三宿・池尻界隈に住むクリエイターたちの、“日中のホーム”となるカフェ3選
池尻・三宿エリアは、夜深くまで人が集うとはいえ、そこは住宅街。朝は早く、人気のカフェは昼前から賑わう。
ファッション、インテリア、アート、音楽といったライフスタイルのトレンドを、リアルに体感できるの洗練されたカフェを紹介したい。
1.ゆるりと流れる時間が心地良い“中目尻”の大人ラウンジ
『RIVERSIDE CLUB』
2014年にオープンしたクリエイティブオフィス「THE WORKS」の1階に2020年オープン。天井高の開放的な空間は唯一無二。近隣にアパレルやデザイン系の事務所も多く、平日の客層も洒落ている
感度の高い洒落た大人が飾らない素顔を見せる場所
池尻大橋とも中目黒とも言えるが、いずれにしても駅から離れた目黒川一帯を指して、“中目尻”と呼ばれ始めたのはこの数年のこと。
注目されるようになった理由は、感度の高い人々が集まる良店が集中しているから。『RIVERSIDE CLUB』はまさに、その代表格と言えるだろう。
コーヒーは南青山にある『Little Darling Coffee Roasters』の豆から選定したオリジナル。小さなショーケースにはスコーンやレモンパイが並び、テイクアウトも可能だ
広々とした天高空間いっぱいに柔らかな光が差し込む週末の朝。
コーヒーの香りが漂う店内は、モーニングプレートを味わうローカルの姿があちこちに。
目黒川を望むカウンター席。朝も昼もオーダーできる「アボカドエッグトースト」(¥1,780)はボリューム満点
街が起き出す前のゆるやかな時間をリラックスした表情で過ごしているのが印象的だ。
年間800食以上出るという看板スイーツ「カヌレプリン」¥1,380。米粉を使ったもっちり食感がユニーク
ランチタイムとなれば家族連れが姿を見せ、午後は名物「カヌレプリン」をシェアするカップルや女子が席を埋める。
夕方には犬の散歩帰りに立ち寄る常連が訪れ、夜の始まりとともに、大人たちが寛ぐ。
アートや音楽など、カルチャーの発信拠点としての顔も持ち、DJブースの背面のアートワークは度々入れ替わる
誰に対してもオープンでフラット。気負わずに過ごせるカジュアルさも心地良く、気づけば時間が経っている。
第二のリビングのようなオールデイラウンジだ。
2.池尻のカフェの洒脱さはこの店から始まった
『SÖAP』
池尻大橋の駅から緑道沿いを歩くこと約10分。周囲はほぼ住宅街、というロケーションに突如現れる白壁のカフェ
感度の高い人しか気付けない住宅街の隠れ家
現在に続くカフェブームの口火を切ったと言われる原宿の『オーバカナル』。
そこでの経験を経て、オーナーの諏訪明彦さんが自身の店をこの場所に構えたのは23年前。原宿に『Lotus』ができた1年後のこと。
「最近オープンしたんですか?と聞かれることもよくあります」と笑う諏訪さん夫妻
池尻を選んだ理由は「原宿の家賃が高すぎて、ここまで離れないと予算に見合わなかった」と笑うが、結果的にそれは“大人の隠れ家”として功を奏す。
朝4時まで営業していた頃は業界人の社交場として、クローズを早めた現在は界隈に住むクリエイターの“日中のホーム”として。
感度の高い大人が『SÖAP』に集うのは、いまも昔も変わらない。
白を基調としたダイナーのような空間。壁を彩るのは親交のあるmio.matsumotoのアートワーク
最近ではどこか懐かしさを感じながらも洒脱なセンスが光る空間が、「韓国っぽいカフェ」とSNSで注目され、週末は若い世代で賑わうことも。
ザ・王道の“カフェ飯”が並ぶメニューもまた、世代を超えて愛されている。
日替わりの具材で提供される「本日のグラタン」(¥1,400)とグレナデンシロップとアールグレイを使った「トロピカルアイスティー」(¥750)。
人気メニュー「タラモクリームポテト」のパスタ版、和風だしが香る「明太子クリームパスタ」¥1,300
移り変わりが激しいこのエリアで、時代と共に歩み続ける知られざるレジェンド店だ。
■店舗概要
店名:SÖAP
住所:世田谷区池尻4-27-5 プロムナード池尻 1F
TEL:03-3412-5888
営業時間:【月・火・木~土】12:00~20:00
【水】12:00~18:00
定休日:日曜
席数:カウンター5席、テーブル27席
3.令和の“3時のおやつ”は古びた集合ビルの2階にある
『drip』
控えめな看板とロゴが2階へと続く入り口扉の目印
心休まるひとり時間はジャズが流れるレトロモダンな空間で
ラーメンの『八雲』、ケーキの『ラトリエ モトゾー』といった“昼の顔”を代表する人気店が連なる池尻大橋駅前商店街。
その中でも東口から徒歩30秒という屈指のロケーションにそびえるレンガの建物は、界隈に住む人間なら誰もが知る飲食ビルだ。
『drip』がこの東山共同ビルの2階にオープンしたのは3年前。デザイン事務所としてスタートした空間をそのまま活かし、大人が寛げる喫茶店へと進化させた。
豆は『BE A GOOD NEIGHBOR』で焙煎、ブレンドしたオリジナル。深煎りと浅煎りの2種類がスタンバイ。店を任されている小川莉咲さんはグラフィックデザイナーとしての顔も持つ
JBLのスピーカーから流れるジャズに身を任せ、1杯ずつ丁寧に抽出されるハンドドリップコーヒーを待つ。
その間、PCを開いたり、読書をしたり、窓の外を眺めたり。思い思いの時間を過ごしながらも、客の表情はどこか穏やか。
それはきっと、コーヒーの先にある“おやつ”の効果だろう。
完成度の高い美しきビジュアルに、大人も思わずスマホを向ける「喫茶プリン」¥680
皆が心待ちにするその“おやつ”とは、古き良き老舗喫茶のメニューそのままのプリンやクリームソーダ。
ブルーハワイをソーダで割った「晴れの日のクリームソーダ」¥750。
窓際の席で空をバックに撮影するのがオススメ。
オフィス時代の面影を残すコピー機がなんだかエモい。店の仕掛け人は、同じ池尻の酒場『OMA』を運営する榊原祐樹さん
多忙な平日を乗り越えた週末のご褒美がここにある。
▶このほか:大企業を辞め、起業から5年で4店舗立ち上げた敏腕オーナー。『焼鳥 やおや』の代表が語る今と未来