年収1100万円で「静かな退職」実践中 「遊びの計画を練る時間が3割以上。もはや日課」と語る50代男性
必要最低限の仕事しかしない「静かな退職」という働き方が、若い世代だけでなく、働き盛りの世代の一部にも広まりつつあるらしい。マスコミ企業に勤めているという50代男性も、その一人のようだ。
「繁忙期以外、普段は仕事するフリして趣味のことや遊びに行く計画を練ったりしている時間が3割以上あり、もはや日課となっている」
と投稿を寄せた。それで年収1100万円というから、羨ましいと思う人は多いだろう。だが就職、転職に人気のあるマスコミ企業で、男性はなぜ「静かな退職」をするに至ったのだろうか。(文:天音琴葉)
「年下が上司になったのでアホらしくなった」
男性は「この5年間は経理部門で税務や予算管理を中心にデスクワークをしている」とし、業務内容に不満がある様子。
「予算管理や税務を担当しているが実は嫌いな仕事。50歳を過ぎて再配転され、40歳代の頃と違って極力言われたことしかしなくなった」
若いときの苦労は買ってでもせよと言われるが、年を取ってからの苦手な仕事はできるだけ避けたいもの。やる気を失った理由は、ほかにもあるようだ。
「改善や新しい取り組みとお題目を並べても、30年前とほぼ変わらない業容なのに能力主義もヘッタクレもないと感じており、加えて年下が上司になったのでアホらしくなった」
と言うものの、年齢が上がると上司が年下になるのは仕方ないかも。30年も古い体制が続いているのはウンザリするが。これらの不満を人事考課シートにも書いているという。
「今の職場に興味がない、向いてない、能力もないと平気で記入し続け、いつでも休めそうな部署へ異動を希望している」
なお、男性は「この15年ほど有休を100%消化している」というが、「今の職場は4月と10月が繁忙期で休めない」と補足した。
出世しても大して給料変わらない?
「静かな退職」を進めるのは、こんな事情もある。
「さらに57歳を過ぎると最高位の管理職以外の社員は強制的に役職もなくなった上、さらに2割以上の減俸となるので今年からはさらに仕事をしないようにしている」
現在の年収1100万円から2割減ったら、880万円になる。それでも日本の平均年収からしたら高いほうだが、200万円以上も少なくなれば、やる気を失うのも無理もない。
どうやら男性は、「静かな退職」をするよりもだいぶ前から、「仕事を頑張らない」と決めていたようだ。「40歳ぐらいまではある程度の立身出世を望んでいた」というが、「人生は一度きりであり、家族との時間を大事にしつつ好きなことをして自分らしく生きたい」と、考えを改めるきっかけとなった出来事があった。
「30歳半ばに給与計算の仕事を担当したことがあり、出世した場合とそうでない場合の具体的な給与格差を把握できたことが大きい」
それぞれの給与を計算した結果、「驚くほどの差がつかない」と気づいたという。だが20年ほどで社会情勢が大きく変わった。
「ここにきて伸びる寿命や年金の少なさと物価高で役員になった同期が羨ましいと少し思った。ここ4、5年は年下が上司や上級管理職になり多少は惨めに感じたこともあった」
と多少の後悔もある様子。そうは言うものの、「趣味や妻のために有休を使い切って陰でほくそ笑んでいる。嘱託になるまであと3年なので、閑職への配置転換を希望し続けています」と結んだ。
ところで、どの会社でも「静かな退職」ができるわけではない。男性は自身の勤め先について、リストラがなく、世間よりは給与水準が高いとも明かしている。会社によるところが大きいだろうか。
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