アラブのゲーム会社社長に聞いた「中東で犯罪ゲーム『GTA』が流行っている理由」が予想の斜め上だった / TGS2024

2024年9月26日から4日間にわたって開催されている東京ゲームショウ2024。いよいよ、28日、29日は一般公開日である。先駆けて行ったビジネスデイでインディーゲームコーナーをうろうろしていると、石油王みたいな恰好の人達がブースを出展していた。コスプレかな?

と思いきや、ガチでUAE(アラブ首長国連邦)から来ているそうだ。その名も「Abu Dhabi Gaming(アブダビ・ゲーミング)」。中東はゲームが熱いと聞いたことがあるが、はるばるTGSに出展とは恐れ入る。だが、話を聞くとさらにビックリ……

・政府設立

なんと、アブダビ・ゲーミングはアブダビ市政府が設立したゲーム共同イニシアチブなのだとか。共同イニシアチブって呼び方はピンと来ない人が多いと思われるが、ざっくり言うと地元のゲームスタジオとプラットフォームを繋げたりイベントとかをしたりしているのだという。

事実、ブースも「コスフ・スタジオ (Khosouf Studios)」「カシュクール・ゲームズ (Kashkool Games)」「ハイパーマスターズ (Hypermasters)」「アフターワーク・ゲームズ (Afterwork Games)」の4つのゲームスタジオからなっていた。

それにしても、政府がゲームを普及させるための機構を作るなんて本当に熱い感じがする。ところで、何がそんなに流行っているのだろうか。

・ヒット作なしにはゲームブームはない

ゲームって大ヒットゲーム無しには流行らないものだと思う。日本で言うスーパーマリオみたいな存在は中東だと何になるのだろうか? ゲーム関連の事業をやっているわけだし、その辺の事情にも詳しいに違いない。

そこでアブダビ・ゲーミングの人に、中東で大人気のゲームを聞いてみた。答えてくれたのはカシュクール・ゲームズの創業者である2人。CEOのオムランさんとデザイナーのイドリースさんである。

・中東でみんな知ってるくらい人気のゲーム3選

ちゃんとスーパーマリオみたいな感じで、老若男女に広く知られているゲームということも伝えたところ、名前が挙がったのは以下の3つであった。

『FIFA』

『ニード・フォー・スピード』

『グランド・セフト・オート(GTA)』

FIFAは分からんでもない。日本でもサッカーゲームと言えば、FIFAみたいなところがある。特に、サッカー好きでもない私(中澤)も友達と対戦するのが楽しくてハマっていた時期があるくらいにはゲーム性も高いしな。

『ニード・フォー・スピード』はレーシングゲームだ。まあ、日本で言うマリオカートみたいなものか。リアルなタイプのカーレーシングなのが海外って感じがする。

・GTA?

しかし、『GTA』は国民的な人気を博すゲームと言われると、日本人では違和感がある。なにしろ、ジャンルはクライムアクション。犯罪都市ロスサントスで、ギャングや警察などの役職に分かれて、ギャングは銀行強盗とか客船強襲とかする感じだ。

たしかに、日本でもゲーム好きなら知っているくらい売れているとは思うが、内容が内容だけにアングラ感はぬぐえないと思われる。私もホロライブを見てなかったら知らなかっただろう。

だが、GTAが流行っていることにはどうやらギャングとは別の理由があるらしい。私が「え? GTA?」と聞き返したのを見て、教えてくれた流行の理由は以下の通りであった。

オムラン&イドリース「中東の人ってみんな車が好きなんです。凄い好きですから、ああいうオープンワールドで車が運転できるっていうところが良いんですね」

──ああ、なるほど。それでニード・フォー・スピードも人気なわけか。ちなみに、FIFAは車と同じくらいサッカー熱が高いからなのだそうな。

・『Sheba(シーバ)』

答えは予想の斜め上だったけど、聞いてみたら納得の理由。国民的ゲームにもお国柄って出るんだなあ。

なお、そんなカシュクール・ゲームズは、『Sheba(シーバ)』というアクションRPGを出していた。試遊してみたところ、ゲーム内の言葉は日本語に翻訳されているが、キャラや演出、ストーリーに中東の風を感じる。ただ、ゲーム性としては魔界村みたいな感じなので日本人にも馴染みがあるはず。

こちらも文化として興味深いブースであったため、28日、29日の東京ゲームショウに行くのであればプレイしてみるのも良いだろう。

参考リンク:Twitter @abudhabi_gaming、PRTimes

執筆:中澤星児

Photo:Rocketnews24.

2024/9/27 23:00

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