新NISA「成長投資枠」で買われている人気銘柄の特徴とは?

◆成長投資枠で何を買う?

 新NISAが始まって約半年がたち、この間、日経平均株価はバブル後最高値を更新した。しかし、その後は調整局面を迎えている。米国株も同様の値動きをしている。

 世界経済の長期的な成長に投資することを基本戦略とするNISAでは、大勝ちよりも平均的なリターンを取っていくことになる。たしかに長期で米国株や全世界に投資すれば、負けにくいことは過去のデータからも明らかになっている。しかしそれでは、残念ながらよくも悪くも“平均的なリターン”しか期待できないのも事実だ。

 投資経験がある人や、資金に余裕がある人はNISAにおいて「つみたて投資枠」だけでなく、「成長投資枠」を使って、個別株投資にもチャレンジするといいだろう。成長投資枠の使い方次第では、パフォーマンスは大きく変わってくる。

 では、NISA口座ではどんな日本株が買われているのだろうか。『1時間でマスター!マンガと図解でわかる 新NISAの教科書』などの著書を持ち、マネックス証券、マネックス・ユニバーシティ室長で、日本テクニカルアナリスト協会国際認定テクニカルアナリストの福島理さんに、成長投資枠で買われている個別株を分析してもらった。

◆配当利回り3%以上の「高配当銘柄」が人気

 NISAの個別株で買われている銘柄にはどんな傾向があるのか? 福島さんは一つの目特徴として「高配当銘柄が買われやすい」と話す。

「全体的に見て、配当利回りが3%以上ある高配当銘柄が多くランクインしている傾向です。NISAでは中長期投資が前提となるため、中長期で保有し続けたい高配当株が人気となるのも納得でしょう。

 1位の日本電信電話(NTT)も2位の三菱UFJフィナンシャル・グループも配当利回りが3%近くあり、3位の日本たばこ産業(JT)は配当利回りが5%近い高配当株で人気の銘柄です。

 また、高配当株のなかでも、6位のKDDIは21期連続増配、8位の三菱HCキャピタルは25期連続と、高配当かつ長期連続増配で知られる人気銘柄。高配当・長期連続増配銘柄は長期保有に適していて、NISAでもよく買われています」

◆「値上がり益」を狙った個別株投資

 続いて二つ目の特徴が「値上がり益狙い」だ。

「例えば4位の三菱商事や7位のトヨタ自動車は大型株で年初からよく上昇していましたし、配当利回りも2%以上あり、人気なのも納得です。

 16位のENEOSホールディングスも配当利回りが約3%と高いだけでなく、脱炭素などのテーマもあり成長期待は高い。近年上昇トレンドが続いていて、長期で保有したい銘柄です。

 23位のあおぞら銀行は大幅な赤字を発表し、大暴落しました。大きく下がったらからこそ、そこからの反発・値上がり狙いの買いも入ったのだと考えられます」

 長期の積立だけでなく、新NISAの成長投資枠では臨機応変な売買にも向いている。値上がり益を狙った個別株もよく買われていることがデータからもわかる。

◆NISAでも株主優待はもらえる

 そして三つ目の特徴として福島さんが注目するのが、「株主優待狙い」だ。NISAで買った銘柄も、当然株主優待がもらえる。

「18位のイオンモール、19位のイオン、28位のオリエンタルランドなどは株主優待狙いだと思われます。国内上場企業の約4割、1500社ほどが株主優待を実施しています。人気の株主優待を提供する企業は、株価も底堅く、長期で保有するのに向いています。まさにNISA向きな銘柄と言えます」

 新NISAでは積立投資を中心にしながら、成長投資枠をうまく使って高配当や値上がり益、株主優待が期待される銘柄に投資をし、市場平均以上のパフォーマンスを目指してみるのもいいだろう。

<取材・文/日刊SPA!取材班>

【福島 理】

(ふくしま・ただし)マネックス証券、マネックス・ユニバーシティ室長。日本テクニカルアナリスト協会国際認定テクニカルアナリスト。金融リテラシー向上のための教育活動に従事。テレビ、ラジオのほか、雑誌やWebでコラムを執筆。著書に『1時間でマスター!マンガと図解でわかる 新NISAの教科書』(扶桑社)、『勝ってる投資家はみんな知っている チャート分析』シリーズ(扶桑社)がある。

2024/6/15 8:51

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