【奈良】安倍文殊院の文殊菩薩像が凄まじい → これ固定されてないってマジか… / 獅子に乗った姿の文殊菩薩が、工事でしばらく見納めになるぞ!!

安倍氏と言えば安倍晴明と、彼を祀る晴明神社の認知度がぶっちぎっている。おそらく夢枕獏氏が「陰陽師」で巻き起こした大ブームと、影響を受けたと思しき作品群によるものだろう。

しかし安倍氏は晴明の出てくるだいぶ前から有力な氏族。その本拠地と言っても過言ではないのが、奈良にある安倍文殊院だ。

京都の晴明神社に行ったことはあったが、こちらはスルーしていた。今回初めて行ってみたところ……凄まじい迫力の本尊や、石の加工が恐ろしく精巧な古墳など、見応えが半端ねぇ!!

・四寺巡礼

私が初めて安倍文殊院に行くきっかけを与えてくれたのは、春からスタートしたJR東海「いざいざ奈良」大和四寺編のプレスツアー。

大和四寺とは、長谷寺、室生寺、岡寺、そして安倍文殊院のこと。実はこの四寺は「奈良大和四寺巡礼の会」を組織し、四寺巡礼を精力的に推進している。

四寺をめぐる定期観光バスの運行や、4つの寺の霊木で作ったという強すぎる念珠が貰えるスタンプラリーなど、興味深い施策も複数実施中だ。詳しくは四寺巡礼の公式HPをご覧いただきたい。

また、驚くべきことに巡礼者には無料で巡礼衣を授与したりしているもよう。各寺を巡礼して御朱印を集めるとよいだろう。

ちなみに「いざいざ奈良」では数量限定でやたら気合の入った御朱印帳を作って販売中だ。サンプルで緑のバージョンを頂いた。光沢のある糸を用い、鈴木亮平さんの作画によるシカの精巧で立体感ある刺繍が施されている。2500円で元が取れるのか心配になる品質の良さ。

・安倍文殊院

ということで安倍文殊院に到着。表山門の目の前にバス停があり、アクセスの良さは圧倒的だ。

境内のマップはこんな感じ。こうして絵で見るとそうでもなさそうな雰囲気がするが

実際はだいぶ広い。表山門から本堂まで、まあまあ距離がある。

こちらが本堂。

さて、安倍文殊院で祀られているのは文殊菩薩である。智慧をつかさどるとされる仏で、そこから知恵に関連付けられ、「三人寄れば文殊の知恵」という諺(ことわざ)にもなったもよう。

安倍文殊院の文殊菩薩像は、鎌倉時代のレジェンド仏師 快慶によるもの。4体の脇侍と共に国宝に指定されている。これが凄まじい!

巨大かつ精巧かつ、超絶技巧で生々しい造形。有難いことに様々な角度から見せて頂き感動していたところ、その感動を吹き飛ばすヤバい情報が僧侶の方より伝えられた。

信じがたいことに、文殊菩薩は獅子に固定されていないという。マジでただ上に乗せただけな構造らしい。

獅子と光背を含めて約7メートルの巨大なものである。快慶さんはこれを作りながら、文殊菩薩を固定する必要は無いと考えたのだろうか。現代の感性だと、安全面でだいぶ攻めたロックな仕様

とはいえ実績の凄まじさから、あんたほどの仏師のやることなら……とならざるを得ず、実際に鎌倉時代から今日まで落下しなかったわけで、きっと工作精度が凄まじいのだろう。

ただし、地震で落下する恐れは否定できないということで、今年の6月から免震装置を設置する工事が予定されている

期間中は従来のように参拝できるとは限らず、獅子に乗った姿はしばらく見納めになるそうだ。「いざいざ奈良」では奥内陣を貸切にして参拝できるプランを販売中。

この5体の迫力は心底凄まじい。例えばその辺を歩いていて、この一団が向こうからやってきたら、もう本能レベルで平伏するしかないだろうというクオリティ。ぜひ本物を生で見て頂きたい。

・古墳

本堂のそばの文殊院西古墳も見逃せない。ちなみに境内の奥には東古墳もある。

中に入ることができて、奥には願かけ不動尊がいる。言い伝えによると、弘法大師の作だそう。

横穴式石室で、見ての通り見事な工作技術で石を加工して積み上げた、堅牢極まるものだ。7世紀に作られたもので、発掘調査はされていない。安倍文殊院を開基した安倍倉梯麻呂の墓ではないかと伝えられているそうだ。

ということで、安倍文珠院。圧倒的な見応えに満ちた寺だった。境内には他にも晴明が天文観測をしたと伝わる天文台跡や、池の中にある金閣浮御堂 霊宝館など、見どころが沢山あるぞ! ぜひ参拝してみてくれ!!

参考リンク:安倍文珠院、いざいざ奈良、奈良大和 四寺巡礼

執筆・撮影:江川資具

Photo:安倍文殊院、JR東海

2024/4/30 11:00

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