本人達に悪意がないからこそ、タチが悪い。

　４月22日の「めざましテレビ」（フジテレビ系）に明石家さんまがVTRで「乱入」。番組MCの井上清華アナを「ぼーっとしている」「番組をナメてる」と叱咤激励したのだが、この乱入に週明け月曜朝のお茶の間は凍りついた。フジテレビ関係者が怒りをあらわにする。

「タイミングが最悪でした。さんまさんからすれば、自分の帯番組で共演する井上アナへの愛ある叱咤激励のつもりなのでしょうが、週末に放送されたさんまさんの特番が大炎上していたんです。特番でイジられた井上アナをめぐって『井上アナを酷使しすぎ』『アナウンス室の西山喜久恵局次長が笑っているのは無責任。部下を守ってない』『さんまの老害化がキツい』と酷評が相次いだ。その上、週明けまで引きずって井上アナをイジるのは、シャレになりません」

　問題の特番は４月20日の「FNS明石家さんまの推しアナGP」。番組中、西山局次長は、

「フジテレビの朝の顔『めざましテレビ』を月曜から金曜まで担当して、週末はさんまさんと『ホンマでっか!?TV』（のMC）」「大変だと思います。土曜日にさんまさんと一緒、というのは負担だと思うんですよ」と井上アナを紹介した。

　これに井上アナはうなずき、共演者の平成ノブシコブシ・吉村崇も「普通の医者だったら止めるよ」と突っ込んだ。井上アナもさんま相手のMCは、

「本当に難しすぎて。終わった時に疲れ果てて、家帰るとしゃっくりとか出る」

　体に異常をきたすと明かしたのである。出演者一同が笑ってコーナーは終わったが、ネットは大炎上した。

　というのも「めざましテレビ」にレギュラー出演していた渡邊渚アナが箸を持つこと、歩くこともままならない大病を煩い、昨年７月から休職中。さらに井上アナも４月10日、11日と２日連続で「めざましテレビ」を休んだ。体調が懸念されていた矢先の「井上アナいじり」だったからだ。

　前出のフジテレビ関係者がため息をつく。

「井上アナを心配していた視聴者、SNSに『死を覚悟した』と書き込んだ渡邊アナの闘病を知るネットユーザーからすると、さんまや吉村、さらに部下の労働環境を守るべき西山局次長が井上アナの過酷な勤務状態をネタにして笑うのは、地上波での『公開パワハラ』でしかない。渡邊アナがあのようなことになっても、西山局次長にはまだ笑いごとなのだと失望しました。フジテレビ幹部はまだ大物芸能人との馴れ合い体質、ネット世論無視の傲慢さから抜けきれていない」

　実は月曜朝はセンシティブな放映時間帯で、電車に飛び込む人身事故が最も多い曜日なのだ。子供が電車に飛び込む人身事故も多く、この日の朝も飛び込み自殺によって、JR中央線快速がラッシュ時間帯の運転を見合わせた。土曜の特番は見たくない人は見なければいいが、気分が下がりがちな月曜朝の番組にさんまがいきなりマシンガントークで乱入してくるのは、視聴者には「人災」の域だ。

　大物芸能人の顔色はうかがうが、時代の変化は読めないフジテレビ。これでは今年度の視聴率も、ジリ貧が続くことだろう。

（那須優子）