しまむらが販売中止した「パパをけなすデザイン」女性側も苦言。7割が“ナシ”と回答した理由

 しまむらが展開する子ども用品専門店「バースデイ」が7月29日に発売した新商品のデザインに批判が噴出し、販売中止が発表される事態となりました。

 今回物議を醸したのは、アーティストの加賀美健氏とのコラボ商品。「パパママいつもありがとう」「くくった(靴下)」「ママがいい」など子どもが書いたような文字がデザインされた可愛らしい服や靴下、ファッション小物の中には、「パパは全然面倒みてくれない」「パパはいつも寝てる」「パパはいつも帰り遅い」など、なんだかパパに冷たいメッセージが……。

 SNS上では「なんだこのパパヘイト商品」「さすがに受け付けない」などの批判が相次ぎ、バースデイは翌日、公式Xを通じて「ご不快な思いをさせてしまう表現がりましたこと、深くお詫び申し上げます」との謝罪と共に販売中止を発表しました。

 今回の騒動では、パパ側・男性側だけでなく、女性からの批判も多いようです。そこで今回は30代から50代の女性300人にアンケート調査を実施しました。

◆このデザインはアリorナシ? 300人の女性に聞いてみた

 編集部が行ったアンケート調査では、「パパは全然面倒みてくれない」「パパはいつも帰りが遅い」の文字が書かれた商品に対して、「どちらかといえばアリ」と答えた人は93人で31%、「どちらかといえばナシ」と答えた人は207人で69%でした。

 今回アンケートに応えてくれた女性の約7割が、このデザインを「ナシ」だと思っているようです。

◆「子ども服にネガティブなメッセージをデザインすること」への嫌悪感

ナシ派には、この商品にデザインされた文字にネガティブな印象を抱いた人が多いよう。

「批判的な表現だから」(その他の職業/神奈川県/20代)、「公然の場でネガティブなメッセージを振りまくことにいいイメージがない」(無職/広島県/40代)、「子どもが身につけるデザインにするのはどうかと思う。子ども自身が思っていなくても子どもが言っているように見える」(パートアルバイト/東京都/20代)などの意見がありました。

◆父親側の気持ちを考えると…

 さらに、父親側の気持ちを考えた意見も。「父親の育児に対する意欲を削ぐと思う」(会社勤務/愛知県/40代)など、子どもが身に付ける商品に相応しくないメッセージだと感じる人も多いようです。

 父親も子育てをしていると感じている人の中には、「逆だったら?と思うから。うちは夫も頑張ってくれてるから。(パートアルバイト/富山県/30代)」、「今の時代は子育てを積極的にしているお父さんが沢山いると思うので、そういう人に失礼だなという気持ちがある」(無職/大阪府/20代)との声も。

◆「ネタとしてはアリ」「面白い」との声も

 ネタとしての有無を問う声も目立ちました。アリ派には、「ネタTシャツとしては最適」(学生/石川県/ 30代)や、「面白いと思うから」(会社員/埼玉県/ 20代)などポジティブな意見も。

「ネタに振った商品だと感じる。変なデザインや奇抜なロゴの服とかも世に溢れているので断固拒否みたいには思わない」(パートアルバイト/岡山県/30代)と、意外にもネタとしては良いデザイン、もしくはネタなのだから気にならないと考える人もいるようです。

 ナシ派には、「周りの人が見てうけても、本人は立場が無くなるから」(専業主婦/北海道/20代)、「冗談やネタとして楽しむのであれば、もう少し上の世代向けのほうがいいと思う」(会社勤務/秋田県/40代)など、子育て世代のパパを“ネタにする”ことに疑問を抱いている人もいるようです。

◆「多様な家族がいることを考慮していない」という問題

 また、「それぞれの家庭の事情が考慮されていない」(専門職/山口県/30代)、「シングルファザーもいるから」(その他の職業/宮城県/40代)、「時代錯誤」(会社経営/新潟県/20代)などの声も。

 厚生労働省「2022年 国民生活基礎調査の概況」によると、子育て中の母親のうち仕事をしているのは75.7%。“男性が外で稼ぎ、女性は育児に専念する”という時代が終わりつつあるなかで、現代の多種多様な家庭環境に対する配慮に欠けるという意見が多いのも頷けます。

さまざまな夫婦の形がある中で、子どもにとってより良い環境を作り、誰か一人ではなくみんなで育児をしていくことが必要だと、4人の子を育てる母である筆者は思います。

今回の“パパヘイト“商品に対して性別問わず多くの批判があがったことは、社会でのパパやママへの固定観念が徐々に変化している現れとして、前向きにも捉えられるのでないでしょうか。

【調査概要】

調査対象:30~59歳の女性300人

調査期間:2024年7月30~31日

調査機関:(株)クロス・マーケティング「QiQUMO」によるアンケート調査

<文/木村ひかる>

【木村ひかる】

湘南在住の編集者/ライター。4人の子どもを出産後、独学でライターに転身。多数のメディアにコラムを寄稿している。「自分が読みたい記事」を書くのがモットー。

Twitter:@hikaru___kimura、Instagram:@hikaru.writer

2024/8/3 8:46

この記事のみんなのコメント

3
  • TOMO

    8/3 16:10

    いまの世の中、衣類のデザインにまでごちゃごちゃ言う奴が居るんかぁ?あくまでもデザインやん!それにいまの父親はわりと子煩悩な人多いと思うけど。わりと子供の面倒見てる人多いと思うけど。しかしこんな衣類のデザインにまで文句つける奴が居るなんて、だったら毎年公表されてるサラリーマン川柳はどうなん?世間の奴らは誰かを叩きたいだけやん!だったらのぼせ上がってる政治家を皆で叩きあげてるほうが、よっぽどエエと思う

  • 昔のダンスにゴンのCMどうなるの亭主元気で留守が良い(笑)要は旦那はただの手数料いらないATM扱いだったよね。その当時のCM見てると。

  • いち(

    8/3 13:17

    子どもの声じゃなくて嫁が言いそうなこと。女数人集まって、旦那ネタでよく出てくる会話やん。 旦那デスノートとか知らんの?

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