「築58年の古びた平家」を148万円で購入→リノベ後の素敵なお家に衝撃!2児の母がこだわったポイントは
築58年の一戸建て(平家)の空き家を148万円で購入し、リノベーションして暮らしているセセさん。9歳と6歳のお子さんを育てるシングルマザーで、国内外でのインテリアコーディネーターとしての経験をお家作りに生かしています。
古い建物の良さを残しながら、明るく暮らしやすいお家に改装していく様子が、Instagram(@sese_goodlife)で日々発信されています。
今回はセセさんに、家を購入した理由や、リノベをする際の重要ポイントなどについて聞きました。
◆築58年の平家が、明るく開放的なシェアハウスに
セセさんは海外生活を数年間送ったあと、パートナーとの別れをきっかけにお子さんたちと共に帰国することに。
2022年2月に購入した地方の築58年の戸建は、広さは70平米程で、4Kの間取りでした。リノベ後は、3つの個室のうち1つはセセさんとお子さんたちの居室、2つは賃貸に出し、シェアハウスとして運営しています。
セセさんはなぜ、今の暮らし方を選んだのでしょうか。
「33歳くらいの頃から、シェアハウスを立ち上げる不動産コーディネートの仕事を始め、会社を経営しています。シェアハウスの運営をしたい方から依頼を受けて、立ち上げから数ヶ月間住み込み、コミュニティが安定したら、また次のシェアハウスに行くというかたちで、いろんな土地を転々としていました。シェアハウスは、さまざまな人の生活スタイルに触れることで、趣味や人脈などを含め新しい世界を知ることができるので、私の人生を変えてくれた暮らし方だと思っています。
現在の家は、シェアハウスにすることを前提に購入しました。帰国することを、子どもたちとも仲の良いかつてのシェアメイトの女性に話したところ、一緒に住もうと提案してくれたんです。私は海外にいたので物件探しはすべてお任せして、彼女の職場の近くに決めてもらいました。ただ、なんと彼女は一緒に住み始めて1年ほどで仕事を辞め、この家を出て行ってしまったので、今は2つの部屋を別の方に貸しています。家賃収入で、既に購入費用は賄うことができました」
◆築古物件の、リノベーションのポイントは?
リノベーションをする際、セセさんがまず着手したのは「断熱」だったといいます。
「海外に行く直前に、高性能住宅を扱う住宅会社とお仕事をしたとき、断熱や気密性について詳しくなりました。高性能住宅は全室室温が一定で、雪が降っていてもエアコン1台で快適なんです。そして海外生活をして、開発途上国の賃貸物件でもペアガラス(ガラスが二重になった断熱性に優れた窓ガラス)が当たり前になっていると知って、日本の住宅は、断熱性能がすごく遅れていると実感しました。
断熱性能が高いと、冬でも布団から出るのがまったくつらくないし、子どもたちが風邪を引かなくなったんです。だから次にシェアハウスを作るなら断熱性能に特化した家にしようと決めていました」
◆断熱工事中、壁がない状態で生活したことも…
4月の子どもたちの学校スタートに合わせるため、2022年2月に家を購入してから1ヶ月程度で断熱工事を終える予定でしたが、実際にはスムーズには進みませんでした。
「新しい土地で誰も知り合いがいなかったので、業者さんがなかなか見つからなかったんです。結局、地元の知り合いの大工さんに、5月末から3、4か月程住み込みで工事をしてもらいました。大工さん1人だったので時間がかかり、作業中は壁がないところをビニールで覆った状態で生活したり、そこに台風が直撃したりして大変でした(笑)。
リビングにある大きい窓を含めてすべて樹脂サッシ(樹脂でできた窓枠に複層ガラスなどのガラスを組み合わせた窓)に改装しました。また、北側にあった大きめの窓は採光が取れないのでなくし、個室の窓は小さめにして費用を抑えました。断熱にこだわったおかげで古い戸建でも快適なので、本当にやってよかったと思います」
◆古いトイレ、お風呂をスッキリと見せるには?
築古の物件で気になるのがお風呂やトイレなどの水回り。セセさんは、トイレの場所を洗面所の隣に移動し、使いやすい動線に変更。また、洗面所は印象的な丸いミラーを設置し、蛇口と洗面ボールを新しいものに交換しています。
「洗面ボールはグレーっぽい陶器製です。髪の毛や汚れが目立つのが嫌なので、白以外を選びました。ミラーの下の白いタイルはもともとついていたものです。また、もともとはお風呂場に洗濯機置き場があったのですが、それではドラム式洗濯機を置くことができなかったんです。そこでトイレがあった場所に洗濯機置き場を作りました。壁はピンクのタイルが貼ってあったので、それをいかしています」
「お風呂の壁も同じピンクのタイルで、床は水色の小さなモザイクタイルだったのですが、古くて汚れが気になりました。お風呂のリノベのイメージを検索していたら、コンクリートを塗っている画像があって『これだ!』と思い、壁も床もコンクリートを塗ってスッキリとさせてもらいました。風呂桶は小さめですが、予算があまりなかったのと、小さいほうが水道代の節約にもなるため、もともとあったものを使っています。完成したお風呂場は私は気に入っているのですが、SNSでは『ホラー映画に出てくるお風呂みたい』と言われて、変な意味でバズってしまいました(笑)」
◆珪藻土の塗り壁材でDIY
リノベーションは基本的にプロの業者に依頼し、あまりDIYはしていないといいます。
「よくDIYしているのか聞かれるのですが、私は難しいことはできないし、張り替えなど失敗したくないので、基本的には職人さんに頼るようにしています。ただ、和室やリビング、洗面所などの砂壁の塗り替えと、襖の張り替えは自分でしました」
「古い砂壁は汚く見えるのと、ポロポロと崩れて掃除が大変だったので、珪藻土の塗り壁材を自分たちで塗ることにしました。職人さんに頼むとすごく費用が高かったのと、素人がやったほうがムラが出るので味があっていいなと思ったんです。塗ってから乾くまで、季節などによるとは思うのですが5時間くらいだったと思います。和室はラベンダーグレイ、リビングは明るいラベンダーにしました。リビングにある襖はエメラルドグリーンに張り替えました。ただ、一部張り替えを失敗してしまいました(笑)」
◆まさかの事実発覚で150万円の追加費用?
リノベーションで最大のピンチは、途中でシロアリ被害が見つかったことだったといいます。
「購入時の不動産屋さんの調査ではシロアリ被害は見当たらないという話だったのですが、リノベ工事の途中で発覚して……。駆除業者に150万円かかると言われて契約したのですが、こんなに費用がかかったら他のリノベができないと途方に暮れました。
友人に話したら、『家の値段より高いじゃん』と言われて(笑)。それもそうだと思って、お世話になっている工務店さんに相談したら、『それは高すぎる』と、知り合いの駆除業者の方を紹介してくださり、40万円ほどで駆除できることになりました。最初の業者がぼったくりだったわけではないのですが、駆除の方法によって費用が大きく変わるので、いくつかの方法を検討したほうがいいと思います」
<取材・文/都田ミツコ>
【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。