男性のたまらない表情が間近で見れるメガネ外しはもっとするべき
世に3割いるメガネ男子と付き合ったことある?
並みいる男性たちの写真を見ながら、衝撃的な事実に気付いてしまった。
私、メガネをかけている男性と付き合ったことがない…!(なんとどうでもいい気づき)。
世の中にはこんなにもメガネをかけている男性が居るというのに、私は彼らと一回も恋愛関係に陥ったことが無いのだ。
もっと言うと、デートをしたことも無い気がしてきた。
コンタクトレンズ男子は家ではメガネになるものの、その場合“人様に見せる用メガネ”ではなくて、“メガネについてあまり考えたことが無い、単なる視力を上げるための調整器具”の地位にメガネは落ちてしまう。
コンタクトレンズ男子としか付き合ったことの無い私にとっても、今までメガネの存在感は薄かった。
今適当にググってみたら、「コンタクトレンズはせず、メガネだけをかけている人」は20、30代で35%だそうだ。本当にそんなに居るかしら?
そこまで居ることに少し疑いを持ちつつも、3割もの男性と恋愛をしたことないなんて、人生の楽しいことを何か逃している気がしてしまう。
私だって、メガネ君と遊びたい。
ラーメン食べて、メガネが曇っちゃうところなんて想像するだけで萌えるし、寝起きに「メガネメガネ」なんつって近くにあるメガネを探してる彼に気づかれないように、どんどん遠くにメガネを置きたい。「いや、そこにあんじゃん。そこ! 目の前!」とか言いながら。
メガネにハーって息吹きかけて磨くオヤジ臭い動作も、しみったれた感じがしてかわいい。その丸まった背中に飛びつきたい。
メガネ屋さんに行って、あーだこーだ試着して「どっちがいい?」なんて聞かれて、メガネにあまり関心の無い私が「どっちでもいい」とか言って、ムカつかれたい。
あと、やっぱり、外したい。
メガネ君処女の私が何を言うって感じだけど、メガネ君の醍醐味ってやはり、メガネを外した瞬間なのではないかと思うのね。
<メガネを外された瞬間の顔が見たい!>
メガネ外しの快感を味わう
ああ、この発言自体がメガネ処女感ムンムンかもしれない。
メガネ玄人は、もしかしたらメガネをかけていること自体をもっと濃密に味わえるのかもしれないけれど、メガネ処女の私は、メガネを外した瞬間に思いを馳せてしまう。まだまだ未熟だ。
そうして、私は私の手でメガネ君のメガネを外したい。
左右のツルを両手で持って、ゆっくり顔から離したい。
私の手によって、相手の顔立ちが変わるのがいい。
その時の頭の位置は相手より少しだけ上。私を見上げる男性の顔から、メガネを取り除きたい。
取る瞬間、きっと目の前に手が伸びてくる条件反射で、一瞬目を瞑るだろうから、その瞬間をこっちは目ん玉おっぴろげて見ていたい。
んで、私が取ったそのメガネをそのままどこかに置こうとするときに、その手からメガネを奪ってほしい。外してから置くまでの工程の9割方私がやるから、最後に「コトッ」って置く瞬間だけ、やってくださいお願いします。置く工程の最後の20センチだけ、お願いします。
不思議だ。今、メガネ君のメガネを取る素敵瞬間を想像していたら、私の体がある感覚を思い出してしまった。
私、メガネ君のメガネを、取ったことがある。
なんだ、なんだか覚えている。
その顔から、ゆっくりメガネを引き抜いたこと、ある。
誰だ? この記憶は誰だ? 私は誰のメガネを外したんだろうか。
しかもそのメガネを外すとき、私はその人の膝に座っていたように思う。
もうそれは、つまり、完全に、そうじゃないか。
全く思い出せない、不思議なメガネ君との記憶。私はメガネ外しの快感を味わったことがある女だったのか。
メガネを取り外したい。至近距離で、その顔を見たい。
メガネを外した瞬間の、一瞬心もとなくなった男性の顔と、なんだか途端に締まる顔つきを、数センチの距離で見たい。
メガネくーーーん。
メガネ取らして―――。
Text/舘そらみ
初出:2016.03.30
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