むしろ膨らんでしまった山形幻想【家そば放浪記】第247束:MIURAYA(三浦屋)で買った、松田製麺所『山形昔そば』378円(1人前126円)

もう250近く干し蕎麦に触れてくると、食べる前の時点で「オーラ」的なものを感じる能力が備わってくる。

ドラゴンボール的に言えば「気」みたいなやつで、タネを明かせば「パッケージ力(りょく)」になると思う。

今回の『山形昔そば』のような「筒みたいになってるやつ」は、パケ力(りょく)的にメチャメチャ強者。

もしも干し蕎麦が一昔前のヤンキーだとしたら、長ラン+パンチ+まゆなし+ボンタン+鉄ゲタくらいフル装備な迫力がある。

こういうお蕎麦、他にもあったな……と思い返してみると、まずパッと思い出すのは、殿堂入りも果たしている庄司製麺『山形板そば』だ。

続いては裏殿堂の館林うどん『茂林寺そば』。

あとは文句なしの外「松」にランクインしている、ディーンアンドデルーカで購入した信州戸隠そば株式会社『信州本十割そば』。

同じく松にランクインしている庄司製麺『出羽かおり』もまた、「筒みたいになってるやつ」なのである。

他にもあるかもしないが、私が思い出す「筒系」は以上4つ。殿堂、裏殿堂、松×2と、完全なる猛打賞。

今回も「筒系」は火を吹くのか──?

デカい鍋に湯を沸かし……

10分(!!!!)ゆでて……

ハイ完成!

して、そのお味は──

ええっ? となった。予想以上に、柔らかくて、水っぽいのだ。

凄まじきギャップ。

あの無骨な筒形のパッケージで、「山形昔そば」というゴツめのネーミング。

グワッとして、ちょっとカタめで、ゴワゴワしてて、蕎麦の味もスゴくて……ってなのを勝手にイメージして相手の手を引き寄せたら、まさかの「柔らかくて、水っぽい」だった……みたいな。

これを「黒い水着のプロレスラー」にたとえるならば。

まあ、そこまで派手な技も使わない、体もカタめな、タイガージェットシンみたいなクセの強い選手だろう……と思ったら、やたらと軟体な女子プロレスラー豊田真奈美(飛翔天女)だった……くらいのギャップがあった。

太めで平たい麺の食感はそこそこ良きなのだけれど、いまいち味の方では「田舎感」が感じにくく……。

当然、「家そば」と「外そば」のジャッジでも、ものすごく迷うことになってしまった。

外なような気もするけど、意外とこれは家なのかも……と。とはいえ、蕎麦レベルの高い「山形県においての家」なのかもしれない……とも。

山形の家では、このレベルの蕎麦が出てきてもおかしくない……と、勝手に膨らむ山形幻想。山形県に行ったことはないが、そんな気がした。

執筆:干し蕎麦評論家・GO羽鳥

Photo:RocketNews24

2024/7/25 18:00

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