斉藤壮馬(声優)、川野芽生(作家・歌人)らが激賞! 高原英理による最新小説集『愛らしい未来』が11月22日ついに発売
河出書房新社
そのとき、世界中から美しい悲鳴が上がるだろう――きらびやかで不穏な珠玉の連作短編集
株式会社河出書房新社(東京都新宿区/代表取締役小野寺優)は、高原英理氏による最新小説集『愛らしい未来』を2024年11月22日(金)に刊行いたします。
■『愛らしい未来』へ寄せられた推薦文
世界が乱反射して、隙間がことばになる。
わたしも忘れ物を取りに戻らなくちゃ。
渦雲同盟に、あなたも、加わってみませんか。
――斉藤壮馬(声優)
気をつけて。
高原英理の言葉は、あなたの中で増殖し、
あなたを作り替えてしまう、――夢という名のウイルスだから。
――川野芽生(作家・歌人)
■『愛らしい未来』について
装幀=ミルキィ・イソベ/本文デザイン=安倍晴美(ステュディオ・パラボリカ)
「わたし」の「眼」は、愛らしいものを逃さない――読者を極彩色の世界、不穏の至福へと誘う「愛らしい未来」は、雑誌「スピン/spin」8号に掲載され話題となった同作を大幅に加筆、改稿。
本書は、この表題作と緩やかに響き合う「夢の通路」「れいめい」の書き下ろし2作品を収録した、珠玉の連作短編集です。
『日々のきのこ』(2021年)、『詩歌探偵フラヌール』(2022年)、『祝福』(2023年)に続き、河出書房新社が贈る高原英理の唯一無二の世界を、ぜひご堪能ください。
それぞれの百合が微かな言葉を発していた。壮大に重なる和声の中でも言葉がわかった。「あわい」「ふわい」「はうい」「しもろとからせ」「ほののく」「たばす」「おおいの」「くろむり」「ほとり」「ほとり」とそんなふうに聞えた。それらすべて、懸命に呼びかけるような声音(こわね)で、そして愛らしかった。花の揺らぎに合わせて刻々と声が変化していた。多重音が伴奏になっていた。
その日、わたしは見つけてしまった、夜の賑やかな、可憐な飾りと灯りの間をゆく、おそらくこれまで見た中で最も黒い人を、それは無言のまま、周囲を翳らせながら歩いていた。懐中電灯の光が壁を明るませるように、その人のまわりは暗くなるのだった。近づくと硫黄(いおう)の臭いがした。
――以上、「愛らしい未来」より
■著者紹介
高原英理(たかはら・えいり)
1959年生まれ。立教大学文学部日本文学科卒業。東京工業大学大学院社会理工学研究科博士後期課程修了(価値システム専攻)。博士(学術)。
85年第1回幻想文学新人賞受賞。96年第39回群像新人文学賞評論部門優秀作受賞。
主要著書に『少女領域』『エイリア奇譚集』『高原英理恐怖譚集成』(以上、国書刊行会)、『無垢の力──〈少年〉表象文学論』『ゴシックハート』『不機嫌な姫とブルックナー団』(以上、講談社/『ゴシックハート』は後にちくま文庫として再刊)、『ゴシックスピリット』(朝日新聞社)、『神野悪五郎只今退散仕る』(毎日新聞出版)、『うさと私』『観念結晶大系』(以上、書肆侃侃房)、『怪談生活』『歌人紫宮透の短くはるかな生涯』(以上、立東舎)、『日々のきのこ』『詩歌探偵フラヌール』『祝福』(以上、河出書房新社)、『ブルックナー譚』(中央公論新社)がある。編著に『書物の王国6 鉱物』(国書刊行会)、『リテラリーゴシック・イン・ジャパン』『ファイン/キュート』(以上、筑摩書房)、『ガール・イン・ザ・ダーク』『深淵と浮遊』(以上、講談社)、『少年愛文学選』(平凡社)、『川端康成異相短篇集』(中央公論新社)。
■書誌情報
書名:愛らしい未来
著者:高原英理
仕様:46判変形/上製/160頁
発売日:2024年11月22日
税込定価:2,420円(本体2,200円)
ISBN:978-4-309-03926-8
装幀:ミルキィ・イソベ
本文レイアウト:安倍晴美(ステュディオ・パラボリカ)
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