旨い店はタクシー運転手に訊け! 2時間で売り切れる!大久保のカレー専門店『小さなカレー家』の絶品「牛すじカレー」が人気のワケ

●「旅先で旨いものを食べたければ、タクシードライバーに聞くのが一番」と言います。そこで、東京のB級グルメに精通する現役タクシー運転手・荒川治さんに、オススメのお店を教えてもらいました。

 今回は、東京・JR大久保駅のほど近く、行列が絶えない牛すじカレー専門店『小さなカレー家』をご紹介します。なんだか謙虚で可愛い店名ですよね。

 実際、小さなお店なのですが、写真の通り、赤いヒサシは劣化してボロボロ。もともと店名が書かれていたと思しき場所の文字も判読できない状態。実は小さな窓ガラスに店名が表記されているのですが、その窓もお店のご主人が開けているので、外からは店名がハッキリわからないのです。

 とはいえ、看板に“牛すじカレー専門店”、“自家製牛すじカレー”、“一度食べたらくせになる味”といった魅力的な文言が書いてあるので、辛うじてこの店がカレー屋であり、牛すじカレーが看板メニューなんだな、というのがわかります。

 そんな『小さなカレー家』ですが、お店の前には毎日午前11時から必ず行列ができており、ただならぬオーラを放ってもいるので、店名がわからなくてもお店はすぐに見つけられると思います。

 私もこの行列に何度も並んできました。が、並んだからといって必ずしも食べられるわけではありません。先日も、私が行列に並んでいたとき、12時40分を過ぎたあたりでご主人が窓から顔を出して「すいません、残り7人分になりました〜」とアナウンスされました。その時点で私の前には7人以上並んでいたので、残念ながら泣く泣く諦めることに。このアナウンスは常に7人とは限らず、別の日には10人ということもありました。つまり、この“残り人数”は日によってバラバラ。油断できません。

 ちなみに、このお店は月〜土の11時から営業を開始して売り切れ次第終了。夜の営業はないので、また翌日以降に再チャレンジするしかありません。ですから早い時間に並んでおくことを強くオススメします。

 では、そうまでしてみんなが食べたい『小さなカレー家』の「牛すじカレー」とはどんな味なのか。ご紹介したいと思います。

大人気の「牛すじカレー」を実食!

 ところで皆さんは牛すじを調理したことがあるでしょうか? 作ったことがある人ならおわかりでしょうが、特有の臭みがあり、肉質も硬いので、扱いがなかなかやっかい。ところが、調理の仕方ひとつでとんでもなく美味しくなる部位でもあります。

 だから牛すじをうまく使うには、新鮮なものを選ぶことに加え、丁寧な下処理や長時間の煮込みが必要。だから煮込み系のカレーやシチューは、その牛すじの威力を発揮できるわけですね。そしてここの牛すじカレーがまたやみつきになる味なのです。

『小さいカレー家』の「牛すじカレー」は並盛が650円、大盛は800円、特盛が1300円です。またトッピングで、味噌焼き(豚バラやイカ、チキン)、卵(生・茹で)などをのせることもできます。

 ちなみに某有名カレーチェーン店では「牛すじ煮込みカレー」(地域限定)を出していますが、そのお値段はなんと1132円。それに比べると並盛650円は、めちゃくちゃリーズナブルで良心的。もはや牛丼チェーン店並みと言えるでしょう。

 しかも、ここの並盛のご飯とカレールーの量は、一般的な店の大盛りに匹敵するレベル。大食漢でない限り、大盛や特盛にしなくていいと思います。私もかつて、大盛を注文して待っている間に、他のお客さんが注文した「大盛」を見て、あわてて並盛に変更したくらいです。少食の方や女性はむしろ「ご飯少なめ」とお願いするといいでしょう。

 また、カレーと一緒に頼んでほしいのが、ここの「コールスロー」(50円)。間違いなく50円です。そしてこれがやたらとカレーに合うのです。千切りキャベツにドレッシングとベーコンフレークをかけたシンプルなものですが、シャキシャキしていて非常に旨い。

 さて、話が長くなりましたが、本題の「牛すじカレー」です。着席してから6〜7分で登場します。

 お皿にたっぷりのカレールー。そこにフライドオニオンチップをのせたライス。「牛すじカレー」なので、そこにぷるんぷるんの牛すじがたっぷり。主役の牛すじはキュッとした噛みごたえで、カレー全体に旨味をもたらしています。うーん、ウマい! カレー×牛すじの組み合わせはやっぱり間違いないですね。

 一口食べてみると、辛さは控えめ。最近のカレーは、一口目からスパイスが強烈で刺激的なものも多いですが、こちらのカレーのファーストインパクトはとても静か。しかし、2口、3口と食べ進むと、牛すじや野菜のコクが重り合って、食べ進むほど旨味を深く感じるように。そして途中で旨さが頂点に達し、スプーンが止まらなくなるんです。この美味しさが最後までキープされ、お皿はあっという間に空っぽに。

 ちなみに、辛いカレーがお好きな方は、途中で卓上のチリパウダーを振りかけてみてください。おとなしいカレーが一変。味の輪郭もくっきりしてアクティブな感じに。この変化を楽しむのもまたこの店のカレーの良さです。

 味噌焼き(豚肉やイカ)をのせたバージョンを食べている常連さんもたくさんいますが、私はまだ未体験。次に行ったらお願いしようと思っています。

まとめ

 というわけで、計り知れない魅力を秘めた大久保の『小さなカレー家』の「牛すじカレー」。ぜひ早めの時間から並んで食べてみてください!

●SHOP INFO

店名:牛すじカレー 小さなカレー家

住:東京都新宿区百人町1-24-10

営: 11:00~14:00(売り切れ次第終了)

休: 日曜

(撮影・文◎土原亜子)

●プロフィール

荒川 治

東京都内在住のタクシー運転手。B級グルメ好きが高じて、現職に就き、お客さんを乗車させつつ、美味い店探しで車を回している。中年になってメタボ率300%だが、「死神に肩をたたかれても、美味いものを喰らって笑顔で死んでやる」が信条。

2024/9/8 10:48

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