「意外な事実だった」32歳の人気料理家が妊活中に知って驚いた“妊娠率に関連する栄養素”
「働く人のための簡単時短レシピ」が大人気の料理研究家・もあいかすみさん。Instagram(@moaiskitchen)のフォロワーは実に104万人を超えています。
私生活では2021年に結婚し、2023年から不妊治療をスタート。体外受精を経て妊娠し、2024年8月に第一子を出産しました
昨年は管理栄養士の資格を取得し、女性のライフステージによりそい、心身の変化をサポートしている「BELTA」のアンバサダーに就任したもあいさんに、妊活中に栄養面で大切にしていたことや、不妊治療を体験して得た気づきなどについて聞きました(インタビューは予定日を1〜2週間後に控えたタイミングで実施)。
◆夫婦の足並みを揃えることに、こだわらなかった理由
――もあいさんが不妊治療を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
もあい:結婚から2年ほど子どもができなかったことが一番の理由です。2021年2月に結婚したのですが、コロナ禍の影響で結婚式ができず、2023年1月にやっと挙式できました。
結婚式を挙げるまでは妊活にそこまで積極的ではなかったのですが、避妊を徹底していたわけでもなかったのに妊娠しないことが気になっていました。だから結婚式という節目を終えたら、「妊活をするために病院に行こう」と自分の中で決めていました。
――妊活のスタートから病院に行くことを決めていたのは、なぜだったのでしょうか。
もあい:妊活をするなら自己流でやる時間を使うよりも、専門家に診てもらって指導をしてもらったほうが絶対にうまくいくと思ったんです。せっかちな性格で、やると決めたらやらないと気が済まないタイプなので、式の1週間後にはさっそく受診しました。
また、不妊治療を経験した友人に話しを聞くと、しばらく自己流で妊活していたけど病院で検査をしたら卵管が詰まっていて自然妊娠が難しいことが判明したり、排卵がうまくいっていないことが分かったケースもあるということでした。それで最初から病院で検査してもらうのはすごく大切なんだなと思ったんです。
――不妊治療について、ご夫婦で話し合ったりしましたか?
もあい:不妊治療に関しては基本的に、「夫婦で足並み揃えて頑張る」というよりは、「私が主導するから、あなたは私が言ったことをしっかりやってね」という方針でやっていました。
夫は自分から妊活について調べたりするというより、やるべきことを言ってもらったほうがいいというタイプなんです。私が頼んだことには協力的だったし、それに対してまったくストレスはなかったと言っていました。夫本人が不妊治療のクリニックに私と一緒に来ることは最後まで一度もなかったですが、それが私たち夫婦には合っているやり方だったと思います。
夫婦で足並み揃えて、となると私のほうが熱量が高いので「どうしてもっとこうしてくれないの!?」と夫に不満を募らせてしまう気がしたので、私が主導してやっていこうと決めていました。
◆「こんなにたくさん不妊で悩んでいる人がいるんだ」
――不妊治療のクリニックに行くことに対しては抵抗はなかったですか?
もあい:もともと、不妊治療に抵抗はなかったのですが、病院に初めて行ったときにビルのワンフロア一面の待合室の椅子がほとんど埋まっているのを見て「世の中には、こんなに不妊治療をしている人がいるんだ」と衝撃を受けました。改めて「不妊治療するって普通のことなんだな」と思いました。
――治療を始めてから大変だったことはありますか?
もあい:病院に行く時間を作ることが一番大変でした。例えば、人工授精をするためにまず月経中に受診して、排卵日が予測される何日か前から病院に行かなければならないんです。排卵していなければ翌日も病院に行かなければいけないので何日も通う必要があります。
月経や排卵を確実に予測することは誰にもできないので、事前にスケジュールの立てようがありませんでした。できるだけ排卵が予測される日の前後には出張の予定が重ならないようにしていましたが、思っていたよりも病院に行かなければいけない回数が多くて調整が難しかったです。
私は仕事の融通がきくのでなんとかなりましたが、会社勤めを続けていたら職場の協力がなければ厳しかっただろうなと思いました。
――人工授精、体外受精と治療をステップアップすることについてはどうやって決めたのでしょうか。
もあい:授かり方について特にこだわりはなかったので、2023年1月に初めて病院に行ってから11月の私の誕生日までに妊娠しなかったら体外受精に進もうと決めていました。少しでも若い状態で卵子を保存した方がいいんじゃないかと思ったのも理由の一つです。
そう考えてはいたのですが、最初の検査で夫婦2人とも特に問題がないことが分かったので自然妊娠できるかもと思って病院に通わなくなった期間が少しありました。でも自己流では妊娠しなかったので人工授精を2回試して、10月の時点で妊娠していなかったので体外受精に進みました。誕生日前に卵子を採取して12月に受精卵を子宮に戻してすぐに妊娠しました。今でも体外受精をしてよかったなと思っています。
◆妊活で初めて知った、重要な栄養素
――妊活中に栄養面で意識していたことはありますか?
もあい:妊娠前から葉酸を摂取したほうがいいということは管理栄養士の資格取得の際に勉強したのですが、ビタミンDを充分に摂っているかどうかが受精卵の妊娠率や着床率に関連しているという研究結果(※)があることは妊活中に初めて知りました。私にとっては意外な事実でしたね。
ビタミンDは、キクラゲなどのキノコ類や鮭に多く含まれていますが、日本人の多くが不足しているとも言われている栄養素です。病院からも葉酸とビタミンDをサプリから摂取することを勧められていました。
また、私は学生時代から貧血が酷かったので、鉄分やカルシウムも含まれているBELTA葉酸サプリを飲んでいました。妊活中や妊娠中にはそれぞれの時期によって必要な栄養素があるので、BELTAのサプリは葉酸だけでなく必要な成分が摂れて嬉しかったです。
※Justin Chu Reprod Health.2019; 16: 105.
――妊娠中にメンタルが不安定になることはありましたか?
もあい:普段から夫と会話が多いので、心配事があれば話すようにしています。でも、妊娠してからは「今のままの生き方は続けられない」という漠然とした不安に襲われた時期がありました。
そのときは、スマホのメモ機能に不安なことをすべて書き出して、一つひとつ「これはこうする」と解決策を書き出していったら「なんだ大丈夫じゃん」と思えるようになりました。モヤモヤしているときが一番不安なので、見える化して整理するのがいいと思います。
◆今後も「忙しく働く人のための時短レシピ」を
――不妊治療の経験を公表したきっかけは何だったのでしょうか。
もあい:2023年にBELTAのアンバサダーに就任したことで、不妊治療についてお話しするようになりました。すると今までにないくらい大きな反響があったんです。「私も不妊治療をしているんです」「一緒に頑張りましょう」と言ってくれる方が大勢いて、こんなにたくさんの人が悩んでいるのだと驚きました。そういう方たちにとって、何かプラスになるような活動をしたいなと思っています。
不妊治療を経て妊娠したことはとても嬉しいのですが、これからの私の発信の仕方によっては治療中の方を傷つけてしまうことがあるかもしれないので、言葉選びなど難しさがあると感じています。
――今後は、どんなお仕事をしていきたいですか?
もあい:Instagramでは子ども向けのメニューが増えるかもしれないですが、もともと、忙しく働く人のための時短レシピというコンセプトなので、その軸はずらすことなく家事育児やお仕事を頑張っている方に向けた発信をしていきたいと思っています。
<取材・文/都田ミツコ>
【都田ミツコ】
ライター、編集者。1982年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスに。主に子育て、教育、女性のキャリア、などをテーマに企業や専門家、著名人インタビューを行う。「日経xwoman」「女子SPA!」「東洋経済オンライン」などで執筆。