男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

—あの時、彼（彼女）は何を思っていたの…？

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は？

▶前回：結婚したい30歳女。2回目のデートで「結婚願望がある」とアピールするのは本当にNG？

― “33歳・経営者。身長186cm・明治大学卒、代官山在住”

これが僕のマッチングアプリでのプロフィールだ。アプリ上では反応は悪くなく、女性側からも積極的に“いいね”が来る。

その中でマッチした女性たちとも、何人か実際に会ってはいる。

しかし会うところまではいくものの、なぜかその後が続かない。

今回の梓もそうだった。

初めての顔合わせの、カフェまでは良かった。しかし二度目にディナーデートをして以降、梓は急によそよそしくなった。

肩書も、多分顔もそこまで悪いわけではない。それにマッチもちゃんとする。果たして、どうしてその先に繋がらないのだろうか…。

Q１：マッチ後の初デート。男がすべきだったことは？

今回梓の場合も、向こうから“いいね”が来たパターンだった。32歳で僕の一つ下。

１枚目は犬を抱えて撮っている写真で、２枚目は犬単体の写真。そして３枚目は全身の引き写真で、４枚目はどこかの海の写真…と、完璧なプロフィールだった。

そもそもとても綺麗な人だったし、僕自身動物が好きなので、話してみたくて“ありがとう”を返した。

そしてここからやり取りが始まり、マッチしてから１週間後の週末。近所のカフェで初めて顔合わせをすることになった。

「初めまして、梓です」

「初めまして、慎也です」

何度経験しても、初めて会う時は緊張するものだ。「写真と全然違う女性が来たらどうしよう」という懸念もあるし、逆に「僕のことはどう思われるだろうか」という不安もある。

でも梓はとても雰囲気が良く、しかも写真の通りだった。

「すみません、僕の家の近くにしちゃって」

「いえいえ、全然。タクシーで10分くらいだったので」

「良かったです。何飲みますか？」

「じゃあ…アイスのソイラテにしようかな」

マッチ後の初デート。お酒が入ったほうが良い場合もあるかもしれないけれど、僕はまずその人の人となりが気になるので、基本的に日中で、お茶をするようにしている。

「慎也さんは、なんでアプリを使っているんですか？」

「僕は彼女と別れて１年くらい経つんですが、そろそろ誰か探そうかなと思いまして。でもあれですよ？そんな実際には会っていないですし、梓さんが素敵だなと思ったので」

「嬉しいです。ありがとうございます」

しかしここまでスラスラとお互い話していたのに、急に沈黙が流れる。

― え？僕、変なこと言った？

そう思ったので、慌てて話を盛り上げるために僕は話題を考えた。

「梓さん、お仕事は何をされているんでしたっけ？」

「私は外資系のメーカーで働いています」

「へえ。カッコイイですね」

「慎也さんは…経営されているんですよね？何系ですか？」

「僕は人材系の会社を経営していて」

「そうなんですか？すごい」

ただ“人材系”と言っても、わからない方も多いので、僕は一旦丁寧に事業内容を梓に説明することにした。

するととても興味を持ってくれて、色々と質問を交えながら聞いてくれていた梓。

「梓さんって、聞き上手ですよね。思わずペラペラと喋っちゃいました」

「いえいえ。お話が面白いので、つい聞きたくなっちゃいました」

そんなことをしているとあっという間に時間は過ぎており、解散前に次のデートに誘ってみる。

「もし良ければ、次は食事へ行きませんか？梓さんを連れて行きたい店があるんです」

「いいですね！行きたいです」

こうして、初回はとても順調に終えた…と思っている。

Q２：三度目のデートがなかった理由は？

そして迎えたディナーデート。「連れて行きたい店がある」と言ったのは本当で、僕のお気に入りの店を予約した。

「このお店、予約取れるんですか…？」

「そうなんだよ。意外に取れること、みんな知らないんだよね」

西麻布交差点近くにある、『しゃぶしゃぶ 九 西麻布本店』。個室しかないので、著名人も多く訪れている隠れ家だ。そんな特別感もあるのに美味しいので、勝負デートにはぴったりの店だった。

とりあえずシャンパンで乾杯をすると、お互いなんとなく視線が合う。

「慎也さんって、グルメなんですね。お店とかたくさん知ってそう…！」

「そうですね。食べることが好きなので、人よりは知っているかもです」

「普段はほとんど外食ですか？」

「結局そうなっちゃってますね…。梓さんは？自炊とかするんですか？」

「意外にしますよ！」

「そうなんですね。何を作るんですか？」

しかし最初は梓の得意料理の話を聞いていたはずなのだが、気がつけば、いつの間にか結婚後の家事分担の話になっていた。

「僕は、アウトソーシングできるところは頼れば良いと思っています。家事代行とか、例えば子どもが生まれた後はシッターさんに頼むとか…」

「そうですよね。でもそういう考えを持っている男性って、少なくないですか？」

「本当に？」

経済的に余裕もあるからできることなのかもしれないけれど、外部にお願いするのは全然アリ派だ。

それに僕は自分で家事もするし、女性にすべて押し付けるつもりはまったくない。

「僕の場合、仕事が忙しいのであまり家にいなくて。だから汚れもしないし、基本的に綺麗なんですよね」

「そっか、そんなにお忙しいんですね」

「意外と…。だから誰か、家で待ってくれている人がいたらいいなぁと最近思っていて」

そこまで話すと、梓は急に目を丸くしている。

「結婚願望あるんですか？」

「もちろんです！だからこうやって、真剣にアプリも使って探していますし」

キョトンとしている梓。逆に僕は、その反応に驚いた。

「慎也さんって、結婚願望はないのかな？と思っていました」

「え〜。めちゃくちゃありますよ！」

「おひとりでも完結できそうだったので…。でも知れて良かったです」

「いつでも結婚できます（笑）」

そんなことを話しているうちに時間は過ぎ、お開きの時間になってしまった。

それにもちろん、会計もすベてスマートに済ませて、帰りのタクシーもアプリ決済で支払い済みにした。

店選びも間違えていなかったし、結婚願望があることもちゃんと伝えた。会話も盛り上がって、楽しかった。

デートの答えあわせとしては、NGな点はなかったはず…。

それなのに、このデート以降梓からの連絡は急に頻度が落ち、結局三度目のデートが実現できていない。

果たして、僕の何がダメだったのだろうか…。

▶前回：結婚したい30歳女。2回目のデートで「結婚願望がある」とアピールするのは本当にNG？

▶１話目はこちら：「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由

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男がすべきだったコトとは？