日本人の心、出汁。日本料理のUMAMIには欠かせないものだ……が、いざ出汁を取ろうとなるとこれがまあ面倒くさい。その複雑さたるや、料理自体へのやる気を失わせるに余りあるほど。でも美味しいんだよね、出汁……。

と、そんなある日。天下の100円ショップ「ダイソー」が、やたらと「だし塩」を推しているのを発見した。

食品コーナーの一角を占拠して並ぶ、どことなく高級感漂うパッケージ。しかし安定の108円。

108円のだし塩って……アリなのか？　というわけで、味を確かめるべく片っ端から買ってみた。

・ダイソー「だし塩」シリーズ（各税込108円）

・しじみだし塩

・海老だし塩

・のどぐろだし塩

・鰹だし塩

・鯛だし塩

・牛だし塩

店頭にあったのは以上の6種。過去には「昆布」もあったようだが、現存のラインナップはおそらくこれで網羅したと思われる。

裏の原材料を見るに、魚介の粉末やエキスなど思ったよりも「本格」仕様。これは期待が高まる。

まずはそのままの味を知りたいので、お湯に溶いてそのまま飲んでみることに。

その他、キュウリと大根をこの塩で漬け込んで「浅漬け」に。それから、白ごはんにこの塩を混ぜ込んで「塩むすび」を作って、それぞれ食べ比べてみることにした。

さて、まずはお湯に溶いて即席お吸い物。

・しじみだし塩

味はいいんだけど、匂いはちょっと「小学校で飼ってたグッピーの水槽」みたいな生臭さがあるな……。単体ではなく、お味噌汁とかにプラスしたら匂いも紛れるかもしれない。ちゃんと「シジミエキス粉末」なるものも含まれているっぽいので、滋養強壮に良いのかも。

・海老だし塩

海老だー！　匂い、味ともにスゴイ海老。お湯に溶くだけで立派にスープとして成立する。海老好き筆者にとってはメチャクチャ美味しいスープだ。

・のどぐろだし塩

うむ、出汁だな。「のどぐろ味」が正確にはわからんのでなんとも言えないが、上品な和風出汁の味。うどんスープとかにすれば良さそうかも。

・鰹だし塩

お、これは知ってるぞ。まんま鰹出汁の味だ。慣れ親しんだ味で普通に美味しい。

・鯛だし塩

鯛出汁だ！　ちょっと控えめではあるものの、紛れもなく鯛の味。本物の鯛で「あら汁」とか作ると生臭くなりがちだが、これは鯛の美味しいところだけ取り出した感じ。

・牛だし塩

……ビーフジャーキーの匂いがする。ちょっと胡椒の風味も感じる、と思ったら原材料名に「ブラックペッパー」の文字が。なんだかお菓子っぽいジャンキーな風味だ。美味しいんだけど、スープにすべきじゃない気もする。

……なるほどなるほど。ちゃんと全部違いがあって面白くなってきた。というわけで今度は「浅漬け」と「塩むすび」、一気にいくぞ！

・しじみだし塩

浅漬け：全然生臭くない！　が、風味もあまり感じられず無難な浅漬けって感じ。

塩むすび：握っている最中はやはりちょっと「水槽」的生臭さがあったものの、冷めてから食べてみると気にならない。むしろ好きかも。

・海老だし塩

浅漬け：魚介の匂いはするものの、海老か？　と言われたら微妙。風味の強さを活かしてナンボな気がするので、これはちょっと「合ってない」のかもしれない。

塩むすび：匂いは強いが、味はそこまでエビエビしくない。だし塩むすび、といった感じで、海老だよーと言われたら気付く。でもなんか美味しくてずっと食べちゃう。

・のどぐろだし塩

浅漬け：魚粉が入ってるのか、舌触りがちょっと粉っぽい。「のどぐろ味」か否かはともかく「出汁が効いてるな～」という味。そりゃそうか。

塩むすび：美味しいんだけど、やっぱりどこまでいっても「のどぐろ味」の正解がピンと来ない。美味しいんだけど。

・鰹だし塩

浅漬け：急によく知ってる味になった。当たり前だが、カツオ節そのまんまの味。間違いなく美味しい。

塩むすび：合わないわけがなかろう。塩むすびというより「おかかおむすび」の味。普通で、とても美味しい。

・鯛だし塩

浅漬け：あんまり主張が強くないな……。量の誤差もあったかもしれないが、さっきのスープも控えめな味だったので、やっぱり元々上品なのかも。

塩むすび：ちゃんと鯛めしの味がする、すごい。上品な味でパクパク食べられる。他の調理法だとよく分からなかったが、塩むすびで真価を発揮した感じ。

・牛だし塩

浅漬け：「牛」感はよくわからないものの、奥の方にちょっとヤンチャな味を感じる。今までの魚介風味とは一線を画す味。

塩むすび：なんか悔しいけど美味しい。今までのが「だし塩むすび」だったのが、これはどちらかというと「スナック菓子」みたいな。やっぱりちょっとジャンクな風味なので、和食よりフライドポテトにまぶしたりしたら美味しいかも。

……てなわけで、これにて全制覇。ごちそうさまでした！

・適材適所

予想の5倍くらい主張が強かった。風味塩って、安いものだと「風味どこ？」ってなることが多いのだが、このシリーズはどれもしっかり個性的。

それだけに、それぞれ使う場面が変わってくる気がする。マルチプレイヤーなのは「鯛」や「鰹」あたりの魚系だろうが、クセ強な「海老」や「しじみ」も使い方で化けそう。それぞれの活用法を考えるのも楽しそうだ。

手軽に風味をプラスできて料理の幅が広がりそうな、ダイソーの「だし塩」シリーズ。見かけたらひとつ手に取ってみてはいかがだろうか。108円だし。

参考リンク：ダイソー　話題の新商品「だし塩」、ダイソーネットストア

執筆：砂付近

Photo：Rocketnews24.