ついに発売された永谷園の「カップお茶漬け」を食べてみた / 72年越しの革命を体感せよ

永谷園のお茶漬けが好きである。人生でどれだけ食べたかわからない。もし筆者の死後、まかり間違って筆者の記念博物館が創立された際には、「生前愛好していた魔法の食品」といったキャプション付きで私生活紹介ゾーンに展示されるだろう。それほどに好きである。

そんな愛すべき永谷園から、このたび2024年9月9日に革命的な商品が発売された。その名も「カップ入り お茶づけ海苔」である。

カップに熱湯を注ぐだけでお茶漬けが出来上がるという本商品は、言わばカップラーメンのお茶漬け版だ。バリエーションとして「カップ入り さけ茶づけ」も発売されており、価格はそれぞれ税抜200円となっている。

以前にも永谷園から「カップに入ったお茶漬け」は登場しているが、包装された無菌米飯を湯通しするかレンジアップする一手間が必要だった。今回の「カップ入り お茶づけ海苔」はフリーズドライ形式であり、その点が決定的に異なる。

永谷園の公式Xアカウントによれば、同社の「お茶づけ海苔」が誕生してから、実に72年の歳月を経てこの「新しいお茶漬けのカタチ」が完成したという。

なぜ冒頭にて「革命的」と書いたか、これでお分かりいただけたかと思う。もし筆者がこの国の総理大臣なら、発売日の9月9日を「カップお茶漬けの日」として祝日に制定するよう、議会に強く働きかけていただろう。そして「お茶漬け宰相」の名をほしいままにしていただろう。

さておき、永谷園が満を持して世に送り出した「カップお茶漬け」のクオリティを確かめないわけにはいかない。「海苔」味と「さけ」味の両方を入手した筆者は、まず前者から開封することにした。

説明書きに従って、ご飯に熱湯を注ぎ、軽くかき混ぜ、3分間待つ。やはりカップラーメンとやることはほぼ同じである。

想定外だったのは、出来上がったお茶漬けのご飯がまばらに浮いており、箸よりもスプーンで食べた方がよいと気付かされたことだ。普段、かなりわんぱくな量のご飯にお茶漬けの素を振りかけている身としては動揺したが、「お茶漬けに入ってはお茶漬けに従え」である。

そういうわけでスプーンでご飯をすくい、口に含んだところ、脳裏に閃いたのは「見事」の2文字だった。温かく身体に沁みる出汁の味わい、海苔とあられの織りなす香ばしい風味。何より柔らかで弾力のある米の食感は、普段親しんでいるお茶漬けのそれと遜色なかった。

「通常の白米と全く同じ」とは言わないが、「ふっくらと炊き上がっている」感を確かに抱かせる仕上がりである。永谷園曰く、フリーズドライに最も適した国産コシヒカリを採用したとのことで、それも功を奏しているのだろう。

というより、フリーズドライであることなど最早忘れてしまう。「さけ」味を食べてもその所感は変わらないどころか、むしろ強固なものになった。「海苔」味以上に強い塩気が快く舌を刺してくる。カップの中から味覚に届く馴染み深いテイストに、思わず笑みがこぼれる。

強いて欠点を挙げるとするなら、出来上がりの時点でも少々気になっていた通り、ご飯の分量が控えめである点だろうか。とはいえ小腹を満たしたい場合などにはこの分量が適しているだろうし、明らかなデメリットと断じるつもりはない。

そんなささいな「気になる点」を霞ませるくらいには、永谷園がこのハイクオリティな「カップ茶漬け」を産み落とした意義は大きい。これからやってくる冬場にはいっそう輝くことだろうし、賞味期間は12ヶ月なので保存食としても期待できそうだ

あるいは海外旅行のお供などにも向いているかもしれない。日本食が恋しくなった時にこれを食べたら個人的には泣く自信がある。何にせよ、多くの人に本商品を手に取ってもらいたいし、この革命にじかに触れてほしい。

博物館が創立されるほど高名な人物でもなければ、ましてや総理大臣でもない、一介のウェブライターにすぎない筆者は、ただこうして陰ながら記事を書くのみである。72年の歳月を経たからには、それ以上に末永く、この愛すべき商品が愛されることを願って。

参考リンク:永谷園 公式サイト、公式X

執筆:西本大紀

Photo:Rocketnews24.

2024/9/18 18:00

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