衆議院選、自民党“安部派裏金議員”の当落リストと、高まる「石破下ろし」の気運
今週の注目記事・1「『石破は危うい』『倒閣だ』安倍派裏金議員を連続直撃&当落リスト緊急公開!」(『週刊文春』10/24日号)
同・2「セブン&アイの終わらない危機」(『週刊文春』10/24日号)
同・3「ジャニーズ問題を初告白 元少年隊錦織一清」(『週刊文春』10/24日号)「紅白で旧ジャニーズ復活を画策 NHKの前に立ちはだかる壁」(『週刊新潮』10/24日号)
同・4「ネットフリックスはテレビを殺すか」(『週刊ポスト』11/1日号)
同・5「上皇后さま本当のご体調」(『週刊新潮』10/24日号)
同・6「歴史を変えてきた決戦前夜の大逆転は今回も起きるか」(『ニューズウィーク日本版』10/22日号)
同・7「天才ジョッキー坂井瑠星『口座にいくら入っているか知らないんです。競馬以外興味がないもので』」(『フライデー』11/1・8日号)
同・8「大阪・17歳少女絞殺 横浜で逮捕『30歳無職男』の呆れた逃走劇」(『週刊新潮』10/24日号)
【巻末付録】ポストのSEXYグラビア採点!
今週も順位なし。最初は新潮の記事から。
9月28日に大阪・道頓堀のラブホテルで、17歳の少女が死んでいるのが見つかった。
だが一緒に入ったはずの男はホテルの窓から飛び降り、逃亡していた。
「容疑者は結局、道頓堀界隈で自転車を盗み、自転車で走ると通常1時間ほどの距離の吹田市まで移動していた。そのあと、ヒッチハイクで横浜へと向かっていたのです」(府警担当記者)
だが容疑者は事件当日、現場近くの宿泊施設で、客同士でトラブルを起こしていたそうだ。通報を受けた府警の南署が対応し、免許証を確認して顔写真を撮影していた。
この顔写真と防犯カメラに映った人物の特徴が一致して、情報提供が呼びかけられ、横浜市内にいるとの情報が寄せられたという。
逃亡から11日後に、横浜市西区にあるマンガ喫茶から出てきた30歳無職、福井竣介を大阪府警が逮捕した。
少女はいわゆるフリーターだったが、ネイリストを目指して頑張っていたという。しかし、カネのためにグリコの看板下、通称「グリ下」に集まり、パパ活を繰り返していたそうだ。
福井とはSNSで知り合ったという。なぜ、殺されたのか? カネでもめたのか? まだ動機は分かっていないようだ。
さて、競馬界にはルメール、川田将雅という2大ジョッキーがいる。何しろ連帯率が5割。2回に1回は勝つか連帯するというのだから、往時の武豊を彷彿とさせる。
特にG1での2人の強さは群を抜いていて、他のジョッキーは足元にも及ばない。
だがその中で、この2人を追いかけている若手ジョッキーがいる。坂井瑠星(27)がそれだ。
アメリカ最大のレース「ケンタッキーダービー」で騎乗するフォーエバーヤング(3歳・牡馬)をハナ差の3着までもってきて、あわやと思わせた。
坂井はすでにG1を11勝している若手のナンバー1である。
父親も大井競馬場の騎手、叔父も笠松競馬場の騎手だったという競馬一家。何しろ幼稚園の卒業アルバムに「将来は騎手になる」と書いていたそうだから、騎手は天職なんだろう。
デビューして関西最多勝利新人賞に輝くと、2年目には単身オーストラリアに渡り武者修行。
今や一流ジョッキーにのし上がったが、努力の人である。坂井は取材に答えて、
「お金に関しては矢作先生の奥様に管理をお願いしているのですが、口座にいくら入っているか知らないんです。『もっとお金を使いなさい』と言われるんですが、興味が沸かなくて。競馬を取ると本当に何も出来ない人間なんですよ。先生に『プロなんだから取材で面白いことを言え』とよく怒られています」
競馬界の大谷翔平かもしれない。坂井から馬券を買っていれば必ず儲かる。そんな時代がもう来ている。
日本の衆院選はどうやら自民党の負けで決まりのようだが、海の向こうのアメリカの大統領選は、トランプとカマラ・ハリスがしのぎを削り、まだどちらが優勢とも分からない状態が続いている。
よく、10月には魔物がいるといわれる。優勢だったヒラリーが、一通の私的メールを暴露されたことで、トランプに大統領の座を譲ってしまったのも10月だった。
では今回、10月の魔物は現れるのだろうか。
ニューズウィーク日本版で、記者キャサリン・ファン、イワン・パーマーが寄稿している。
毎回、土壇場で魔物が登場して形勢を逆転したりしてきたが、今回は、バイデンが突然、選挙戦から退場し、ハリスにバトンタッチしたことが最大の仰天劇だったから、これ以上の魔物は現れないのではないかという声が多いようだ。
「共和党のクリス・クリスティーがニュージャージー州知事に初当選した際の選挙参謀マイケル・デュヘイムが本誌に語ったところによると、今回はどちらの候補も公人としての生活が長く、今さら個人問題でぎょっとするような問題が出現するとは思えない。
『サプライズがあるとすれば、それは人格の問題ではなく、想定外の何かだろう』
デュヘイムはジョージ・W・ブッシュ元大統領と故ジョン・マケイン上院議員の選挙参謀も務めた人物。国内外で多くの危機が進行中の今、オクトーバー・サプライズの影響は非難の矛先がバイデン政権に向くか(結果としてハリスに打撃となるか)、両候補がどう対応するか、『冷静かつ沈着で、危機に際して動じないのは誰か』で決まるという。
デュヘイムは共和党全国委員会の政治部長も務めた。『どの陣営も不測の事態への備えはできていると考えたがる。だが最善の準備は、危機においても平静を保ち、冷静に対処することだ』と指摘した」
00年のアル・ゴア、04年のジョン・ケリーと、2度の大統領選で上級顧問を務めた民主党のベテラン政治コンサルタント、ロバート・シュラムは、
「今回の選挙では、トランプは常に場当たり的で、ハリスは常に計算ずくで動いている。だから、今さらサプライズが起きるとは考えにくいとシュラムは言う。
今回、オクトーバー・サプライズが起きるとすれば、トランプよりもハリスへの影響が大きいだろうとみるのは、かつてブッシュ陣営の選挙参謀を務めていたスコット・ジェニングズだ。
『トランプに関しては、今さら有権者を「驚かせる」のは難しい。これ以上に何がある? 彼は起訴され、有罪判決も受けた。2回も暗殺されそうになった。既に大統領をやり、2度の弾劾も受けた。これ以上、何が影響を与えるというのか』とジェニングズは問う。
もちろん『ハリスには、まだ何かがあるかもしれない。しかし最も可能性の高いサプライズは、有権者の現政権への評価に悪影響を与えるような緊急事態が起きることだろう』。」
イスラエルとレバノン紛争が拡大することや、ウクライナ戦争でロシアが戦術核を使うなど、世界を巻き込む戦争に発展していったら、ハリスでは対処できないだろう。その時はトランプの出番となるのか?
しかし、ビル・クリントンの2度の大統領選に携わった民主党のベテラン戦略家マット・ベネットは、「ハリスが候補者になって以降は世論調査の結果が安定していることを踏まえ、『仮に大きな事件が起きても』大勢に影響はないだろうとみる」。
むしろ、トランプ側に何かが起きる可能性があるかもしれないというのだ。
「トランプの妻メラニアが意外なサプライズとなる可能性はある。10月8日に出た回顧録「メラニア」で、彼女は『女性は政府からの介入や圧力を受けることなく、自分自身の信念に基づいて出産するかどうかを決める権利を保障されなければならない』と書いている。
トランプの指名した最高裁判事らは人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の『ロー対ウェード』判決を覆して中絶反対派を喜ばせた。だが最近のトランプは、連邦レベルの中絶禁止に消極的な姿勢も見せている。
メラニアの発言は『トランプの選挙運動に複雑な影響を与える可能性がある』と言うのは、フロリダ・アトランティック大学のクレイグ・アグラノフ教授(政治マーケティング論)だ。
女性の中絶権を明確に認めたメラニアの立ち位置が『助けになるか障害になるかは、この問題に関するトランプ陣営の終盤戦での対応次第だ』とも言う」
結局のところ、現状維持のまま11月5日の投票日を迎えそうだという見方のようである。だがその結果は、まだ混とんとしていて、どちらが有利とも分からないようだ。
私は、トランプの勢いが衰えてきていると思っている。年齢のせいか、どうしても大統領になってやろうという熱意にどうも欠けてきているような気がする。
ハリスやや優勢と見るがどうだろう。
美智子上皇后が10月6日に、住まいである仙洞御所で転倒して「右大腿骨骨折」し、大腿骨を金属でつなぐ「骨折合術」をしたという。
今月の20日で90歳になるのだから、体の骨なども脆くなってきているのだろう。心配である。
4年前にも新潮はこう報じていた。
「振り返ればこの十余年、上皇后さまは絶えずお体の変調に苛まれてこられた。そのお姿はまさしく『満身創痍』というほかなく、
『御代替わりの翌月、美智子さまは血液検査で、心機能が低下すると分泌されるホルモンの数値が高いことが判明しました。その後の心臓検査でも、心臓の弁が完全に閉じずに血液の逆流や不整脈が続いているという診断を受けています』(宮内庁担当記者)
これに先立つ2015年には、心電図検査で冠動脈に狭窄が見つかり、心筋の血流が悪くなる『心筋虚血』と診断されている。また、
『心臓の異変が見つかった直後、昨年6月には両眼の白内障の手術を受けておられます。かねて美智子さまはものが見えづらい症状を訴えられていたのですが“御代替わりを迎えるまでは陛下を支えたい”とのお気持ちが強く、手術を先延ばしになさっていたのです』(同)
さらに昨年8月、先々の懸念となりかねない“病状”が宮内庁から発表された。
『定期健診のエコー検査で左胸乳腺に腫瘤が見つかり、MRI検査の結果、悪性が疑われる所見がみられました。あらためて組織検査を行ったところ、早期の乳がんと診断されたのです。9月に入って東大病院で1センチ弱の腫瘍摘出手術を受けられましたが、幸いリンパ節への転移もなく、術前と同じステージ1と診断されました。現在は、ホルモン療法が続いています』(同)」(デイリー新潮2020年09月28日)
そして今回である。
こうした骨折では、歩くことに不安や恐怖を覚える「転倒後症候群」にかかることがあるというが、私もいまそれで悩んでいる。
いくら脚の筋肉を鍛えても、また、脚折れするのではないか、転倒するのではないかという恐怖が付き纏っているのである。
ましてや90歳の美智子上皇后なら、もっと強いはずだが、彼女は、上皇を支えなくてはという強い意志があるから、克服するかもしれない。そうであることを祈りたい。
新潮は、美智子上皇后の日課であった上皇との朝夕の散策がなくなると、同じ敷地内に住んでいる秋篠宮悠仁さんとフラッと出会い、何気なく話し込み、直に上皇の「帝王学」について悠仁さんが触れることも少なくなり、「悠仁さまへの『帝王学』伝授にも不具合が生じかねません」(宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司)
そうでなくとも、美智子さんは多くの国民が慕い、尊敬する皇室の象徴である。いつまでも元気でいてほしいものだ。
ところで、Netflixが快進撃を続けている。
地面師といわれる詐欺師たちのリアルな犯罪の手口をドラマ化した『地面師たち』。80年代に女子プロ旋風を巻き起こした全日本女子プロレスの“最兇ヒール”ダンプ松本を描いた『極悪女王』など話題作が続出している。
ポストは、こうした配信大手のNetflixが、テレビを殺す、息の根を止めると見ているのだ。
それは、表現の自由度が非常に高いのと、製作期間や製作費が既存のテレビと比べると格段に高いからだという。
『極悪女王』を企画・脚本・プロデュースした鈴木おさむは、関西のテレビ番組で、「ギャラは地上波の5倍だった」といっている。
Netflixが日本で普及するきっかけになったのは2019年に配信された『全裸監督』だったが、AV監督の村西とおるの半生を描き、バストトップの露出や、大胆な濡れ場シーンがあり、大きな話題になった。
原作者の本橋信弘は当時、
「ネットフリックスのプロデューサーから、コンプライアンスが厳しくなった時代に、『地上波ではできない作品をドラマ化したい』という熱意を伝えられた。担当者はモデルである村西監督に『こんな男が日本にいてまだ生きているのか』と感銘を受けたそうです。
ですが、当初は村西監督は消極的でした。彼は“昭和の男”だから、『実写化するならスクリーンでやるべき』という考えだったんです。ですが、向こうが人気俳優の山田孝之さんのスケジュールを押さえてくれたことで翻意した。
山田さんは向こう3年のスケジュールを押さえられている状態でしたが、本(脚本)を読んでもらうところから説得して、快諾いただいたそうです」
地上波の連ドラ予算は1クール3000万円~1億円だそうだが、Netflixは1話に8000万円かけることも珍しくないという。
私も『地面師たち』は面白く見たが、『極悪女王』は途中で見るのをやめた。だって、極悪女王のゆりやんレトリィバァはまだいいが、相方が剛力彩芽だよ。
あんな細い小さな子が、プロレスラーなんぞになれるわけはない。見ていて空々しくなって、それ以来見ていない。
だがこうした過剰なコンプライアンスのないNetflixに、各局の敏腕プロデューサーたちが次々に“電撃移籍”しているという。
今や、テレビでまどろっこしいドラマを見ているより、NetflixやAmazon、ディズニーなどのドラマを見る方が当たり前になってきている。
だが、やや不安なのは、配信ドラマは刺激が多ければ多いほど見られるため、刺激がエスカレートし過ぎている気がするのである。
もちろん、心温まるヒューマンドラマも多数あるが、人間は刺激になれていく動物である。韓国ドラマなどはその典型であろう。『イカゲーム』を見れば、もっと刺激が欲しくなる。
その壁にぶつかって、振るい落とされる日本人プロデューサーが今後は出てくるはずだ。
私のNetflixドラマのベスト3をあげておく。
第1位が『ヴァージンリバー』第2位が『ブリジャトーン家』第3位が『クイーンズ・ギャンビット』。
今夜もネトフリで夜を楽しく過ごそうか。
お次は文春の“衝撃告白”。
「僕たちは犯罪者に育てられた子どもたちなんだよね。自分が川で溺れているときに助けてくれた人が、実は殺人犯だったらどうするかって話で」
これは文春の阿川佐和子対談に登場した元少年隊の錦織一清(59)が、ジャニー喜多川について語った言葉である。
錦織は、ジャニー喜多川から受けた恩や教えは忘れられないといいつつも、こうもいっている。
「僕らは色眼鏡で見られる覚悟が必要。そうやって社会から罰を科せられているんですよ。僕は事務所に四十三年間いた分、これからは事実と向き合いながら四十三年かけて社会に理解してもらえるよう努力するしかない。僕がそこにいたのは事実ですから」
「『あいつらもおかしいんじゃないの』って俺たちは言われ続けるしかないと思います。というか、言われ続けなきゃだめなんだよね。そう言われるようなことを社長はやってきたんだから」
東山紀之がジャニー喜多川の性加害について、「鬼畜の所業」といったのと同じように、自分が性加害を受けたかどうかについては語らない点は同じ。だが、錦織の言葉で頷けるのは、ジャニー喜多川の犯した犯罪は重大だから、自分たちも社会から罰を受け続けるしかないというところである。
しかし、この国のメディア、特にテレビはそんな基本の基さえも忘れてしまって、禊は済んだとばかりにテレ東に始まり民放各社、NHKが旧ジャニーズ事務所のタレントたちの起用を再開した。
10月16日、NHKの稲葉延雄会長は定例会見で、「被害者への補償と再発防止の取り組みに加え、(スマイル社とスタート社の)両社の経営の分離も着実に進んでいることが確認できた」(朝日新聞10月17付)と述べたという。
しかし、補償で合意できたのは被害を申告した千人のうちのまだ半数である。それに理由も告げられずに救済しないと切り捨てられた者も多数いるといわれているが、詳細を公表していないから信用できない。
新潮によれば、折り合いがつかず調停へと移行した被害者も4人いるという。NHK関係者は、「調停がこれ以上揉めて、訴訟にまで発展したら、性加害問題に再び注目の集まる事態が予想される。そうなれば、旧ジャニーズタレントを起用したテレビ局にも騒動が飛び火しかねないことを恐れているのです」と話している。
創業者の娘・藤島ジュリー景子が関連会社からも退いたというが、新会社の株主構成は公表していない。彼女が株を持ち続けていれば利益を得られるから、「表札が変わっただけで、実際は何も変わっていない」(青山学院大学八田進二名誉教授=朝日新聞)のではないのか。とにかく、旧ジャニーズ事務所と同じで、「SMILE―UP.」には隠し事が多すぎる。
それでも、NHKが旧ジャニタレの起用再開を明言したのは、紅白歌合戦の出場者を決めるギリギリの時期だったからだろう。過去最低だった昨年の雪辱を果たしたいというNHK上層部の浅はかな“欲望”が、事実を正しく見る目を狂わせたのである。
しかし、上層部とは考えを異にし、現場で骨太のドキュメンタリーを地道につくっている人間たちもいる。
10月20日の夜に放送されたNHKスペシャル『ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像」(総合・1ch)がそれである。
「ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏。日本エンタメ界のカリスマでありながら、長年に渡り、少年たちへの性加害を続けてきた。なぜ誰も彼を止められなかったのかー。アメリカ日系人社会での知られざる来歴や、ジャニーズ草創期を知る人物の貴重な証言から、早い時期からのジャニー氏の性加害、そして姉・メリー氏がそれを“隠蔽”してきた実態が浮かび上がる。メディアも加担して築かれた“アイドル帝国”の実像とは―」
私も少しこの中に出ているからいうわけではないが、インタビューを受けていて、彼らのジャーナリストとしての「覚悟」がひしひしと伝わってきた。NHKが丸ごと腐りかけているのではない。
ところで、私は経営というものをやったことがないため(市民メディアの『オーマイニュース』の社長はやったことがあるが)、今のセブン&アイがカナダのコンビニ大手の「アリマンタシオン・クシュタール」による買収の危機に遭っているという報道が、どうしても合点がいかないのだ。
当初、はるかに安い提案をしてきたのに、セブン&アイ側が難色を示しているので、7兆円という買い取り額を提示してきているというのだ。
たしかに、スーパーのイトーヨーカー堂は経営不振だろうが、セブンイレブンはコンビニ最大手である。
ましてや、アリマンタシオン・クシュタールはコンビニとはいうが、ガソリンスタンドに併設されているだけで、日本型のコンビニとは全く違う。
万が一、カナダ式のコンビニになれば、多くの日本人はファミマーかローソンに行ってしまうはずだ。
何をそんなにセブン&アイは怖れているのか?
セブン関係者はこう話す。
「井阪氏ら現経営陣は、祖業であるイトーヨーカ堂になかなか斬り込めなかったからです。創業者の(伊藤=筆者注)雅俊氏はスーパー事業に強い愛着を持っていた。そのため、過去八年間で八百億円もの赤字を垂れ流しているにもかかわらず、半ば放置しているような状態が続いていました」
井阪体制は、創業家に配慮しすぎたため、舵取りがうまくいかなかったというのである。
だがそのやり方は「物言う株主」たちには通用しなかった。
「HDの大株主だった米ファンド、バリューアクト・キャピタルはここ数年、コンビニ事業に経営資源を集中させるよう強く要求していました。
追い込まれたHDは昨年三月九日、イトーヨーカ堂店舗の大幅削減などを盛り込んだ新たな経営計画を発表。自社が運営するアパレル事業からも撤退し、食品事業に注力する旨を発表したのです」(同)
奇しくも、イトーヨーカ堂を一から作り上げた伊藤雅俊が98歳で亡くなったのは、発表の翌日だったという。
今年の1月10日、イトーヨーカ堂では店長クラスの社員らを対象にした会議が開催されたそうだが、山本哲也社長から語られたのは、早期退職、つまりリストラだったと文春は報じている。
この早期退職制度には正社員の約1割にあたる約700人が応募したそうだ。
では、今後どう展開していくのだろう?
「ロータス投資研究所」の中西文行代表はこう解説する。
「セブン&アイHDの株主構成を見ると、海外法人等が約三六%。このうち一定数が『提案は企業価値からみても妥当』として臨時株主総会を招集すれば、大きく流れが変わる可能性もあります。
HDは稼ぎ頭だった海外コンビニの稼ぐ力も落ち込んでおり、足元の収益力も低下している。
クシュタールとしては、ドル換算で買収価格が下がる円安のうちに株主提案まで持ち込みたいと見られます」
本当にセブン&アイは風前の灯火なんだ。
文春オンライン(10月16日)にセブン&アイ・井阪隆一社長のインタビューが載っているので紹介しよう。
「果たして、セブン&アイHDの井阪社長は自社を取り巻く厳しい経営環境をどう受け止めているのか。10月13日、本人に話を聞いた。
――クシュタールの買収提案の件について。企業方針の違いなどはどのように受け止めている?
『流通業ってそれぞれの国と地域でそれぞれの価値をつくっていますので、本当にクシュタールさんがテイクオーバー(買収)した後に、そういうことの優先順位を考えてもらえるかということもすごく重要な要素だと思うんですね。地産地消とか色んなことをやってきましたから。そういったことまで本当にお考え頂けるかということが、一つ懸念にはありますよね。将来打ち合わせていかないといけないんだろうとは思っていますけどね』
――提示されている7兆円という額ですが。
『その額は僕たちが発表したというよりはメディアの方が出した額なので。先方の具体的な数字とか、交渉の中身についてはこちらからお話しはしない方がいいかなと思っています』
――先日、グループの再編を施策として打ち出したが、防衛策としては十分?
『それはクシュタール云々ではなくて、自分たちが本当にこれからどうやって成長していくかということをベースに考えたプラン。その魅力によって2005年にホールディングスができた時と比べ、日本でも倍くらいの店舗数になっていますし、アメリカでも同じように倍くらい成長しています。成長のスピードは国内の(イトーヨーカ堂などの)スーパーストア事業とは明らかに違うんですよね。同じ傘の下にいてやっていくよりは、むしろ分けて、セブン-イレブンブランドはグローバル、国内両方ともすごいスピードで成長しないといけない。スーパーストア事業はもう少し地域密着型でやっている。生い立ちも成長シナリオも違うので、それぞれ分けようと昔から言っていて。それと、今回の買収防衛策といいますか、クシュタールさんに対して打ち返す手というのとは全く違う次元のお話になります』
――買収防衛策としてまた別の手を考えているということ?
『いやいや、そうではなくて買収防衛ということは今考えていません』
『以前から何年もかけて進めてきたものです』
――“物言う株主”であるバリューアクト・キャピタルからも、スーパーストア事業の切り離しは指摘されていたと思うが、それを受けての施策?
『そういうことではなく、本当に自分たちがこの一番適切な成長ストーリーをちゃんと実現していくために、働いている社員も加盟店さんも、一番いいスピードで成長していくためにどうしたらいいんだということで出したのが、今回のグループの構想だったんです。それはクシュタールとの件があったから出したわけではありません』
――タイミングとしてはどうしても防衛策として見られているが。
『いやいや、そんな簡単にできないんですよ、この議論は。社内でも相当やってますね。ですから、クシュタールから出して頂いた提案に対してこれが答えだということではなくて、それ以前から何年もかけて進めてきたものです』」
このやり取りを見ていると、どうやらセブン&アイ側が防戦一方とみえるが、日本独自に根付いたコンビニ文化が、壊れていくのは寂しい気がするのはなぜなのだろう。
この間、ネットで、大谷翔平が日本へ帰って来たとき、外出先でトイレを借りたくなりコンビニへ入った話をしていた。中に入るなり、
「とても懐かしい気がした」
というようなことを語っていたが、もはやコンビニは「日本の文化」といってもいいだろう。
セブン&アイがんばれ! もっと雑誌を置いてくれたら出版社すべてが味方になるぞ。
さて、11月27日は衆議院選の投開票日である。その日をこの国で一番恐れているのは石破茂首相だと思うが、まだ、3週間しか経たないのに石破政権の支持率は急降下している。
「時事通信の10月世論調査によると、1日に発足した石破茂内閣の支持率は28.0%で、岸田文雄内閣最後の9月と比べ、9.3ポイント増加。自民党支持率は18.9%で、9月比で2.2ポイント低下した。発足時の支持率としては、内閣、自民党ともに異例の低さ。数字上は既に政権末期と言える。衆院選を戦う与野党各党に、衝撃が走った」(JIJI.COM10月17日19時00分)
このままいくと、岸田文雄政権の支持率を抜いて、戦後最低になる可能性もある。
だが、一部の新聞の衆院選予測では、石破の支持率は低いのに、自民党と公明党が過半数を確保するというのがあった。
そんなバカな! いくら野党共闘ができないからといって、今のデタラメな自民党に投票する人が多くいるとはとても思えない。
だが、もしそんなことがあれば、確実にこの国は沈没する。北朝鮮と並んで、アジアの最貧国になる。
私はまだ、有権者たちの「理性」を信じたいと思っている。
文春は、裏金候補たちがどうなるのか、当落を「緊急公開」している。
中でも一番注目を集めているのは“ミスター裏金”というべき萩生田光一であろう。本人は、自分は「自民党の萩生田」ではなく「八王子の萩生田」として戦ってきたなどと語っているが、今回は、旧統一教会も公明党の支援も表立っては受けられず、苦戦しているのは間違いない。
今回は、旧安倍派を中心に非公認となった候補は12人だったが、そのうち3人が出馬を断念した。
東京11区の下村博文元文科相は、お詫び行脚として支援者宅を8000軒回ったという。その甲斐あって当落予想ではC+なっているという。これは当選の可能性ありということ。
下村は文春に対して、選挙後について不気味なことをいっている。
――当選後はノーサイド?
「ノーサイドでは済まないでしょう。『党内融和より国民への説明』と石破総裁は仰ったが、党内をまとめる努力をどうされるのか。危ういんじゃないですか。石破政権が」
この恨、晴らさでなるものかということか。
非公認となったことが大きなダメージになったと思われるのは、福井2区の高木毅元国対委員長。今はC-と当落線上ギリギリ。
注目の東京24区の萩生田もC-。
「ポジティブな要素が何もないうえ、公明党の推薦が出ないのが痛い。東京二十四区は最低でも四万票の公明党票があるとされています。つらい選挙戦になるでしょう」(久保田正志政治広報システム研究所代表)
東京21区の小田原潔もC-。
だが圧倒的な強さを見せる候補もいる。兵庫9区の西村康稔元経産相がそれ。予想ではAという高い評価である。
それは、公明党が推薦を出したことと自民党から半ば公然と推薦を受けているからだという。
埼玉13区から出馬している三ツ林裕巳元内閣府副大臣も非公認だが、公明党から推薦を受けているため、評価はAだそうだ。
東京17区の平沢勝栄も盤石で、当選確実のA評価。
こうしてみてくると、半数以上が勝ち残ってくると思われる。そうなれば、石破茂首相は即刻、自民党に復帰させる腹積もりだろうが、この仕打ちに怒っている連中は、石破憎しで固まり、反石破で動き出す可能性大である。
「今回の非公認などの判断は、党内に禍根を残しました。旧安倍派や旧茂木派、麻生派の候補のもとには、“反石破”の旗印として高市氏が応援に駆け付ける予定です。(中略)政治資金の透明化を掲げていたはずが、党の要職に座る小渕氏を巡る不記載疑惑も明らかになりました。議席を減らす可能性が高まる中、“石破降ろし”が加速してきそうです」(政治部デスク)
石破茂首相は“旧安倍派の皆様方”に、どう釈明する気なのか。大波乱は選挙後に来る。(文中一部敬称略)
【巻末付録】
今週はポストだけ。
「総理が愛したアイドルたち」。石破茂首相は「キャンディーズ」の熱烈なファンだったことはよく知られているが、それがどうした?
袋とじ「田野憂 太陽と海とLカップ」「花井美理 胸いっぱい」
「ニューピースGIRLS したた滴る!」。ここだけは平和だ。