が『相次ぐチケットの転売』に開示請求を実施
人気のアイドルグループやタレントが所属している、株式会社STARTO ENTERTAINMENTは長年『チケットの不正転売』に悩まされてきました。
チケットの売買サイトである『チケット流通センター』と『チケットジャム』に対して、『チケット高額転売者』の開示請求を行ったといいます。
当社およびYC社は、既報のとおり、「チケット流通センター」の運営会社に対し、当社契約タレントのコンサートや舞台などのチケットを高額転売目的で出品する人物らについての発信者(出品者)情報開示請求を行っていましたが、運営会社からの任意の開示が拒否されたため、同社に対し、2024年10月18日付で、YC社を申立人として、東京地方裁判所に発信者情報開示命令を求める申立を行っておりました。この手続の結果、本年11月12日付で出品者の情報が開示されたことをお知らせいたします。
今後、当該出品者に対して、不正転売行為に対する責任追及を行う方針で検討を進めております。
また、「チケットジャム」の運営会社に対しては、2024年10月28日付で、Snow Manのコンサートチケットを転売出品している全件(1,224件)について、発信者(出品者)情報開示請求を行いました。この請求の中で、運営会社に対して、不正転売への対応業務の発生や、本来入場できない人物を入場させようとする行為がYC社への業務妨害・権利侵害にあたる旨を説明しましたが、運営会社からは、「不正転売への対応業務を行うのは当然必要な行為であり、一般的な不正転売への対応業務の発生により直ちに営業権の侵害があるとはいえない」などという回答があり、任意の開示を拒否される結果となりました。こちらについては、現在、裁判手続に向けて準備を進めているところです。
株式会社STARTO ENTERTAINMENT ーより引用
タレントを応援しているファンの中にも、チケットが高額な値段で転売されている様子を見て、心を痛めるは人は多くいたようです。
『チケットの不正転売』は、2019年6月から施行された『チケット不正転売禁止法』によって取り締まりが厳しくなりました。
今回、同社がおこなったチケット高額転売者に対する開示請求は、この法律に基づくものです。
消費者庁では、法律についてこのように説明しています。
人気のコンサートや舞台、スポーツイベント等のチケットを、業者や個人が買い占め、オークションやチケット転売サイト等で定価を大幅に上回る価格で販売する「高額転売」。このような不当な転売により、チケットを本当に求めている人にとって入手しづらい状況が続いてきました。そこで、チケットの高額転売等を禁止するため、2019年6月14日からチケット不正転売禁止法が施行されました。
チケット不正転売禁止法は、国内で行われる映画、音楽、舞踊等の芸術・芸能やスポーツイベント等のチケットのうち、興行主の同意のない有償譲渡を禁止する旨が明示された座席指定等がされたチケットの不正転売等を禁止する法律です。
消費者庁 ーより引用
転売サイトなどで、定価を大幅に上回って販売する『高額転売』を取り締まるために作られた、『チケット不正転売禁止法』。
違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科されます。業者だけでなく個人であっても、販売価格を超える価格でチケットの転売をおこなっていれば、罰則の対象となるのです。
多くのファンがライブに行けるためには?
今回、不正転売をおこなった人物の情報開示請求の続報を知らせた、株式会社STARTO ENTERTAINMENT。
「1人でも多くのファンのみな様に適正な方法でチケットが行き渡るようにするため、今後もチケットの不正転売に対して徹底的に対策を講じていく所存です」とコメントしています。
※写真はイメージ
この発表を受けて、ネット上では喜びの声が多数上がっています。しかし、多くのファンがコンサートを楽しむために、ほかの対策を求める声も上がっていました。
・営利目的ではなく、本当に応援している人がコンサートに行けることを願っています。
・ありがとうございます!SNS上での「譲ります」という投稿や取引もなくなるようにしていただきたいです。
・一歩前進ですね。さらに本人確認を厳重に行うことで、転売しても無駄という状態を作ることも必要ではないでしょうか。
・公式による『リセールシステム』をお願いします!当選したけど、体調不良で行けなくなった人が、きちんと行きたい人にチケットを譲渡できたらなと思います。
近年、チケットの不正転売については、オークションや転売サイトだけではなく、SNSでもおこなわれています。
「どうしても行きたいから」と、不正な方法でチケットを入手すると、思わぬトラブルに巻き込まれたり、高額で購入しても無効になったりすることもあるので、絶対に購入しないようにしましょう。
また、開催直前でも、チケットを譲ることができる『リセールシステム』が導入されてほしいという声も見られました。
『リセールシステム』がない場合、体調不良や仕事でコンサートに行けなくなった人は、料金を支払ったままコンサートには行けないという状況になってしまいます。
コンサート開催者が『リセールシステム』を導入した場合、安全にチケットの譲渡ができるので、ファンにとっても、コンサートの開催者にとっても都合がいいでしょう。
しかし、さまざまなシステムがそろっても、ファン全員の希望がかなったり、チケットが当選したりというのは難しいかもしれません。
まずは、不正販売をおこなう人は罰せられ、1人でも多くの人がコンサートを楽しめる環境が整うことが臨まれます。
今後、株式会社STARTO ENTERTAINMENTが、どのようにチケットの不正転売に対応していくか、注目しましょう。
[文・構成/grape編集部]