【10月18日】今日は『天津飯の日』なので、特別に「本当の天津飯とは何か」をお教えしよう
本日10月18日は『天津飯の日』。「どっちの天津飯?」と思った読者は少なくないと思うが、答えは「どちらでもない」。ただ私が人生経験を積みまくった結果「ドラゴンボールのキャラで結婚するなら天津飯一択」という境地に達したことは、一応お伝えだけしておく。
さて天津飯は卵焼きで包まれたライスに甘酢や醤油ベースの餡をかけた食べ物。中華料理屋へ行けば半分くらいの確率でメニューにあるこの天津飯が実は日本発祥の料理で、中国には存在しない……というのは、今さら説明するまでもない話だと思う。
では中国の天津で食える飯(=本当の天津飯)ってどんな飯か、皆さんご存知だろうか?
・第1天津飯(てんしんめし)発見
天津は中国の首都・北京中心部から約120kmの距離にある地方都市。北京から高速鉄道で最速30分という好立地のため、なんとなく仙台とか広島クラスの都市を想像していた。
すると意外にも栃木くらいの規模感の閑静な街で、北京の喧騒に疲れていた私は心地よい安らぎを感じたものだ。天津は都会というより、歴史ある街なのである。なお私が最後に天津を訪れたのは2019年のこと。あれから5年で大発展を遂げていたらすみません。
ところで天津といえば『天津甘栗』が有名。こちらに関してはたしかに名物として、天津に実在していた。ただ実際の現場では、日本人が持つ超絶対的な「天津=甘栗」というイメージほどには、大々的に販売されていなかった印象。
ヒマワリのタネ、ピーナッツ、クルミといったナッツ類と並んで売店などで売られ、観光客も、地元の人も、なんとなくポリポリ食べながら歩く。これも天津飯(てんしんめし)の一種といえよう。
・知られざる天津
ちなみに私には天津に現地在住の友人(中国人)がいて、滞在中は専属ガイドをしてもらっていた。
友人によると、ここ(古文化街)が天津観光のメイン・ストリートらしい。
「日本人は三国志が大好物だろ?」と、三国志関連の何かっぽい施設に連れて行かれた。 “現地人が思う観光客が行きたい場所” と “観光客が実際に行きたい場所” が微妙に異なる現象は、たぶん全世界共通のあるある。
道中で購入した天津飯(てんしんめし)。日本の肉まんより甘みが少なく肉肉しかった。
路上でおじさんが実演販売していた飴細工も天津飯(てんしんめし)の一種といえなくない。
・食べ歩き祭り
そこから天津の社寺仏閣めぐり。中国にも「見ざる・言わざる・聞かざる」の概念があることを友人から聞かされる。
冒頭で天津の雰囲気を「栃木っぽい」とお伝えしたが、このような形で再び栃木っぽさを感じるとは思いもしなかった。
かつて欧米諸国によって租界(中国の外国人居留地)が多く設置された歴史的背景により、天津中心部には洋風の建物や街並みが多く残っている。友人はそれが自慢で仕方ないという様子だったが、私はどちらかというと中国風の街並みが見たかった。難しいなぁ。
友人が「超オススメ」と言った屋台の天津飯(てんしんめし)。正式な料理名はよく分からなかったが、お好み焼きみたいでおいしかった。
夜は火鍋。中国人と夕飯を共にすると、天津に限らず高確率で火鍋屋へ連れていかれる。
この日はモツ系薬膳風鍋。完膚なきまでの天津飯(てんしんめし)である。
・天津飯(てんしんめし)の最終形態
そしてこの天津旅で、友人が「どうしても食べてほしい」と言った天津飯(てんしんめし)があった。
それは “天津の朝食” 。この時点で朝8時。早朝にも関わらず大繁盛している様子の食堂へ入ると、カウンターに菓子パン、揚げパン、蒸しパン、焼きまんじゅう、揚げまんじゅう、惣菜、正体不明の小鉢……などなど、信じられないほど種類豊富な食べ物が所狭しと並べられていて、いかにも仕事ができそうなオバチャンがテキパキと注文をさばいている。
この天津旅で私が目撃した中で、これほど活気のある光景は他になかった。
システムもメニューも分からなさすぎるので、友人にオーダーを丸投げ。金属製の味わい深い食券を渡され、待つこと5分……
見たこともない揚げ麺汁と、あんかけ豆腐のどんぶりがダブルでドーン! とテーブルに置かれた。さらに油条(揚げパン)2本と味玉2個、ポテトサラダも来てしまう。友人いわく、これで1人前の量。普段朝食そのものを食べる習慣のない私にとって、カルチャーショックを通り越した絶体絶命のピンチであった。
なおトイメンの男性は赤の他人。店があまりに繁盛しているため、相席が当たり前すぎて気をつかう必要は一切ない空間っぽい。これが1人旅であれば、私がこの店に入ることは絶対になかっただろう。天津の友人がいてよかった……そう強く感じた瞬間だった。食べ切るのは非常に大変だったけれど。
……以上、これが本当の天津飯(てんしんめし)だよ、というお話でした。みんなも天津へ行ったら食べてみてね〜!
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.