【チェーンのチャーハン行脚】第1回:天下一品の「チャーハン」(610円)は、食べて「なるほど」な完成度

チャーハンが好きだ。有名店は、かなり攻めた。海外(特に中国)のチャーハンも山ほど食べた。“チャーハン偏差値” は高い方だと自負している。

だが。

逆に私は知らなかった。いわゆる「チェーンのチャーハン」を、あまり食べてこなかったことに気づいたのだ。「木を見て森を見ず」状態である。

そんな時だ。こってりラーメンで有名な『天下一品』でも……

チャーハンが食べられることに気づいたのは。

行ってみたのは吉祥寺にある天下一品で、注文したのは「チャーハン(並)」。価格は税込610円。

チャーハンを待っている間、奥の厨房から「カンカン」と中華鍋と中華お玉がぶつかり合う音が聞こえてくる。

私のチャーハン? そうでなくても、絶え間なく聞こえるカンカン。天下一品、私のイメージ以上に中華鍋を使うお店だったのだな……。

そして食券提出から約7分後──

きました! ほう!!

けっこう「炒(チャオ)ってるチャーハン※」だな。

※よく「炒め(チャオ)」が入ってるチャーハンのことを言う。

※羽鳥が勝手に使ってるだけの羽鳥語なので使用の際は要注意。

かたちは、いわゆる「日本チャーハン式」に多いドーム型の「カッポリ系」。

そして色は、まるでサーファーのような濃い濃いの茶色。「褐色」といっても過言ではないだろう。

して、そのお味は──

ひとことで言うなら「ヤキメシ系」。

──ここでチャーハン余談だが、チャーハンには大きく分けて4種類あると私は思っている。

まずは日本式のチャーハン。日本の町中華でよく出てくるタイプ。かたちはドーム型のカッポリ系なことが多い。これを「日式チャーハン」と私は呼ぶ。

続いて本格中華チャーハン。日式がカッポリ系を基本としているのに対し、本格中華はそのままサラリと皿に盛るタイプ。本場中国で出てくるのがコレだ。

そして今回の「ヤキメシ系」。日式チャーハンが “日本と中華の中間” なのに対し、ヤキメシ系は、もう少し日本寄りなチューニング。味は醤油ベースなことが多い。

あとは、大雑把に「そのほか」としている。上記どれにも当てはまらない、オリジナリティ極まるチャーハン(海外チャーハン含む)が「第四のチャーハン」であると。

その分類で言うと、天下一品のチャーハンは「ヤキメシ系」に属していると思われる。

具は、ネギ、たまご、にんじん、たまにチャーシュー。紅生姜のアクセントがキラリと光る。

ちなみに「にんじん」というのが珍しく見えるけども、けっこうにんじんを使う町中華も多い。

味の基本は醤油ベースだ。けっこう醤油辛い。しかし、その味の奥深くに「天下一品の味」が垣間見える。

けっこう独特のチャーハンなので、チャーハン好きなら一度は味わっても良いかと思う。

透き通ったスープもまた独特で、いわゆる「チャーハンに付いてくる醤油味のスープ」とは一線を画す。

「ネギスープ」的な味であり、「独特なチャーハン」とのコンビには、この「独特のスープ」が最も相性が良いと食べて納得。

普通の「チャーハンに付いてくる醤油味のスープ」だとしたら、この独特なチャーハンに負けていたかもしれない。かといって、「天一のスープ」だったら、この独特な「天一のチャーハン」に合わなかったかもしれない。これぞ “最適解” な組み合わせだ。

食べ終えた時、「なるほど」と納得できた。かなり考えに考えた上で構成されている見事なチャーハンであると。

そう思うと同時に、「よかった」と安堵もした。チェーンのチャーハンに「いま気づいて良かった」と。

他のチェーン店は、どのようなチャーハンを出しているのだろう。どんな考えやポリシーが隠されているのだろう。

そう思ったらもう止まらない。私の「チェーンのチャーハン行脚(あんぎゃ)」が、中華鍋の「カンカン」という音と共に幕を開けたのである。

参考リンク:天下一品

執筆:チャーハン研究家・GO羽鳥

Photo:RocketNews24

2024/8/23 14:00

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます