ラーメン官僚が太鼓判を押す、徳島県の本当に美味しいラーメン店『らーめん2の2』

●年間700杯以上を食べ歩く“ラーメン官僚”こと田中一明氏が、日本全国のローカル・ラーメンの最新事情&行く価値のある名店をご紹介します。

 全国各地のラーメンシーンを余すところなくご紹介する本企画。前回は栃木県のラーメン事情についてとり上げたが、今回は徳島県のラーメンシーンに注目したい。

 徳島県は、東部、南部、西部と大きく3つのエリアに分けられる。そして同県のラーメン事情だが、エリア別にみると、人気店・有名店の過半は、徳島市、鳴門市など、東部の人口集積地に集中している。南部や西部に実力店が存在しないわけではないが、その数は必ずしも多くはない。

 そして何と言っても、ご当地ラーメン「徳島ラーメン」が有名。徳島ラーメンは、大きく「茶系」「黄系」「白系」の3系統に分けられる。

・「茶系」…濃厚豚骨出汁×甘辛い濃口醤油やたまり醤油

・「黄系」…鶏ガラと香味野菜から採った出汁×薄口醤油

・「白系」…豚骨出汁×薄口醤油や白醤油

 徳島ラーメンの人気の火付け役となった『いのたに』をはじめ、『王王軒』、『春陽軒』、『東大』など全国レベルの知名度を有する実力店が提供するラーメンは「茶系」が多い。それゆえ、一般的に徳島ラーメンといえば「甘辛い味わいの豚骨醤油ラーメン」というイメージが先行しがちだが、現地に赴けば、「茶系」以外の実力店も多数存在することが分かる。例えば、「黄系」の『中華そば かわい』、『支那そば よあけ』や「白系」の『岡本中華』などがそれに当たる。

 また、ここ数年で、徳島ラーメン以外の「非ご当地ラーメン」を提供する店舗も急増中。特に、鳴門市は「非ご当地ラーメン」の人気店がしのぎを削り合う、県内有数のラーメン激戦区と化している。

 以上を踏まえ、徳島県のラーメン事情をまとめると、以下の3点に要約される。

1.「茶系」「黄系」「白系」の3種類に大別される「徳島ラーメン」が根付いている。

2.近年、「徳島ラーメン」以外のラーメンを出す実力店が増加中。

3.有名実力店の多くは東部エリアに集中。

 以下、最近訪問した徳島県のラーメン店の中で、特に印象に残った店舗をご紹介していこう。

徳島ラーメンの本格派 『らーめん2の2』(美馬市)

 前回は鳴門市の人気店『とりとたい 鳴門店』をご紹介したが、今回は西部エリアからオススメの1軒を紹介する。それが2013年9月に美馬市にオープンした、『らーめん2の2』だ。

 ロケーションは、JR徳島線・穴吹駅から約1.3km。穴吹駅は、徳島線のほぼ真ん中に位置し、美馬市を代表する拠点駅。冒頭で述べたとおり、徳島県西部と南部は、東部と比べて実力店の数が相対的に少なめ。しかし『らーめん2の2』は、そんな西部エリアにおいて貴重な本格派「徳島ラーメン」が食べられる店舗として、テイクノートに値する存在だ。

 同店が提供する麺メニューは、「ラーメン」、「肉入りラーメン」、「チャーシューメン」、「みそラーメン」など。「みそラーメン」も人気商品だが、初訪問時に頼むべきはやはり、メニューリスト筆頭に君臨する「ラーメン」だろう。

 豚骨のコクと風味が過不足なく抽出された動物系出汁と、濃口醤油を用いたカエシを見事なバランス感覚で重ね合わせた豚骨醤油スープは、口内へと飛び込んだ刹那、甘辛いカエシのうま味が味蕾を心地良く刺激する、「茶系」徳島ラーメンのお手本。

 豚バラ肉にじんわり沁み込んだ下味と、カエシとの相性の良さも並大抵のものではなく、ひとすすりで、食べ手を魅了するだけの訴求力を持ち合わせている。

「徳島ラーメン」に対して食べ手が求めるポイントを、的確にとらえ抜いた佳作。西部エリアに立ち寄る機会があれば、迷わず訪問いただいてOK。そう太鼓判を押せる優良店だ。

●SHOP INFO

店名:らーめん2の2

住:徳島県美馬市脇町拝原2531

TEL:0883-53-0367

営:11:00〜20:00(火曜のみ〜15:00)※スープ売切れで閉店の場合あり

休:月曜

※店舗前に駐車場あり

●著者プロフィール

田中一明

「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。

2024/9/3 10:50

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