「円安の今こそハワイへ」投資生活45年超の85歳・現役投資家が勧めるワケ
お金を増やすためにはどうしたらよいのか。
今回「オトナの5分読書」で紹介する、石井勝利著『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)に、その秘訣がありました。
▶前回:「会社に行きたくないときは、どうしたらいい?」大人の素朴な疑問にお答えます
▼INDEX
1. ハワイに行くなら、円安のいま行くべし
2. 金相場が上がっているいま、買いか売りか?
3. 新NISAの宣伝に騙されるな
4. 不動産の本質
5. 本書のココがすごい!
1. ハワイに行くなら、円安のいま行くべし
この本を書いている時点では、円がドルに対して、大幅な安値をつけています。
円が安いということは、海外の品物が高くなる。飛行機や海外のホテルなどの利用料金が高いということです。
それに対して、海外の人が日本で物を買いサービスを受けるのは、割安になります。そのため、2024年になってから海外からの旅行者が急増しています。
円が安いので、日本人は海外に行くと昔よりもお金がかかり、国内旅行を優先しなければなりません。
インバウンドと日本人が観光地に押し寄せるので京都などの外国人に有名な観光地は、人であふれて観光公害の状況を呈しています。
とくに、我々が困るのは、ホテルの宿泊費が高騰していること。観光地だけではなく、東京のホテルもビジネスホテルは急激な値上がりをしています。
逆に、円安の影響で、日本人に人気のあるハワイへの旅行者が少ないようです。
つまり日本人が行きたい人気の観光地は、割合空いているので、少し高くても行くにはチャンス。
円が安いのでお金はかかりますが、日本人が押し寄せない海外の人気地は、むしろ、逆転の発想でお勧めです。
お金でも行動でも、流れの逆を行くことで楽しみが増え、行ってよかったという思い出になります。旅行に限らず、使い道の良い方法で消費を楽しみましょう。
割高だから行かない、というのではなく、あまり行けないときに行くという考え方が、お金の使い道が良いことになります。
2. 金相場が上がっているいま、買いか売りか?
いま、金相場が上がっていますね。
田中貴金属など売買可能な場所に、金のアクセサリーとか、金に関するものを売りに行く人が多いようです。なにしろ、いままでにないくらいの値上がりなので、売ってお金に換えようという人があとを絶ちません。
そこで、いま、金は売るべきか買うべきか。
私は、金は買わなくても良いですが、保有している金製品は、慌てて売らなくても、更に、長期的に値上がりするのはわかっているので、保有が賢明かと考えます。
株式などは、企業の業績や市場の動きで、上下が激しいですが、金は長期的に相場を上げています。そういう意味では、長期の投資、資産運用を考えている人は、金での資産運用が賢明です。
投資目的であれば、アクセサリーではなく、そのまま売買できる金の延べ棒がよいと思います。
しかし、金のアクセサリーを購入して、楽しみながら運用するのも1つの方法です。貴金属には白金やダイヤモンドもありますが、交換しやすく、値上がりが景気と連動するのは金なので、宝飾品は金で保有することを勧めます。
3. 新NISAの宣伝に騙されるな
新NISAについて、考えてみましょう。
新NISAの特徴は、いままでよりも、非課税の枠が広がったということです。何に対して非課税なのかといえば、「儲け」に対してです。ですから、儲からない、損をしている状態では何の特典もありません。
通常の投資では、儲けに対して、国税、地方税、合わせて利益に対して20%の課税がなされています。日本人は、お金は預貯金に入れる傾向があります。しかし、国は非課税枠を広げるということで、預貯金に回していたお金を株式投資などに移動させ、利益に課税しないという「アメ」を用意したのです。
ただ、現在の株式投資の傾向では、利益を確保する人は投資家全体の5%程度に過ぎず、あとの95%は「含み損」を抱えているというデータがあります。したがって、運用に対して、プロ級の人には恩恵がありますが、「新NISAってなんだ」というような初心者には、ほとんどメリットがないのが実情です。
もちろん投資の基本である「定額投資」であれば、高い時は少なく安い時は多く買う「ドルコスト平均法」で購入すれば、含み損が出る可能性があります。つまり新NISAが得なのではなく、ここにお金を入れて、賢くお金を増やす方法にメリットがあるのです。
それに気が付かないで、証券会社の口座で新NISA枠を使えば有利である、得をするという考え方は甘く成功はありません。
新NISAは損をすると断言するわけではありません。運用法を学び、コツコツと利益を積み上げるスキルを持てば、勝ち組の5%に入り、非課税の恩恵を受けるのは不可能ではありません。
そこで、1番重要なのは、信頼性のある企業の株を買うことです。その企業とは、資本金、業績、配当などで、安定的に稼いでいるところです。
私はメールマガジンで投資に勝つための貴重な情報を流していますが、読者の中には、1億円の収益を上げる強者もいます。一方で、どんなに役に立ち勝つ確率が極めて高い情報を流しても、自己流から抜け出せないで、資産をなくし退場する人も多くいます。
そこで、いかにして投資で収益を上げるか、その方法を列挙すると下記になります。
①対象株であればプライムに限定する
②投資先は、チャートで穏やかに上げている銘柄の押し目で買う
③たとえ収益が増えても、追加で同じ銘柄を買うと売買の単価が上がるので、買わない
④仕込む銘柄は今期現役で、来季増益銘柄の押し目を仕込む
⑤無限の上げはないので適度に利益確定し、出遅れ有望の銘柄と入れ替える
(押し目とは、上昇トレンドにある株価が一時的に下落すること※編集部注釈)
投資経験の少ない人、株式投資に自信がない人が新NISAの非課税の恩恵を受けたいと考えるときは、運用成績の良い海外、とくにアメリカの商品が良いでしょう。運用成績は、ネットで検索すれば出てくるし、銀行などの窓口でも要求すれば出してくれるはずです。
このように運用実績、企業の安定、成長性をしっかり把握して、運用しましょう。このような努力をしないで、NISAの運用が上手くいくことは皆無です。
努力しないでお金が増えることはありません。このことをしっかり肝に銘じ、調査し投資対象にいれることを勧めます。
4. 不動産の本質
「お金を増やしたい」
このように考える場合、1番重要なのは、時代背景を大切にすることです。
私が高校を卒業して文化放送に就職をしたとき(1960年代)の月給は、なんと8,000円でした。
いま、低賃金と言われていますが、当時はこれでアパートを借りて生活していました。
結婚した時の給与は、月給1万6,000円でした。8,000円から見れば増えましたが、当時のトイレ台所付きの6畳間は、家賃が1万6,000円だったので、給与は家賃で消えました。幸い、妻が働きに出て、2万円近く稼いでくれたので生活は成り立ちました。
当時は、20円でコーヒを飲み、40円でランチが食べられました。こんな「低物価」「低賃金」でもチャンスがありました。なんと親父から「山を売ったから200万円、相続代わりにあげる」という連絡が入ったのです。
私は、新婚から1年後、埼玉の与野市(今はさいたま市)に一戸建ての分譲住宅を430万円で買いました。
あとから考えると粗悪な住宅でしたが、これが買い替え、買い替えで3軒目には八王子の東急不動産分譲住宅が2,150万円になり、バブル時代は6,600万円に化けました。
つまり、お金は頑張ってローンを組んで不動産を手に入れることで、「大化け」するのです。
思いがけないお金、少しのお金でも有効利用、浪費に回さなければ、大化けのチャンスを物に出来るのです。
この方式を頭にたたき込んでください。
お金がお金を生む法則を知る
お金をどうやって増やすか。
誰もが知りたいスキルですが、「コツコツためる」というのは、種銭くらいです。そこで、どうするか。それは企業ならどこでもやっている「借り入れ」です。
私は新婚1年後に一戸建てを買ったと書きましたが、渋谷区に住んでいた私が埼玉に家を買えたのは、7年返済の住宅担保のローンを組んだからです。
当時住宅ローンというのはありませんでしたから、普通ならばありえないやり方です。「ローンを借りる」「とにかく買う」この決断がなければ、マイホームは実現しませんでした。
「買うか、借りるか」
このような議論がありますが、私は、不動産は資産なので「買うべし」と言いたいところです。銀行も「貸してナンボ」。
貯金を引き受けるだけでは、利益は上がりません。銀行とのお付き合いでローンを借り入れた私は、主にファミリーマンションを手に入れ、それを貸し出し、後に転売して差益を得ました。
それもこれも、銀行からの借り入れで増えていった私の資産です。
私は、5年前に都心にマンションを買い替えましたが、相場は5年で2倍になっています。ファミリーマンションの東京の値上がりはすさまじく、ものすごい値上がりです。賃貸は、引っ越し自由ですが、このような資産効果は得られません。
昔から「持ち家」の人は信用力で有利ですが、持ち家、保有資産があると気持ち的に安心し、黙っていても資産価値が増えるという効果があります。
資産が増えるか、増えないかは、不動産でもわかりますが、その前に少し厳しくても「買っておく」という決断がなければ、いくつになっても家賃を支払う、インフレをうらやむということになります。
私には、娘1人と孫1人がいますが、彼らの住まいも今のような億ションになる前に、購入の手助けをしました。それは社宅マンションを交渉で買う、売っていないものを買ってしまうという「離れ業」での入手です。
これは、たまたま人脈でなし得たことですが、「不可能はない」、この私のポリシーでなし得たことでもあります。
何事も、最初に「成し遂げる」という胆力があれが、資産もお金もガンガン増えます。それができないのは「やらないであきらめる」という考え方です。
なんでも、やってみて、活路を広げる。このモチベーションが重要です。
お金が増えるか否か。それは技術だけではなく、「やるだけやってみる」ことが重要。最近は、ネット詐欺で大金を失う人が増えていますが、「誰かに頼る」「楽して想定外のリターンを望む」、この安易な考え方が、とんでもない被害のもとになるのです。
楽してお金が増えることはゼロです。これは絶対なので、心に刻みましょう。
5. 本書のココがすごい!
今回紹介した『85歳、現役・投資家のお金の哲学』石井 勝利著(SBクリエイティブ)のすごいところは下記に集約される。
①第二次世界大戦から現在までの経済の浮き沈みを見てきている著者の言葉に、説得力がある。
②不動産や株式投資などを例に、あらゆる分野で「お金を増やす」考え方の根幹を「哲学」として教えてくれている。
【著者】 石井勝利(いしい・かつとし)
経済評論家
早稲田大学政治経済学部卒。1939年生まれ。宇都宮工業高校から、高卒で文化放送に就職。働きながら夜学独力で大学を出た苦労人。
政党機関紙の記者を23年務めた後、住宅、金融等の著作、評論活動で独立。『日本経済新聞を120%読みこなす法』(10万部)、『マンガ版 生まれてはじめて株をやる人の本』(20万部)等で、ベストセラーを連発。
最近はデイトレ対応、チャートの読み方、5分足チャート、仕手株本などを手がけ、ヒットを飛ばす。投資生活45年超、著作は400を超え、安定したファンがある。
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