2拠点生活先の山梨県小菅村で地域のイベントに参加、人とのつながりに向き合える

【多拠点生活って実際どう?・2】山梨県小菅村と東京の二拠点生活をしていると、楽しみなのが小菅村でのイベントです。今年は長作観音堂の御開帳と多摩源流まつり、そして移住者さんが開催する地元ツアーに参加しました。

●長作観音堂の御開帳

 長作観音堂は、鎌倉時代に建立された寄棟造りの小さなお堂で、国の重要文化財に指定されています。村の歴史とともに歩んできた古刹であり、村人たちの信仰の対象であり、地域の文化財として大切にされています。毎年5月3日には縁日が開かれ、歌謡ショーや重要文化財の厨子が御開帳されます。

 この日は、歴史ある観音堂の内部を見ることができる特別な日でした。観音堂に安置された仏像や宝物を間近で拝観しました。観音堂の静かな佇まいと、そこに漂う厳かな空気に触れ、地域の伝統と文化の深さを感じることができました。普通であれば縁日に参加するだけですが、村に2拠点生活をしているハーフ村民としてはその準備にも関われます。この立派な鳥居も地元の先輩たちと一緒に立てました。お堂の中は厳かで写真を控えて、観音様と向き合いました。

 翌日には、長作の行事の片付けを手伝いました。今までも地域の清掃活動や行事には参加していますが、地域の方々と一緒に作業することで、地域のイベントが地元の多くの人々の協力で成り立っていることを実感しました。また関わることで顔なじみが少しずつ増え、受け入れていただけることがうれしく感じます。

●第33回多摩源流まつり

 続いて参加したのは、「第33回多摩源流まつり」です。このお祭りは、小菅村が誇る自然の豊かさを祝うために毎年開催されるイベントで、歴史が30年以上に及びます。多摩川の源流域に位置する小菅村は、水と緑に恵まれた環境で知られていますが、この祭りはその自然の恵みを地域内外の人々と分かち合う場として定着しています。2019年に開催以来、毎年見送りとなっていましたが、5年ぶりに開催となりました。

 祭りの会場には数え切れないほどの出店が立ち並び、多くの人々で賑わっていました。地元の特産品や手作りの品々が販売され、どれも魅力的でした。ステージでは地元の伝統芸能や音楽パフォーマンスが披露され、終始賑やかな雰囲気が漂っていました。隣接する川では、フィッシングを楽しむこともでき、多くの来場者で賑わっていました。

 祭りの夜には、花火が打ち上げられました。山あい特有の地形からくる反響音とともに、美しい花火を至近距離で楽しむことができました。これは初めての体験で、夜空に咲く大輪の花火とその響きが忘れられない思い出となりました。

●地元ツアー

 最終日には、地元の移住者さんが案内する地域ツアーに参加しました。このツアーでは、「地域事業のリアル」と題して、地域の神社や独特の地形を感じる畑、地ビールの醸造所、ドローンを使った撮影スポット、Nipponiaという宿泊施設、そして地域での起業事例などを見学しました。

 まず訪れたのは、地域の神社です。この神社は小菅村の歴史と密接に関わっており、地元の人々にとって大切な信仰の場です。神社の静けさと、その周囲の豊かな自然が調和し、訪れる人々に癒しを与えています。

 次に訪れたのは、地形を感じる畑です。山あいの村なので平地が大変少なく、この畑では、地元の農家が工夫を凝らしながら作物を育てています。地元の農産物は、その新鮮さと品質の高さで知られており、道の駅のレストランでは、地元の農産物を使った料理も堪能することができます。

 実は小菅村には、さまざまな事業が生まれています。全国に展開する地ビールのFar Yeast Brewingとその醸造所があります。ここでは毎週地元の素材を使った新しい味のビールが醸造されており、地域の味を楽しむことができます。また僻地配送などにチャレンジするドローンのベンチャー「NEXT DELIVERY」が小菅村に本店を構えており、その基地を見学させてもらいました。

 さらに、NIPPONIAという宿泊施設も見学しました。NIPPONIAは、各地に点在している古民家を、その歴史性を尊重しながら客室や飲食店、または店舗としてリノベーションを行い、その土地の文化や歴史を実感できる複合宿泊施設として再生していく取り組みです。ここでは、古民家を改修して宿泊施設として利用されています。

 地域でのチャレンジが様々ある中で、成功事例、失敗事例も紹介され、人々が地域と取り組む様子を学びました。

 山梨県小菅村のイベントは自然の美しさと地域の温かさに包まれた素晴らしい空間でした。長作観音堂と多摩源流まつりを通じて、地域の歴史や文化に触れる貴重な経験をすることができました。

●充実感と温かさを実感

 山梨県小菅村では、都市での生活では味わえない地域の文化や自然に触れることで得られる充実感と、人々との交流の温かさを感じることができます。地域から学べることがたくさんあります。これからも小菅村や他の地域との関わりを深めながら、人とのつながりに向き合い、地域の魅力を少しでも発信していきたいと思います。(AnyWhere・斉藤晴久)

斉藤晴久

AnyWhere 代表取締役。Amazonの日本立ち上げ期に新規事業を担当し、その経験から「日本の場所の魅力を発信したい」と、仕事場のサブスクリプサービス「AnyWhereパス」を立ち上げる。日本や世界のコワーキングスペースについて詳しく、実際に海外にも視察に行っている。

2024/7/13 18:00

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます