京丹後市が寄附を通じて地域の課題解決を図る「地域版ふるさと納税」を開始。地域主導の地方創生モデルとして成果を上げる、京丹後市の取り組み。
2023年に京丹後市で「地域版ふるさと納税」がスタート
2023年8月、京丹後市市長公室地域コミュニティ推進課では、ふるさと納税の制度を活用し、市内の地域が主体となって稼ぐ「地域版ふるさと納税」をスタートさせました。
京都府内で自治会や町内会など個別の地域の活動に対して直接寄附が可能な制度を始めたのは、亀岡市に次ぐ2番目です。
京丹後市では現在、「新たな地域コミュニティ」(以降、略して新コミュ)という自治会を跨った広域連携による地域運営組織の設立と、新コミュの主体的な課題解決を推進しており、持続可能な地方創生を目指しているところです。
「地域版ふるさと納税」は、新コミュの活動を加速する制度であり、まずは4地域でスタートしました。
最初は地域の当事者は寄附が集まるか半信半疑。返礼品で寄附先を選ぶ人が多いと言われている中、本当に地域の課題解決という寄附目的に賛同して特定の地域に寄附してくれる人はいるだろうか?ましてや京丹後市内の特定の地域名は全国的には知名度が低いですし・・・。
外部の資源を活用することでPRを促進
そこで、開始早々、京丹後市では、『ALIVEプロジェクト』(*)と連携し、その可能性を探ることにしました。
京丹後市に来た、民間会社の次世代リーダーたちと市の職員との混合チームで「地域版ふるさと納税」のプロモーション施策のコンペを実施し、制度の周知を図っていきました。
そして、ALIVEプロジェクトに参加した大手企業の若手サラリーマンたちは、京丹後市内の各地域を視察しプレゼンの為に京丹後市の事を多く知り、その魅力を感じてくれました。
Cチームだったサントリーフーズ廣野さん、NTTビジネスソリューションズ清木場さん、大和ハウス工業の土屋さんらは京丹後市の地域版ふるさと納税について、「地域版ふるさと納税は、納税者が自らの意思で地域を応援できる素晴らしい仕組みです。関係人口を増やし、地域課題への直接支援を通じて地域活性化に貢献します。京丹後市の魅力は、人々の温かさと豊富な地域資源です。この魅力が多くの人に伝わり、ふるさと納税の活性化に繋がることを願っています。」とコメントをしてくれました。
(*)『ALIVEプロジェクト』とは 日本最大級の越境学習型の企業の次世代リーダー育成プロジェクトです。社会団体が抱えるリアルな課題に対して複数の企業から参加する約60名のビジネスリーダーたちが複数のチームに分かれて課題解決を行うというものです。
積極的に動くことで約7か月の活動で250万円以上の寄附が集まった地域も!
そして「地域版ふるさと納税」にいち早く参加した地域も精力的に動きました。なかでも京丹後市の山間部に位置する弥栄町野間連合区では、連合区長や組織のメンバーが積極的に情報を発信するなど奮闘し、寄附を募り、なんと250万円以上の寄附金を集めることに 成功しました!
野間連合区では、診療所へ送迎を行っていた福祉車両の老朽化が課題でしたが、この寄附金で新しい車両を購入する事が出来ました(=写真)。
野間連合区は福祉車両の購入という
大型プロジェクトを実現させた
寄附をしてくださった会社の社長は野間連合区のある弥栄町出身ということもあり、以前からふるさと納税で京丹後市に寄附をしてくれていましたが、前々から野間連合区の為に使ってほしい、という想いがあったそう。
そういった想いを実現できることや、地域が自ら動くことで寄附を集めることが出来るのが地域版ふるさと納税の特徴です。
野間連合区だけでなく、当初スタートさせた他の3地域(久美浜一区自治会、久美浜二区振興会、佐濃自治会)も集まった寄附金を活用し、秋祭りの継承や久美浜湾の水質改善、コミュニティビジネス、移住対策などのプロジェクトを実現させています。
この取り組みのポイントは、京丹後市内に34つある、「新たな地域コミュニティ」という広域連携組織が機能し始めた事です。その組織の代表やスタッフ、地域おこし協力隊等が精力的に動いている事で、市外在住の地域出身者の探索やアプローチなども積極的に実施できています。
ふるさと納税の原点に立ち返った取り組み
公共政策、地方自治を専門とし、京丹後市でも大学生や高校生と活動している、福知山公立大学の杉岡秀紀准教授(=写真)
福知山公立大学の杉岡准教授は「地域版ふるさと納税」を
ふるさと納税の原点に立ち返らせる取り組みとコメント
は、京丹後市の推進している地域版ふるさと納税について、「現在のふるさと納税は自治体を過剰な返礼品競争に巻き込み、制度の本来の趣旨から外れてきています。そうした中、京丹後市の地域版ふるさと納税はまさにふるさと納税の原点に立ち返らせる取り組みと言えます。こうした取り組みが広がれば、返礼品よりも地域の再生や創生を見返りとして求める国民も増えるかもしれません」とコメント、その意義を評価してくれています。
改めて地域が自らの魅力を知りプライドが醸成されていく制度
地域版ふるさと納税を行う中で分かったことがあります。それは、地域住民が地域の課題や魅力、コンテンツを改めて棚卸することで、より一層地域に愛着を感じ、プライドを持つことが出来る、という効用があることです。
地域版ふるさと納税は、地域が寄附を通して活動資金の確保を進める「地域が自ら稼ぐ」制度ですが、地域が自らの魅力を知りプライドが醸成されていく制度でもあると考えています。地域への愛着やプライドが醸成されて、ようやく市外の方に地域の魅力向上の為の課題解決策を伝えられるようになるのだと思います。
京丹後市には、海や山といった自然や、豊かな食文化、丹後ちりめんといった地場産業など多くの魅力的な資源があり、まだまだ発信できていない多くの魅力が詰まっている地域もたくさんあります。
京丹後市の「地域版ふるさと納税」は現在7つの地域で実施していますが今後も増えていく予定です。
地域版ふるさと納税はこちらから申し込みを!
京丹後市は、この機会に是非、各地域の魅力を知り、課題解決に協力し応援してもらえる方が一人でも増えることを期待しています。もちろん返礼品も楽しんでください。(*返礼品は「あとからセレクト)という京丹後市の特産と引き換えられる2年間有効のカタログギフトになります。)
地域版ふるさと納税は、京丹後市のふるさと納税特設サイト
https://furusato-kyotango.jp/region/
で受付中です。
また、弥栄町野間連合区の事例もある通り、企業版ふるさと納税でも地域版ふるさと納税を受け付けています(寄附額は10万円以上)。企業版ふるさと納税での申し込みは直接、京丹後市市長公室ふるさと応援推進課の担当者までご連絡をお待ちしています。(電話番号:0772‐69‐1100)