「今回も死者35人の壁が…」中国の車暴走事件でネットがザワついた「SNS制限」と「習近平氏の異例指示」
中国南部の広東省珠海で11月11日夜、暴走した車が大勢の人を次々とはねた事件が、大きな注目を集めている。
地元の警察当局は、62歳の男が小型のSUV車で運動施設に侵入し、運動していた人たちを次々とはね「35人」が死亡し、43人がケガをしたと発表。男は逃走を図ったが逮捕された。
また警察の声明によれば、運転していた男は離婚調停の結果に不満を持ったことから犯行に及んだというが、中国SNSでは事件に関する投稿に制限がかけられ、国営新華社通信は習近平国家主席が「極端な事件」の発生を防ぐように求める“重要指示”を出したと伝えるなど、異例の事態となっている。
そんな中、一部のネットユーザーから「やっぱり35人か」「今回も35人の壁があったな」などといった声が相次いで上がっている。一体どういう意味なのか。
実はネットユーザーの間では、2000年に入ったあたりから中国で大規模な事故や天災が発生した際、当局が犠牲者の数を抑制し、「35人」を超えて発表することはない、という認識が定着しているのだ。
ネットニュースサイトライターが語る。
「確かに、重慶市の洪水(2007年)や河南省平頂山の炭鉱事故(09年)、中国の高速鉄道事故(11年)など、中国で大災害や大事故が起きた際、『死者35人』などという情報が流れ、ネット上では『死者36人以上の事故が起きた場合、市の党委員会書記が更迭される』などと、まことしやかに囁かれていました。しかし実際は正確なソースの記載がない例がほとんどで、根拠のないデマと言われています。今でも『永遠の35』などといわれていますが、最近はそれ以上の被害者が報告されるケースももちろんありますね」
どうやら今回の暴走事件での死亡者が偶然にも35人、さらに中国政府が過敏になっているだけに、「永遠の35」が再燃してしまったようだ。
(ケン高田)