ニトリの「ファミレス」が全店閉鎖していた!3年8カ月で完全撤退「勇断」の背景
家具大手ニトリが手掛けたファミリーレストラン「ニトリダイニング みんなのグリル」が11月24日をもって全店閉店していたことがわかった。第1号出店から3年8カ月での完全撤退となったが、家具業界の絶対王者が飲食事業で成功できなかったワケとは?
「2021年3月18日に大々的な宣伝をすることもなく、ニトリ梅島ショッピングセンターの敷地内に『ニトリダイニング みんなのグリル 環七梅島店』がオープンしました。運営するニトリパブリッシングは『いきなり!ステーキ』のフランチャイズ店の運営も手掛けており、そのノウハウを利用してステーキメニューを中心としたファミレスを立ち上げたのです。なお、目玉となるチキンステーキの単品は当時500円で提供されており、『いきなり!ステーキ』よりも安いと大きな話題となりました」(フードライター)
既存のニトリの敷地や店舗内に展開できることで商品価格を安く抑えることが可能と考えられたことから、ニトリがファミレスでも天下を取る日が来るのではとの声もあった。しかし、実際には最大で6店舗まで増やしたが、その後は閉店が相次ぎ、11月17日にはサンドイッチ業態に転換した「みんなのサンドホームズ川崎大師店」も閉店。そして、最後の1店舗となっていた「みんなのグリル 環七梅島店」の閉店によって全店が閉鎖されたのだった。
「ニトリとしては飲食業は本業ではないため、ニトリダイニング をきっかけに家具やインテリアを見に来るお客さんが増える集客の役割や、滞在時間を伸ばす役割を果たしてくれればいいと考えていたのではないでしょうか。しかし、始めたのがコロナ禍だったため、当時はお肉を食べるなら換気設備の整った焼肉店が他を圧倒していましたし、その後はロシアによるウクライナ侵攻や鳥インフルエンザなどの影響でチキンなど輸入肉が高騰したこともあって値上げを余儀なくされていました。そのため、無理をしてまで飲食業を続ける理由もなくなってしまったのでしょう」(同)
3年8カ月と短かったが、ダメならスパッと辞めてしまえる判断はさすがニトリといったところだろうか。「いきなり!ステーキ」のフランチャイズ事業を手掛けた経験も生かされたのかもしれない。
(小林洋三)