バズったと思った記事、実はバズっていなかった。そしてそこには「むなしいインターネット」があった

職業柄、エゴサは欠かさない。私個人に関するエゴサはもちろん、編集長として「ロケットニュース24」に関するエゴサもする。

嬉しくなる時もあるし、悲しくなる時もある。でも、それもまた私の仕事でもあるのでエゴサはする。

とある記事がバズっていた。ものすごい人数のX(Twitter)ユーザーが、その記事をポストしていた。

それも1つの記事だけではなく、2つ、3つの記事が同タイミングでバズっていた。

自分の記事ではなかったが、編集長として嬉しい限り。ところが……

ロケットニュースの裏側を覗いてみると、それらの記事に対し、アクセスが来ていない。数字的にも、ほぼゼロ。

めちゃくちゃ多くのユーザーが記事をポストしているのに、まったく “読まれている感” が無いのである。

何が起きているのか調べたところ、それらのポストの内容は「記事タイトル – ロケットニュース24」と書いてあるものの、肝心のURLが短縮URLだった。

なぜ短縮……と思いながら飛んでみると、

広告だらけのページだった。ページの99%が広告といっても過言ではない。

ただ、「【記事を読む】」という文言を押すと……

我々ロケットニュースの記事ページに飛ぶ。

なので記事をパクっているわけではなく、あくまでもランディングページ(リンクページ?)に過ぎないのだが、一体なぜ、こんなクソみたいなサイトを多くの人たちがポストしているのか気になった。

──すると!!!

すべてのユーザーが、なぜか「2024年6月から」の利用者で、揃いも揃って「フォロー0 フォロワー0」だったのである。

彼らがつぶやくのは、決まって「記事タイトル – 媒体名」であり、そのすぐ下にリンク先に飛べるボックスみたいなのが表示されるのだが、どれもこれも飛び先は「先述の広告だらけのサイト」だった。

つまりこういうことだ。

この「広告だらけのサイト」の主は、無数の「X(Twitter)アカウント」を使って、「該当記事へのリンクが表示されているだけの、広告だらけのクソページ」に誘導しているのである。

たとえば、とあるユーザーが記事タイトルに入っている文言でX検索 → 記事タイトルのポストがヒット → 短縮URLでクソページに飛ぶ → ほんのわずかな広告収入を得ている……というわけ。

普通に検索すればすんなり目的地に行けるところを、無数の「客引き」を配置したうえで、勝手に「関所」みたいなものを作り、ほんのわずかな「通行料」をとっている……みたいなイメージだ。

なんて悲しい金の稼ぎ方なのだろう。完全に世の中に不要な存在。こういう輩がいるから、インターネットがどんどん使いにくく、かつ、つまらないものになっていくのである。

いずれにしても、私がバズったと思っていた記事、実はバズっていなかった。

そこには「むなしいインターネット」があった。

執筆:迷惑メール評論家・GO羽鳥

Photo:RocketNews24.

こちらもどうぞ → 『GO羽鳥の【実録】迷惑メールシリーズ』

2024/6/24 12:00

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