人気ギタリストが「乳首を切除した」まさかの理由。全身にメスを入れるも「後戻りできるように考えて身体を改造している」
実力派として名高いギタリスト・MiA氏(33歳)は、自らの演奏活動のほか音楽プロデューサーもこなし、多才な面が光る。また、GACKTやHYDE、Toshlなど、誰もが知るミュージシャンたちからサポートギタリストを任されるなど、信頼も厚い。
音楽活動以外では、昨年8月に「乳首を切除した」旨のSNS投稿が大反響を呼び、その名前が一層知られることになった。実際に対峙したMiA氏は、筆者に気づくなり深々と挨拶をし、質問のひとつひとつに真っ直ぐ視線を返す好青年。上腕に入った刺青や“乳首”投稿とのギャップに、少なからず戸惑う。ミュージシャンMiA氏とは何者なのか――“なりたい姿”へ改造していくMiA氏のモチベーションに焦点を当てる。
◆「乳首」についての真相は……?
――いきなり直球ですが、SNSでの発言が話題ですね。MiAさんにとって、「乳首」は必要ないんでしょうか?
MiA:実は、個人的には断固として要らないと思っているわけではないんです(笑)。ただ、仲の良い女友達が乳がんになってしまって。乳房を切除しなければならず、「乳首もなくなっちゃう」と落ち込んでいたので、励ますつもりで「再建技術もあるから、切除しても落ち込むことない」って言ったら、「じゃあ自分も取って」と言われて。それで彼女が元気になるならいいかなと思って、切除手術をしました。いま、乳首全部を取ったわけではなくて、乳輪を数ミリ切除したところです。なので見た目的には普通で……(笑)。
――序盤から漢気に溢れたエピソードで、驚きました!
MiA:いや、別にカッコいい話とかではないんです(笑)。その女友達にも「本当にやったんだ(笑)」とぽかんとされましたし。それに、男に乳首が要らない理由なんて瞬時に100個くらい思いつきますよね。たとえばギターを弾くときに邪魔であるとか。だから、そんなに深く考えて行動したわけじゃないんですよね。
◆後戻りできるように考えて身体を改造している
――MiAさんは乳首切除の他にも、美容整形手術、刺青、舌に切れ込みを入れるスプリットタン、手にシリコンを埋め込むなど、身体のあらゆるところにメスを入れていますよね。いわゆる人体改造には、昔から興味があったのでしょうか?
MiA:それが意外とそういうわけでもないんですよね。昔は「ミュージシャンとしては普通すぎる」と言われていたくらいなんです。今でも、「普段は普通でありたい」とさえ思っています。
たとえば刺青についても、一般には消せないと思われていますが、高い技術を持った医師であれば綺麗に消去することが可能なんです。知り合いにそうした技術を持つ医師がいて、コネクションを作ったうえで刺青を入れています。スプリットタンも縫い合わせれば普通の舌に戻りますし。もちろん、女友達に話したように乳首も再建できます。どれも、後戻りできるように考えて身体を改造しているんです。
昔から用心深く、慎重で保険掛ける性格で……悪く言えば小心者といったところでしょうか(笑)。一方で、ミュージシャンとして生きるからには、人目を惹く容姿が必要だとも考えています。ライブ時に撮影された写真を見返してみて、やはり上腕に刺青があったほうが映えるのは確かなんです。そういう客観的な目で研究した結果、いまの容姿に落ち着いたというところでしょうか。もちろん、肉体を鍛えることにも余念がありません。とにかく1%でもステージ映えする容姿になれればと思っています。
◆「外面の奇抜さだけを演出した人」に実力者はいない
――さまざまなことを考えた結果、現在の外見にたどり着いたというわけですね。かなり筋トレもしている様子が伺えます。
MiA:そうですね、現在は週に5回は最低トレーニングジムに通っています。1回の筋トレで2時間以上はやるようにしています。常に、昨日の自分よりも心身ともに強くありたいんです。もちろんギタリストですから、毎日5〜6時間のギター練習は欠かしません。
――奇抜な見た目と裏腹に知略家であることに率直に驚きました。
MiA:知略家なのかはわかりませんが、常に自分が属する世界のTPOに合わせた振る舞いをしたいとは考えています。芸能界は派手な世界ですので、そこに埋没しない容姿を得ることは努力義務だと思うんです。もちろん、音楽の腕も落としてはいけない。
私の目からみて、外面の奇抜さだけを演出した人に実力者はいないように思います。私はGACKTさんやHYDEさんを尊敬していて、公私ともに可愛がっていただいていますが、大スターなのに本当に礼儀正しく優しいし、人を裏切らない誠実な方々だと感じます。派手な世界にいるから人の道を外れてもいいなんてことは絶対になくて、むしろ第一線で活躍している人たちは他者への配慮を怠らない温かい人です。僕はまだまだ全然ですけど(笑)。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki