地方連携でアメリカ市場を切り拓け!地方の魅力を凝縮した食の新ブランド「JAPAN-O」がアメリカデビュー。2024年9月にNYとLAで現地バイヤーを招待した第1回商談会を開催しました。
株式会社KKTエンタープライズ
日本各地から集めた高付加価値の商品を海外市場に売り出す新JAPANブランドをアメリカ(NYとLA)で発表。地方の中小・小規模事業者がアメリカ市場に挑戦できる「輸出プラットフォーム」を構築します。
試食商談会 ロサンゼルス会場 ※協力:JAPAN HOUSE Los Angeles(会場提供、企画・調整など全体的なサポート含む)
地方の個性的な商品に高付加価値をプラス!新たなJAPANブランドに!!
株式会社KKTエンタープライズ(本社:熊本県熊本市 ※以下KKTEP)は、ローカルテレビ局 株式会社熊本県民テレビ(日本テレビ系列) の関連会社であり、「地方創生」が打ち出された2014年頃から、地域の食材や資源を活用してこだわりの商品を作る全国の中小・小規模事業者に対して新商品の開発や新規販路開拓を支援するプロジェクトを推進してきました。地方にはその地域の特性を活かした個性的で魅力的なストーリーを持った商品が存在していますが、どれも大きな課題に直面していました。
地方の中小・小規模事業者にとって、国内の大都市に販路を開拓するには、価格・ロットの問題が大きくのしかかります。大手メーカーとは違い、こだわればこだわるほど価格は上昇し、また事前のマーケティングに十分な予算を投下できず、本来の高い価値が認知される前に価格競争で淘汰されているのが現状です。そして高齢化や過疎化と相まって、愛すべき商品や作り手が次々と消えていき、衰退が進んでいるというのが今の日本の地方が抱えている深刻な状況です。
KKTEPでは、こだわり抜かれた地方の商品が持つ「高付加価値」を価格に反映することができないか、そのことで地方をもっと活気づけられないか、と長年試行錯誤を繰り返してきました。
一方、海外では和食の人気が高まっています。特にアメリカにおいては、寿司をはじめとした日本食ビジネスは年々増加傾向にあり、市場規模が大きな都市も多いため、マーケットとしての伸びしろは依然として大きなものがあります。
そこでKKTEPは過去に出会ってきた様々な地方商品に改めて向き合い、アメリカ向けに日本商品の高付加価値を伝えるための「新・JAPANブランド」を考案しました。アメリカ市場を狙った理由は下記の3つです。
■理由1.
海外の販路開拓先として日本中がアジアに目線が集中している一方で、市場規模が大きいアメリカにはまだ日本の各地方商品が充分に届いていない。また、知られていない。
■理由2.
国内の冷凍技術が高度化したことで、冷凍中食文化が根付いているアメリカ市場に地方からもクオリティの高い冷凍加工食品が届けられる。
■理由3.
健康志向や食の多様性が高まるアメリカにおいて、和食ブームも追い風となり日本の食品は高い価値につながりやすい。
以上の理由から、日本の地方商品をアメリカ市場に流通できれば、他との差別化や高付加価値化が可能であると考えました。しかし、既に大手メーカー商品をはじめとして多くの日本食品は既に流通しています。価格競争では立ち向かえないそれらの商品と差別化をするため、また地方商品の価値を伝えるためにたどり着いたのが次のコンセプトでした。
新ブランド「JAPAN-O(ジャパン・オー)」。日本のモノづくり精神は「御 = お」にあり!
米は世界中にあれど『お米』はニッポンにあり。肉は世界中にあれど『お肉』はニッポンにあり。
野菜は世界中にあれど『お野菜』はニッポンにあり。魚は世界中にあれど『お魚』はニッポンにあり。菓子は世界中にあれど『お菓子』はニッポンにあり。
食事は世界中で食べられど「お食事』はニッポンでしか味わえない。
日本独特の言葉である「御」は、敬意を表す接頭語として用いられ、日常的な言葉をより丁寧にするために使われています。細かく丁寧な作業、素材や環境への敬い、お客様に対する感謝の気持ちなど、日本のモノづくり精神はこの「御」という言葉に込められているのではないでしょうか。
私達は「御」をアルファベット「O」に置き換え、「JAPAN」に日本の付加価値を表現する「O」を加えた『JAPAN-O(ジャパン・オー)』をプロジェクトタイトルとし、またそれをアメリカ向けの新JAPANフードブランドとして確立しました。
JAPAN-Oブランド コンセプトビジュアル(制作:株式会社クリエイティブアローズ ※東京)
熊本、徳島、高知、島根、三重、京都、岐阜、静岡、神奈川、富山、新潟、岩手、青森の13地域から、こだわりや地域性のある17社が参画。※写真の参加事業者は一部
「御=O」でプレミアムな価値を表現。プロジェクトに参画した事業者はいずれも地域に根づき、地元の食材を活かしてこだわり抜いた商品づくりを行っています。また、アメリカという新たな市場に挑戦する熱意を持っている事業者が集まりました。各社を紹介するショートムービーを公式YouTubeで配信中。
全国の地方商品の価値を磨き、アメリカ輸出をワンストップで支援する「地方をプロデュース」する新たなスキームを構築。
地方の中小・小規模事業者にとって、単独ではハードルが高いアメリカへの食品輸出。KKTEPは物流と貿易である2社とのパートナーシップによりその課題をクリアできる環境を整えました。
1社目はアメリカ現地法人であるFresh Foods Master Ltd.(本社アメリカ※以下FFM)。
アメリカ各地(LA、LV、他)で独自に開拓したマーケットへ日本の水産物をはじめ加工品など販売しており、さらに販路先エリアを拡大しています。貿易上ではConsigneeを担う会社となります。
2社目は株式会社J・MADE(本社:東京都 代表取締役社長 吉川 正晃)。
J・MADEは輸出ノウハウが豊富で、FFMと提携し既に日本から水産物等を輸出しています。貿易上はShipperを担う会社となります。
この2社とのパートナーシップにより、輸出前のマーケット調査と開拓、輸出商品の成分調査、輸出企業のFDA登録、輸出時における現地までの輸送・アメリカ国内での配送など、アメリカ輸出に必要な全てのロジスティックとビジネスノウハウに加え、出口となる現地マーケット情報まで、日本の地方が連携してシェアすることが可能となるプラットフォームが構築できました。
今回、NYとLAで開催した商談会にはそのプラットフォームを実践する形で、熊本、徳島、高知、島根、三重、京都、岐阜、静岡、神奈川、富山、新潟、岩手、青森、全国13地域から17社が参加。FDA登録や物流ルートなどを一括事務局でサポートしアメリカへの輸出を行いました。
商談会では商品(モノ)だけの紹介ではなく、それぞれの地域特性や素材の特徴、製法のこだわりなどを映像を活用しながらプレゼンテーションを行いました。会場では参加者より「アメリカではまだ知られていない商品を知ることができた」「日本らしい商品やその作り手が素晴らしかった」などの評価を頂きました。
両会場それぞれバイヤー他40名が参加。日本とリモートで繋いだプレゼンテーションも。
NY、LA両都市のバイヤーが参加。ニューヨーク(会場:THE NIPPON CLUB)、ロサンゼルス(会場:JAPAN HOUSE Los Angeles)、それぞれ現地バイヤー、TV局などのメディア、インフルエンサー等、各会場とも約40名の参加者が集まりました。日本からは事業者3社が現地会場への直接参加と熊本からのリモート参加でプレゼンテーションを行いました。
ニューヨーク会場(9/19 THE NIPPON CLUB)
ロサンゼルス会場(9/25 JAPAN HOUSE Los Angeles)
政府関係機関から期待の声も。会場には在ロサンゼルス日本国総領事館より曽根総領事、JAPAN HOUSE Los Angelesより海部館長、日本貿易振興機構(JETRO)ロサンゼルスより津脇次長にご参加いただきました。世界中の人々が健康的で栄養価が高い食に評価を寄せる中で、日本食品の可能性は極めて高いとのお話がありました。また地方が連携した新たなプラットフォームには大きな期待の声を頂きました。
在ロサンゼルス日本国総領事館 曽根総領事
JAPAN HOUSE Los Angeles 海部館長
日本貿易振興機構(JETRO)ロサンゼルス 津脇次長
The American Dream TV (Amazon Fire 他で配信中)
アメリカ現地メディアでも紹介アメリカ各地のローカル情報を紹介するTV番組「The American Dream TV」が会場を取材。11月9日よりAmazon Fire 、Apple TV、Roku にて配信されています。配信動画はこちら。(※開始後10分40秒あたりから)
NTT西日本富山支店が構築した「需給マッチングプラットフォーム」の実証実験。
本プロジェクトでは、NTT西日本富山支店が推進する需給マッチングDX化プロジェクトとも連携し、新たに制作された「需給マッチングプラットフォーム」の実証実験もあわせて実施しました。国内の商品を現地バイヤーに紹介することはもちろん、現地バイヤー側のニーズ・要求を国内事業者に伝えることができるマーケットインのリクエスト機能も搭載しています。参加したバイヤーからは「見やすい、使いやすい、今後活用したい」などの高評価を得ることができました。
NTT西日本富山支店が構築するプラットフォームとの連携イメージ
国内外の需給マッチングをDX化NTT西日本富山支店が構築を進めているマッチングプラットフォーム。国内の様々な商品情報が登録され、旬の情報を瞬時に現地マーケットに伝えることができる画期的かつ実践的なシステムとして将来的なサービス化を目指している。
現地ブレーンとの協業で「マーケット・イン」の視点から、toB・toCの両面で「地方とアメリカをつなぐ」多角的展開を計画中。
本プロジェクトでは2024年10月にロサンゼルスのオレンジカウンティで毎年開催されている大型日本文化紹介イベント「OC JAPAN FAIR」に現地消費者向けテストマーケティングを目的としたブースを出展しました。3日間で5万人近い現地の「日本ファン」が来場するこのイベントで直接消費者の反応やフィードバックを受けることができ、現地のバイヤー向けならびに国内サプライヤー向けにマーケティング戦略において有効なデータの収集ができました。一方で改めて痛感したことは、
「マーケット・インの視点と考え方の重要性」です。
「日本から良いものを持っていく!」というプロダクト・アウトの視点だけではなく「アメリカの消費者のニーズにマッチする」という視点を加えることが求められます。とはいえ、地方からその視点やニーズを掴むことは難しいのが現状です。そこで、今回のプロジェクトで構築した現地ブレーンやマーケット側との連携体制を活用し『アメリカ市場が求める、地方の観光・物産とは??』をテーマとした「商談会」や「イベント出展」などを盛り込んだ新たな「アメリカ市場開拓プラン」を日本各地の自治体や中小企業向けに提案していく計画です。
KKTEPではこれらの取り組みをJ・MADE、FFMとの発展的なパートナーシップにより「地方と世界をつなぐ」新たな国内外販路開拓システムとして新規事業化を目指しています。
2028年にオリンピックを控え、活気づくロサンゼルスを拠点として、まだアメリカが知らない、日本の地方に存在する高付加価値商品を届けていきます。
4月と10月、年2回開催されている「OC JAPAN FAIR」
3日間で5万人を集客する大型イベントには200近くの日本食ブースが並ぶ
テストマーケティングとしてJAPAN-Oでブース出展
各地ローカルテレビ局が地域と系列を超えて連携。地方と世界をつなぐ情報収集コミュニティの構築へ!
KKTEP はこれまで10年以上に渡り、親会社であるKKT熊本県民テレビをはじめ全国各地のローカルテレビ局と系列・地域を超えた地方創生プロジェクトを推進してきました。そのベースとなったのが、地元(ローカル)でキラリと光る商品や事業者にスポットライトをあて、地元から「スター商品」を生み出そうというコンセプトで展開してきた『ロコの星プロジェクト』です。
各地のテレビ局が推薦する地元良品を集めたECサイトの構築、大手EC企業との連携によるテレビ放送とオンライン配信を融合した新型ライブコマース、各地方から集めた商品で全国の商業施設をまわるキャラバンイベントなど、これまで数々の取り組みを実践してきました。
今後の展開では、この地方テレビ局連携を「情報収集コミュニティ」として活用しながら日本全国各地の優れた高付加価値商品を発掘し、さらにアメリカ側現地ブレーンとの協業で「マーケット・イン視点」による改善・改良を行いながら、アメリカそして世界に通用する商品を生み出していきたいと考えています。
10地域のテレビ局と連携した独自のECサイト『ロコの星みーっけマルシェ』開設※2020年
12地域のテレビ局と連携し地上波とライブ配信を融合させた『ライブコマース』の実践※2021年
沖縄・大阪・愛知・神奈川・宮城・北海道の全国6都市で「キャラバンイベント」を開催※2022-2023年