【コンビニホットスナック探訪】セブンの「ささみ揚げ(梅しそ)」は、多くの人に知ってほしい逸品 / 初実食で味わった衝撃の「軽さ」について

思い返せば、筆者はこれまでコンビニのホットスナックとあまり向き合ってこなかった。それぞれのチェーンで売っているものについて、ほぼ有名どころしか知らない。

原因は自覚している。筆者はレジ横のケースに対して、明確な苦手意識を有している。あれの前で見物とばかりに立ち止まろうものなら激しく人目が憚られるため、足早に通り過ぎなかった試しがない。「レジ横に吹く疾風」とは筆者のことである。

おそらく人生における累計滞留時間は30秒にも満たない。そんな非力な己を変えるべく、最近になって意を決してホットスナック探訪に乗り出したところ、初手から「大当たり」の商品と出会った。それがセブンイレブンの「ささみ揚げ(梅しそ)」である。

名前の通り、鶏のささみに梅としそを乗せて揚げた本商品。恥ずかしながら、このたび初めてその存在を知ったわけだが、まずもって衝撃的だったのは「梅しそ」の部分である。油と衣がひしめくホットスナック界に、梅の差し入る余地はないものだとばかり思っていた。

例えるなら、ハードロックバンドだらけの音楽フェスにハープ奏者が参戦しているような、もっと言うならボディビル大会に何故か細身の将棋棋士が出場しているような、とにかくそんな異彩を本商品から感じ取り、一目見て購入に踏み切った。ちなみに価格は180円だった。

袋から皿に取り出したそれを眺めると、衣の奥に仕込まれた大葉の緑色が透けて見えた。わかってはいたが再び驚いた。茶色に支配されたホットスナック界に緑色が存在することは、レジ横取締法か何かに抵触するものとばかり思っていた。

そして何より驚かされたのは、好奇心を抑えきれずかぶりついた時の、その食感である。薄い衣はサクサクというよりしっとりしていて、その先にあるささみは噛んだ瞬間から崩れるように柔らかい。ささみに付き物のパサつきを一切感じさせない。いっそ滑らかでさえある。

爽やかな梅の酸味も相まって、軽い仕上がりは揚げ物であることを忘れさせる。一般的なホットスナックがパワフルな「剛」であるなら、これは間違いなく「柔」。それでいて淡白なわけでは決してなく、鶏の旨味とジューシーさも抜かりなく備えており、満足度は非常に高い。

もはやホットスナックの域を越えて、純粋に揚げ物として初体験の味わいだった。強いて言うなら大葉の風味がやや薄いのは残念ではあるものの、それを補って余りあるクオリティに圧倒される。

重い物は食べられないがしっかり食事は取りたいという時に最適の商品だと思うし、いくらでも食べられるという時に無我夢中で貪ることもお勧めしたい商品である。何にせよ、このささみ揚げをまだ食べたことのない方は、ぜひ手を伸ばしてもらいたい。

と、ここまで初実食の際の所感を書いてきたが、実のところ現時点の筆者は本商品を既にリピート済みであり、リピートを経て一つ気付いたことがある。

「ななチキ」や「からあげ棒」といった商品がレジ横ケース内の上方に並べられているのに対し、この「ささみ揚げ」は大抵の場合、下方にひっそりと佇んでいる

少なくとも、筆者が観測した範囲においてはその傾向があった。おそらくメジャーな「売れ線」の商品ではないということなのだろう。「窓際族」ならぬ、「レジ台の天板際族」である。

非常にもったいない。筆者が言えた義理ではないかもしれないが、この「ささみ揚げ」がより多くの人に見つかることを願うばかりだし、同じようにハイクオリティなホットスナックが、この世界にはまだまだ潜んでいるのだろうと思う。

向き合わねばならない。風に吹かれて通り過ぎてばかりだったレジ横のケースを、これからは「止まり木」にせねばなるまい。かくして一羽のウェブライターは、未知の「大当たり」を求めて飛び立つのであった。

参考リンク:セブンイレブン 公式サイト

執筆:西本大紀

Photo:Rocketnews24.

2024/9/2 12:00

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