サイゼリヤ「若鶏のディアボラ風」(500円)が“ミシュラン級にうまい”と評価できる理由
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
ドケチ快適が大好きな腕時計投資家の斉藤由貴生です。
私は、ファミレスが好きなのですが、以前、各ファミレスのドリンクバーを比較した記事を出したところ、某TV局から取材依頼が来るほどの反響がありました。
今回は、そんな私がファミレスの「料理」を評価してみたいと思います。
◆ミシュラン級のファミレスの料理
さて、私が今回取り上げたいのは、ミシュラン級といえるファミレスの料理。ちなみに、日本の料理はレベルが高く、マーク・ザッカーバーグ氏が来日した際にマクドナルドに足を運んだ際、「ミシュラン級」と評価したほど。ファミレスにもミシュラン級の料理があるというのは、大げさではありません。
ミシュランの星の定義は以下の通りであります。
三つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星:遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星:近くに訪れたら行く価値のある優れた料理
ビフグルマン:価格以上の満足感が得られる料理
なお、私の判断がミシュランの評価員と遠く離れているかという点も重要でしょう。
イラッとする方もいるかもしれませんが、私は小学生のときに現在の予約困難店を「ここうまい」と発掘。また、中学生ときには本場フランスで三つ星レストランと一つ星レストランで食事し、「一つ星のほうが美味しい」などと評価していました。後に、その一つ星レストランは評価点を上げたと聞いています。
上記からすると、私はミシュラン評価員から「遠く離れているバカ舌」というわけではないといえるでしょう。
◆2つ星 ロイヤルホスト「厚切りワンポンドステーキ」(450g)6,358円
現在、税込6,358円というこのメニュー。一皿6000円超えというのは、ファミレスのメニューとしては「びっくりするぐらい高い」といえます。そのため、わざわざファミレスでこのような価格帯の注文をする人は多くないでしょう。
しかし、このロイヤルホストのワンポンドステーキは、「わざわざこれを食べるだけのためにロイヤルホストに行く(ミシュランの2つ星定義)」というぐらい美味しいのです。
肉質の良さ、昔から変わらない「ドミグラスバターソース」の味わい、香りなどのバランスがとても良いため、私は1万円未満という金額のステーキ部門であれば、ロイヤルホストのワンポンドステーキは「最高峰」だと思っています。ステーキは専門店、または専門チェーン店がありますが、それらと比べてもこのステーキは群を抜いているといえるでしょう。
また、現在ステーキに添えられるケールも素晴らしく、香り高いオリーブオイルとマリネされた完成度の高い一品となっているのです。
ちなみに、現在、ロイヤルホストのステーキにはこの450gの他に300gと150gがありますが、絶対に450gがおすすめであります。
450gの厚切り肉は、火の通り方が良いためか、同じ肉でも300gよりも美味しく感じるのです。
私は、このロイヤルホストのステーキを食べるために、家から30分以上かけてロイヤルホストに向かうほど、このワンポンドステーキが好きでたまりません。一皿6000円超えという料理ですから、「高くてうまいのはあたりまえ」と思われるかもしれませんが、このワンポンドステーキは、6000円を払ってでも「わざわざ食べに行きたい」と思わせてくれる魅力があるのです。
ちなみに、ロイヤルホストの店内には、店長と料理長の写真が飾られていますが、近頃はそれが無いお店もある模様。私は、このステーキをいくつかの店舗で食べたのですが、正直ばらつきがあるといえます。ワンポンドステーキの焼き加減は問題ない場合が多いですが、付け合わせのケールがパサパサで残念ということもあるため、「当たり店」でワンポンドステーキを食する必要があります。
そういった「当たりのロイヤルホスト」を見つけるのは難しいのですが、あえて私が店名を出すならば、永福町店は素晴らしいといえます。私の家の近くにもロイヤルホストがあるのですが、ワンポンドステーキを食べるときは、あえて永福町店に行くようにしています。ですから、永福町店のワンポンドステーキは、私にとって「遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理(ミシュラン2つ星級)」なのです。
◆1つ星 サイゼリヤ「若鶏のディアボラ風」500円
鉄板の上にのせられたチキンステーキ。これがなんと1皿500円という破格であります。そうでありながら、注文すると「焼き時間かかかります」といわれるぐらい、きちんとした調理を行っている模様。チキンの美味しさはもちろん、サイゼリアオリジナルの野菜ペースト&ガルムソースと相まって、思わず頭の中で「うまい!」といってしまう一皿となっています。
サイゼリヤといえば、すでに「美味しい」と、評価が高いファミレスとして有名でありますが、その中から私は「若鶏のディアボラ風」を選んだ次第であります。
イタリア直輸入のデザートや、エスカルゴなど、ファミレスとしてはびっくりする内容を提供しているサイゼリヤでありますが、「若鶏のディアボラ風」は、調理の手間がかかっているのにもかかわらず、提供される商品のばらつきがない(ハズレ料理が提供されない)という点が素晴らしいと思っています。
サイゼリヤの料理は、サラダ、フォッカチオなども素晴らしく、またデザートの一部もイタリア直輸入というこだわりよう。それでいて、1品500円程度といった価格帯であるため、「前菜⇒スープ⇒パスタ⇒メイン⇒デザート」というコース仕立てにしても2000円でお釣りが来るほど。それでいて、料理の質は高く、食べて「うまい!」と言いたくなるものが多いといえます。
さらに、エクストラバージンのオリーブオイルもかけ放題。たった150円のフォッカチオをオリーブオイルにじゃぶじゃぶつけて食べられる店がそこら中にある(東京都内の場合)というのは、世界的にも稀だといえるでしょう。
サイゼリヤの凄さは、既に有名でありますが、下手な高級レストランよりも「実は美味しい」という意見があるほど。私もそれに同意します。
ただ、料理を低価格で提供するためか、店内の作りがロイヤルホストと比べるとチープなのが若干残念なところ。「ホテルラウンジ並の内装で、料理がサイゼリヤ」というお店があったならば、コースが3980円ぐらいだったとしても「ぜひ行きたい」と思うことでしょう。
◆ビブグルマン:ガスト「カキフライ和膳」990円(一部店舗は1090円)
最後に紹介するのは、ガストのカキフライであります。これは、冬の時期になるとガストに出てくるメニューなのですが、現在は「和膳(セット)のみ」となっているようです。かつては、カキフライ単品でも注文でき、私はそれを好んで食べていたため、単品がなくなってしまったのは残念であります。
さて、ガストのカキフライのいいところは、なんといっても「広島県産」という点です。他のファミレスの場合、外国産カキを使っている場合があるのですが、私が知る限りでは2017年時点でガストは「広島県産カキフライ」を提供していたといえます。
ちなみに、ガストはすかいらーくグループでありますが、上級ブランドとして「ジョナサン」が存在。上級なジョナサンだけでなく、ガストのカキフライにも「広島県産」となっているのが乙であります。
なお、ジョナサンにもカキフライは存在。ただ、ガストとジョナサンとでは、同じカキフライでも付け合せが異なります。私が、あえてガストのカキフライを選定したのは、シンプルな付け合せとソースが好きだからです。
揚げたてのジューシーなカキフライをタルタルソースと中濃ソースで食べるのが美味しいのですが、この「中濃ソース」という組み合わせが良いのです。
カキフライといえば、タルタルソースで食べるというのが美味しいとなりそうですが、ガストのカキフライは、中濃ソースをどっぷりつけてタルタルソースもつけてレモンもかけるという、ジャンクな食べ方がたまりません。
ただし、この記事の写真を撮るためにガストへ行ったところ、ハズレ料理が提供されてしまった点が残念でした。夜の忙しい時間帯だったこともあってか、5個中3個のカキフライが「冷めている」という状態。なぜか2個だけは衣がカラッとして、中がジューシーだったのですが、そのクオリティのものを5個食べたいと思った次第であります。
私が、以前このカキフライを良く食べていた際は、コロナ前にガストが深夜営業をしていたときだったため、「ハズレ料理」にあう確率が低かったのだと思います。当時は、深夜客が少ない時間帯にファミレスで原稿を書くことが多かったのですが、24時間営業のガストで、小腹が空いたときに食べるこのカキフライがとても美味でした。
ロイヤルホストの「ワンポンドステーキ」(6,358円)、サイゼリヤの「若鶏のディアボラ風」(500円)、ガストの「カキフライ和膳」(990円)と、食べたら「うまい!」といえるファミレスの料理を紹介しましたが、これらは「ハズレ料理でないもの」に出会えれば、本当に美味しい一品だと思います。
昨今のグルメ界隈では、予約が取れないお店の需要が高いですが、私としては、そういったお店の「美味しさ」は「予約が取れない」ということに底上げされているような気がしてなりません。
実際、私も人の紹介でいくつも予約が取れないお店に行きましたが、そこで次回の予約を入れなかったのは私だけ、ということが何度もあったほどでした。(新規予約は困難だが、一度お店に行くと予約が取れるというシステムの人気店が多い)
予約困難店は「美味しいお店に違いない」と思われるようですが、私としてはそういったお店に行くぐらいであれば、実はロイヤルホストのワンポンドステーキを食べたいのであります。
<文/斉藤由貴生>
―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―
【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある