アドマイヤベルが樫行き切符を獲得 血統に秘められた注目の配合パターンとは

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返るフローラS

【Pick Up】アドマイヤベル:1着

 スワーヴリチャード産駒の重賞勝ち馬は4頭目。3歳世代限定の種牡馬ランキングは、血統登録頭数がわずか82頭しかいないにもかかわらず、第3位につけています。2歳は64頭、1歳は55頭とさらに減って行きますが、今年の種付けで誕生した仔は、頭数も繁殖牝馬の質もこれまでとまったく違うので、相当な活躍が見込めます。

 母ベルアリュールIIは名繁殖牝馬で、すでにアドマイヤリード(ヴィクトリアマイル)、ベルクレスタ(アルテミスS-3着)を産んでいます。母の父ニューメラスは本邦輸入種牡馬ジェイドロバリーの全弟。

 2代母マーレオフェは、母方にリヴァーマンを持つケンマーレ産駒なので、仏チャンピオンサイアーのハイエストオナー(ケンマーレ×リヴァーマン)と配合構成が似ています。ハイエストオナーは瞬発力を伝える血ですが、構成がよく似たマーレオフェも、おそらく似たような特長を秘めているでしょう。アドマイヤベルとその姉妹がいずれも優れた脚を使うのは、母方に入るマーレオフェの影響も少なくないはずです。

 ちなみに、母方にハイエストオナーを持つスワーヴリチャード産駒は、2頭出走していずれも勝ち上がっています。アドマイヤベルはリヴァーマン5×5ですが、このクロスを持つスワーヴリチャード産駒は出走7頭中5頭が勝ち上がり、うち3頭が2勝以上を挙げています。注目したい配合パターンです。

 次走、2400mのオークスはベストディスタンスとはいえませんが、同世代の牝馬が相手なら割り引く必要はないと思います。

◆血統で振り返るマイラーズC

【Pick Up】ソウルラッシュ:1着

 重賞3勝目。昨年秋にマイルチャンピオンシップで2着となっており、一昨年このレースを勝ったときよりも地力が強化されています。

 母エターナルブーケはヒラボクディープ(青葉賞)の4分の3妹で、現役時代は未勝利に終わったものの、繁殖牝馬として成功し、現5歳のディオ(父リオンディーズ)は現在オープンクラスに在籍中です。

 父ルーラーシップは産駒の芝平均勝ち距離が1800mを超えており、基本的にスタミナが豊富なタイプですが、このところマイル戦での活躍が目立ち、4月に入ってからこれでマスクトディーヴァ(阪神牝馬S)、ディスペランツァ(アーリントンC)、そして本馬と、3つめのマイル重賞制覇となりました。

 母の父マンハッタンカフェは、タスティエーラ、テーオーケインズ、メイショウハリオ、テーオーロイヤル、ペプチドナイル、セラフィックコール、ミスニューヨークなど、芝・ダートを問わず多くの活躍馬が出ており注目です。じわじわと成長して高齢でも頑張るものが目に付きます。

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2024/4/22 20:00

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