野生のトラが農家の門に体当たり 九死に一生を得た74歳男性(中国)
18日の午前6時過ぎ、黒竜江省七台河市の勃利県にある農村で、野生のシベリアトラが目撃された。
当時の様子は監視カメラが記録しており、巨大なトラが農家の前の通りを唸り声を上げながら疾走する様子が確認できた。
近所の住民は「なんてこった、トラがいるぞ!」と驚きの声を上げ、農家の敷地内でこの警告を聞いた男性(74)は、いったん門の外に出た。
しかし、この男性はトラが自分に向かって来るのを察し、慌てて戻って門を閉めてトラの様子をうかがった。
するとトラは、猛烈な勢いで門に体当たりし、大きな金属音を響かせながら門が歪んだ。一方で男性は、トラに背を向けて慌てて逃げ出し、門が襲撃を防いでくれたお陰で、九死に一生を得た。
男性は当時のことを、「金属製の門が自分を守ってくれると信じていた。トラが門に激突するまでは怖いとは思わなかった」と明かしたが、「私ももう74歳だからね。トラを振りきって逃げることはできなかっただろうね」と述べ、トラが諦めて襲ってこなかったことに胸をなでおろしていた。
今回の監視カメラの映像はSNSで拡散し、「トラはあの門を飛び越えることもできたのでは? 男性は幸運だったよ」「門がなかったと思うとゾッとする」といったコメントが多数見られたが、実はこの日、同じ村で男性2人がトラに襲われ、そのうちの1人が重傷を負った。
怪我をしたのは65歳の酪農家の男性で、牛に餌をやるために歩いていた際にトラに押し倒されて左手を噛まれ、病院で4時間に及ぶ手術を受けた。幸いにも手術は成功したが、村内では「男性は腕を切断する必要がある」との噂が広まっていた。さらに、「シベリアトラは2頭いた」という証言もあり、村は一時的に混乱状態に陥った。
勃利県でトラが目撃されたのは初めてのことで、当局は地元住民に対し、不要な外出を控えるように警告した。また、トラの糞や足跡を発見した場合には速やかに報告し、家畜の監視と村内のパトロールの強化を呼びかけた。
シベリアトラは世界最大のトラで、特に大きい個体は体重が300キロを超えるという。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧亜種(EN)」に分類され、中国のニュースメディア『Firstpost』は、国内に約70頭の野生のシベリアトラが生息していると伝えている。
画像は『星島日報 「老虎咬人|逾4小時手術順利完成 村民左手保住了」』『Firstpost 「WATCH: Farmer narrowly escapes as Siberian tiger charges at him in China’s Heilongjiang province」(Screengrab)』より
(TechinsightJapan編集部 A.C.)