コンビニ大手3社の「肉まん」「高級豚まん」を実食。この冬に食べるべき“コスパ圧倒的”の肉まんは
だんだん肌寒くなり温かいものが恋しくなると、無性に食べたくなる肉まん。たまたま近くにあったコンビニで適当に買う、という人が多いかもしれませんが、レジ横のウォーマーの中を見ると、普通の肉まんの上段に、“特撰”や“極上”と書かれた豚まんが置かれています。
値段は50~100円くらい高い豚まん、果たして値段差に見合う価値があるのでしょうか? 加えて、大手3社のコンビニでどういった違いがあるのか? 実食を交えて検証しました。
なお、地域ごとに異なる商品が販売されているものもあるため、地域による違いよりも、全国的に共通する内容にフォーカスするよう努めました。筆者は近畿在住のため、お住まいの地域で売られていない商品については、参考程度にご覧ください。
◆ローソンの肉まんは「ふんわり柔らかい皮」が魅力
それではさっそくまいりましょう、まずは「ローソン」から。「肉まん 170円(税込)」は、公式HPには「毎日食べても飽きない味わい」とあります。では実食!
具は醤油の甘辛さが立った味わいで、玉ねぎの甘みもほんのり。具材がそれぞれごろっとしており、肉感や、竹の子のコリッとした食感・風味も味わえました。さらに特筆すべきは皮で、ふんわりと柔らかく、2つに割って横から持つと、具の重みで皮が垂れ下がるほどの柔らかさでした。自然な小麦の風味が感じられ、味も良かったです。
続いて「特撰 塩豚まん 268円(税込)」。おもに関西は塩、関東は醤油と地域で味付けが異なります。こちらは「独自ブレンドのもちもちの生地に玉ねぎの甘味を生かした」とのこと。普通の肉まんと比べて98円高く、コンビニ大手3社の中で最も値段差が大きい商品です。
具はしっとりと滑らかな口当たり。ナチュラルな塩加減が、豚の食欲をそそる風味と旨みを引き立てています。ふんわり食感の皮と相性抜群で、あっという間に完食してしまいました。普通の豚まんに比べると、味わいがマイルドかつ上品。コンビニの肉まんは、なんとなく大味なイメージがあるという方に、ぜひとも試してほしい一品です。
全体的に、「食感のコントラストが豊かで、皮が一番美味しいのはローソン」と言えそうです。普通の肉まんも十分美味しいのですが、高級豚まんも“ちょっといいものを食べている幸せ”を噛みしめられる逸品でした。
◆ファミマは中華スープがベースの味付け
お次は「ファミリーマート」。ベーシックな肉まんにあたる「じゅわっとジューシー本格肉まん 168円(税込)」は、公式HPでは「中華料理のベースに使用される“毛湯(まおたん)”と“清湯(ちんたん)”の2種類のスープを用いた、本格中華の味わい」など、かなり長文で説明されており、熱の入りようが伺えます。味のほどはいかに……。
具のところどころに、粗挽きミンチのごろっとした食感が感じられます。味付けは中華スープがベースでマイルド。しかしそれに比して皮の甘みがかなり強く、肉の味がぼやけていると思ってしまいました。
皮には、少々べたつきも……。とはいえ、皮の甘みは好みの分かれるところで、これはこれで「おやつ感覚で気軽に食べる」にはちょうどよいかもしれません。
◆黒豚まんは脂の甘みを感じるほどの濃厚な味わいに
高級豚まんの「極旨 黒豚まん 240円(税込)」は、「国産黒豚を100%使用した、粗挽きミンチのゴロッとした肉の食感と玉ねぎの甘みが特徴」とのこと。普通の肉まんとの値段差は72円で、大手3社ではちょうど中間にあたります。
噛むと肉のジュワっという音が耳に届くくらい、とってもジューシー。脂の甘みを感じる国産黒豚の濃厚な味わいを、ペッパー系のスパイスがほどよく引き立てています。皮の甘さも、こちらは控えめに感じられました。
「普通の肉まんは気軽におやつ感覚で、高級豚まんはもう少しがっつり食べたいときに」と、こちらもしっかりと違いが楽しめました。
◆セブン-イレブンは「普通の肉まんの完成度が高い」
ラストは「セブン‐イレブン」です。「ふんわり×ごろっと 肉まん(税込161円)」は、公式HPに「熟成期間をとった旨みの強い豚肉と、玉ねぎ・竹の子・椎茸のゴロゴロとした具材感が楽しめる」とあります。実食!
豚のジューシーさだけでなく、竹の子の風味と椎茸の旨みが豊かに感じられ、単調でない深みのある味わい。皮ももっちりと心地よく、風味もナチュラルで具をしっかりと受け止めています。「食事として満足できる本格的な味」だと感じました。
「もっちり×ジューシー 特製豚まん(税込210円)」は、普通の豚まんとの値段差49円で、今回の比較では最も差が小さい商品です。なお、こちらは近畿限定商品。それ以外の地域では「もちもち×ずっしり 大入り豚まん (税込241円)」が販売されているので、近畿以外の方は参考程度に。
普通の肉まんよりも、豚肉と玉ねぎの甘みが一体となった、シンプルな味わい。皮も弾力がありながら口どけよく、正統派という印象。「懐かしさを感じる、オーソドックスな一品」と言ったところでしょうか。
とにかくセブン‐イレブンは、「普通の肉まんの完成度が高い」と感じました。
◆普通の肉まんなら「セブン‐イレブン」、高級豚まんは「ローソン」!
以上、今回は6品を食べ比べました。最後にまとめると、「ファミリーマートは食べ応えに違いあり」、「ローソンは皮が旨い」、「セブン‐イレブンは普通の肉まんが秀逸」という結果に。
豚ミンチベースの具に厚めの皮、というシンプルな点心メニューながら、各社さまざまな工夫がこらされていました。高級ラインもしっかりと差異化が図られており、全体的に普通の肉まんよりひと回り大きいサイズもさることながら、一食の価値がある仕上がりだと思います。
ひと口頬張ればほっと温まる肉まん。2つ買って友人や同僚、家族とシェアして食べ比べるのもいいかもしれません。
文/川瀬章太
【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中