3歳マイル王者の父パレスマリス 血統から見える日本の芝への適性の高さ

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るNHKマイルC

【Pick Up】ジャンタルマンタル:1着

 父パレスマリスは、アメリカにおける8年間の供用で、BCジュベナイルターフ(米G1・芝8ハロン)を勝ったストラクター(レックススタッドで供用中)など4頭の北米重賞勝ち馬を出しました。しかし、全体的には低調な成績で、最終年の2023年の種付け料は7,500ドル(当時の為替レートで約100万円)。供用初年度が20,000ドルだったので、その半額以下まで落ち込んでいました。

 一方、日本ではわずか8頭の外国産馬・持込馬から5頭が勝ち上がり、うち2頭が重賞を勝っています。この驚異的なアベレージを偶然であると疑うことも可能ですが、日本の芝に適性があることは、アメリカにおける代表産駒が芝馬であることを考えても、まず間違いないところでしょう。

 現役時代はベルモントS(米G1・ダ12ハロン)、メトロポリタンH(米G1・ダ8ハロン)を制覇。その半弟にわが国で重賞を勝ったジャスティンパレス(天皇賞(春))とアイアンバローズ(ステイヤーズS)がいます。父の資質のなかに日本の芝への潜在的な適性が見て取れます。

 今年から日高町のダーレー・ジャパン スタリオンコンプレックスに移籍しました。昨年暮れにジャンタルマンタルが朝日杯FSを、今年1月にノーブルロジャーがシンザン記念を勝った効果で人気を博し、種付けを希望してもなかなか叶わないという状況です。おそらく繁殖牝馬の質も高いので、3年後にデビューする産駒はハイレベルでしょう。

 母インディアマントゥアナはレッドカーペットH(米G3・芝11ハロン)の勝ち馬。息子のジャンタルマンタルはその資質を受け継いで芝向きとなりました。朝日杯FSとNHKマイルCを双方制した馬は、グランプリボス(2011年)、アドマイヤマーズ(2019年)に次いで3頭目。操作性が高く、精神的な強さがあり、フィジカル面も抜群。この先いくつタイトルを上積みできるか楽しみです。

◆血統で振り返る京都新聞杯

【Pick Up】ジューンテイク:1着

「キズナ×シンボリクリスエス」は、ソングライン(安田記念2回、ヴィクトリアマイル)、アカイイト(エリザベス女王杯)といった活躍馬が出ており、これで3頭目の重賞勝ち馬となります。連対率27.5%、1走あたりの賞金額717万円は、キズナ産駒全体の19.5%、221万円を大きく上回ります。ニックスといえるでしょう。

 本馬は母の父がシンボリクリスエスで、なおかつサンデーのクロスを持つキズナ産駒なので、ソングラインと配合構成が似ています。

 3代母ツィンクルブライドは桜花賞2着馬。2代母ツィンクルヴェールはペールギュント(デイリー杯2歳S、シンザン記念)の全姉で、その孫(つまり本馬のいとこ)に南関東牝馬二冠を制したトーセンガーネット(浦和桜花賞、東京プリンセス賞)がいます。

 キズナ産駒の京都新聞杯勝ち馬、なおかつサンデー3×3といえば、アスクワイルドモアを思い出します。同馬は続く日本ダービーで12着と敗れました。本馬の「母の父シンボリクリスエス」は、レイデオロ、アドミラブル、オーソリティ、スキルヴィングなど、東京芝2400mの重賞で実績を残しています。適性面は申し分ないでしょう。

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2024/5/6 20:00

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