史上最悪レベルのポテト屋さんに娘を連れ行ってしまった時のブルーな話 / カンバ通信:第368回

ジャンボ。今回もまた、ケニアはナイロビにあるポテト屋さんをポテロール(ポテト屋さんをパトロールすること)してきたよ。

行ってみたのは南バイパス沿いにある「UTAFOOD cafe」って店なのだが、結果的に連載史上最悪レベルな店だった。

まずこのレストランは非常に小さく、人々は店内に座ることができない。よって、座ってポテトを楽しめるのは外の席だけだ。

さらに店内を覗くと真っ暗。この時、私は嫌な予感がしていた。「もしや、電気が来ていないのでは?」と。あるいは停電中。

ポテト屋さんにおいて電気が来ていないというのは致命的。理由は2つある。

まずは、電気の力で油を温める系のフライヤーを使っている場合は、ポテト自体が揚がらない。

もうひとつは、揚げたポテトを保管しておくホットケースに電気が来ていなかったら単なる箱。つまりポテトが冷めてしまう。

ということで、さっそく店員さんに「暗いけど、電気の具合はどうなんだい?」と聞いてみた。

すると……

店員「たしかに今は電気が来ていない。でも、ポテトを揚げ終えた時、ポテトは熱々だった

──答えになっていない。「ポテトを揚げ終えた時、ポテトは熱々だった」って、当たり前じゃないか。

店側の理論はメチャクチャだけど、娘が「はやくポテト食べたい」と言うので1皿注文。100kes(約115円)だった。

外に座って待っていると、そこには小さな猫がいた。

さらに、

大きな猫もいた。

娘は「これはお母さん猫だ! あの小さな猫のお母さんだ」と言いながら、とても猫に対して怖がっていた。

──やがてポテトがやってきた。

電気が来ていないのに、なぜこんなに時間がかかったのか謎だけど、とにかくポテトがやってきた。

てことは、もしかしてガスで油を温める系の熱々ポテト……

──と思いきや!

キンッキンに冷たかった。

私はその瞬間、食べる気を失くした。たった1本で気持ちをブルーにさせるとは、なんとも恐ろしいポテトである。

一方、腹を空かせた娘は食べる気マンマンだった。しかし1本食べると「冷たい」と言い、機嫌を損ねたかと思いきや……

「ポテトが冷たいから、トマトケチャップを入れてみようよ。なぜなら、トマトケチャップは瓶の中が綺麗だったから

と、「なぜなら」以下の理由が意味不明なことはともかく、打開策を提案してきたのだ。

私はその時、少し反省した。大人のくせに、たった1本でギブアップ。それに対し幼い娘は、小さな望みを捨てていなかったから。

そしてトマトケチャップをしこたまかけて、

娘は「イケるやろ」的な表情で冷たいポテトを口に運んだのだが、

すぐに「ダメだ……」と、うなだれていた。

ただ、こうも言っていた。

「ポテトは美味しくない。でも、トマトケチャップだけは美味しいかもしれない」。

たしかに娘の言う通り、そのトマトケチャップは美味かった。

そんな美味しいトマトケチャップのパワーを借りるように、我々はなんとか冷えたポテトを完食した。

我々は、一体全体、この店に何を食べに来たのだろう……。

食後、娘は「この店は、もうやだ」と言っていた。私も、もうやだ。二度と来ることはないだろう。

ちなみに帰宅中、娘は「お腹の調子が悪い」と訴え始めた。私は大丈夫だったが、娘は見事に腹を下した。

あわてて薬局に駆け込み、胃腸薬を買って娘に飲ませると、わりとすぐに「もう大丈夫」と復活した。

その後、家に帰るまで、ずっと娘は無言だった。

人間というのは正直なもので、うまいポテトを食べるとハイになるが、うまくないポテトを食べるとブルーになる。

ただ、うまいポテトは、だいたい高い。

うまくて安くて安全なポテト。それを探すのが私のライフワークでもある。クワヘリ。

執筆:チャオス(カンバ族)

超訳:GO羽鳥

Photo:RocketNews24.

2024/4/27 20:00

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