【パリ五輪】NHKリポーター内村航平の評価が急上昇中! 柔道混合団体の“神コメント”

 3日、パリ五輪・柔道混合団体決勝が行われ、日本は東京五輪決勝で敗れているフランスと再び顔を合わせたが、3-4で敗退。2大会連続の銀メダルとなった。

 一時は3-1とリードした日本だったがフランスが巻き返し、ゴールデンスコアによる代表戦となった今回の決勝戦。ルーレットによる階級抽選は90キロ超級となり、本戦でフランスのテディ・リネールに敗れている斉藤立にとってはリベンジを果たす絶好のチャンスとなったが、五輪個人3連覇の偉業を達成したリネールの壁は高く、死闘の末に大内刈りで一本負けを喫した。

 この決勝をNHKのアスリートナビゲーターとして現地リポートしていた体操界のレジェンド・内村航平氏は試合後「日本発祥の武道と、フランスで一番人気なスポーツ・柔道の国と国とのぶつかり合いは見ていてすごくおもしろかったですし、結果としては日本が銀メダルという悔しさはありますけど、本当によくがんばったと思います」「(体操競技の)僕も同じお家芸としてたぶん団体で銀メダルだったら『すみませんでした』って言ってきたと思います。でも選手たちには、そういう思いをしてほしくないので、見ている日本のみなさんが『銀メダルでもいいんだよ』『よくがんばったよ』って言ってほしいな」とコメント。そのコメントに、ネット上では称賛の声が多数上がっているようだ。

 今回の柔道競技では、大会を通じて不可解な判定が連発。7月27日に行われた男子60キロ級の準々決勝では永山竜樹がスペインのフランシスコ・ガリゴスに絞め落とされて一本負け。この際、主審が「待て」をかけたにもかかわらずガリゴスが6秒間にわたって絞めを解かなかったことから、世界中で大きな議論を呼んだ。

 これをきっかけに、日本からガリゴスのSNSアカウントに大量の誹謗中傷コメントが投稿されるなどの騒動が起こり、永山自身がガリゴスとの写真とともに「私たちは柔道ファミリー」と投稿するなど、対処に追われる事態となった。

 永山の試合以外にも、同31日の男子90キロ級決勝では村尾三四郎が残り30秒で入った内股が技ありにも見えたが、ポイントなし。その後、残り5秒で逆に技ありを取られて銀メダルに終わったり、1日の女子78キロ級準々決勝で高山莉加が3つの指導を受けて反則負けとなった際、五輪公式サイトで指導の理由が「不明(Undetermined)」とされていたりと、日本の柔道ファンにとってはフラストレーションのたまる大会となっていたことは間違いないだろう。

 そうした違和感を、内村航平のコメントがずばり言い当てているというのが、今回のコメントが称賛される一因になっている。

「日本は国内ルールの講道館ルールと、国際ルールの2つあるんですよ。これ、日本だけなんですよね」

 3日、『教えて!ニュースライブ 正義の味方』(ABCテレビ)に出演したバルセロナ五輪柔道女子52キロ級銀メダリストでスポーツ社会学者の溝口紀子氏は、世界における柔道の現状をそう表現した。

 五輪や世界選手権などは国際柔道連盟(IJF)によって運営されているが、柔道は特にルール改正の多い競技として知られているのだ。近年だけでも、「有効」ポイントの廃止、抑え込みの「技あり」を15秒から10秒に短縮、「指導」の累積による反則負けを4回から3回に短縮といった具体的な数値変更だけでなく、「一本」や「技あり」の基準についてもたびたび見直されてきている。

 例えば「技あり」と見られた村尾の内股については、相手が尻もちをして片手を畳についたが、これは現在の基準では「技あり」とはならないことがルールブックに明記されており、鈴木桂治監督も試合後の取材に対して「納得しています」と語っている。

 多くの柔道ファンの中にある柔道のイメージと国際ルールの間にある隔たりは年々大きくなっており、日本の武道である「柔道」と世界のスポーツとしての「JUDO」が別の競技としてとらえられ始めているのだ。

 内村氏の「日本発祥の武道と、フランスで一番人気なスポーツ・柔道」というコメントがそうした柔道競技を取り巻く現状を意図してのものかどうかわからないが、図らずも柔道ファンにとっては「一本」を与えたくなる表現だったようだ。

2024/8/4 13:00

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