彼は「海外=カネを払ってエロをする場所」と考えているかもしれない/中川淳一郎

海外旅行や出張に自分の恋人や夫が行った場合、ある程度の割合でエロいことをしているのではなかろうか。そうだ、とは言わないが、その可能性はあることを念頭に置いていただきたい。

別に風俗店や買春は浮気・不倫ではない、と考えているのであればそのような方は気にしなくていい。気になる方は、まず、彼が訪れる地をスマホの検索画面で入力してもらおう。「ねぇねぇ、蘇州って何があるの?」みたいに聞き、スマホをのぞき込む。ここで検索履歴に基づく予測変換が出てきて「風俗」や「買春」などが出てきたらまぁ、その気マンマンだろう。

男は基本的にどこの国でもスケベだが、日本の男は特に海外に行くとハメを外し、エロ三昧になることがある。今回はそうしたケースを僕の実体験から振り返る。なお、僕自身は「いちいちエロ行為にカネなんて払うものではない」と考えるのと、商売による「心」の入らないエロはあまり感心しない。よって、その手の店に行かないのである。

お風呂のスペシャルサービスとは

まずは中国の話だ。2005年、とある大都市へ仕事で行ったのだが、アテンドしてくれた会社の女性社員は我々4人の若い男を半ば接待してくれた。日中は仕事でずっと一緒で、夜も宴会を開催。そして、「今から温泉というか、スーパー銭湯みたいなところへ行きますか?」と言う。

「私はずっとお風呂とかサウナに入っていますが、皆さんはマッサージに行ったらどうですか?」

そう言い、ニヤリと笑った。

「どんなマッサージなんですか?」と我々のうちの一人が聞いた。

まぁ、『スペシャルサービス』と呼んでいますが、そういうことです。私は皆さんが終わるまで待っていますので、どうぞお気になさらないでください。これまで皆さん、そのサービス受けてましたね~」

我々はこの時グッと心は動いたものの、この中の一人がけっこうな著名人だったのである。日本のメディアがマッサージ場を張っている可能性も拭えないわけだし、翌日も仕事があるため、ここでは「あ、我々は行かないんでいいです。風呂が終わったらホテルに戻りましょう」ということになった。

一発一万円を提案されて…

かくして風呂終了後は米系の高級ホテルに戻ったのだが、エレベーターを降りたら派手な化粧と恰好の女性2人が廊下にいて、我々に声をかけてきた。

「オニイサン、イッパツドウ?」

なんという直接的な誘い方だろうか! この頃、東京・渋谷でも街娼の中国人女性が「マッサージ、イカガデスカ? スペシャルサービスアルヨ」とやっていたが、まさに同じような展開である。

我々は再び若干心が揺れたものの、前述の通りその著名人がいるため、何としても彼を守らなくてはならないと考え「NO! NO!」と返答。

「イッパツイチマンエン。デンワスルカラモウ2人ヨベルヨ」

こう畳みかけてくるが、ここにも日本人の記者が張り込んでいる可能性はあるし、正直疲れていたので断った。

まぁ、これら判断は正しかったわけだが、果たして一万円とはどれだけの価値があったのか。滞在時間は45分としよう。社会労働保障省によると、この年(2005年)中国都市部での平均年収は1万8364元だったという。1元は約13円だったため、年収23万8732円である。月収は2万円だ。

そう考えるとこの女性たちは破格の報酬を得ていたわけで、そりゃあスケベな外国人男に執拗にサービス提供を提案するだろうな、と思うのだ。

彼が海外に行く際は対策を

さて、今の中国がどうなっているのかは分からないが、タイ・バンコクは相変わらずだった。元々「ゴーゴーバー」で女性を品定めし、外に連れ出し、自分のホテルでともに過ごす、というサービスはあった。さらには、街娼がいるエリアもある。今年バンコクで若い日本人男性と某歓楽街で飲んだが、「ちょっとニノミヤさん、僕、行ってきます!」と言い、彼は女性と交渉。

ここで手を振って別れたが、その数時間後「8000円で十分楽しめました!」という連絡が来た。このように、「海外=カネを払ってエロをする場所」といった認識の日本人男性は案外多いので、皆さんも対策は考えておいた方がいいかもしれない。

Text/中川淳一郎

2024/7/1 11:00

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