最新データ&OB証言で判明!大谷翔平vsレジェンド投手「もし戦わば!」【画像】ついに初対決!VSダルビッシュ有「全球シミュレーション」

 米国でも敵なし、天下無双の二刀流だが、過去の大投手を打ち崩せるか。胸躍る「もし…」をデータで検証!

 きたる3月20日に韓国で行われる大リーグ開幕戦、パドレスVSドジャースは、わずか8分で完売。全世界が注目する大谷翔平(29)の2024年シーズンが、いよいよ始まる。

 そこで今回は、野球ファン垂涎のドリーム企画を届けたい。

 打者専念で三冠王の期待も膨らむ“日本の至宝”大谷と、球史に残る歴代レジェンド投手たちとの“仮想対決”の行方は!

■史上唯一の“400勝投手”金田正一

 まずマウンドに上がるのは、史上唯一の“400勝投手”。19年に惜しまれつつもこの世を去った“カネやん”こと、金田正一。50年に高校3年で中退してプロの世界に飛び込むや、その翌年から、実に14年連続で20勝超え。今なお多くの日本記録に、その名を刻むレジェンド・オブ・レジェンドだ。

 野球におけるデータを統計学的見地から分析し、選手の評価や戦略を考える手法であるセイバーメトリクス。それを駆使するアナリストのジャパンベースボールデータ社・大南淳氏の見解は、こうだ。

「大前提として、初見であれば、投手のほうが圧倒的に立場は有利。対大谷で考えるなら、左投手のほうが優位に戦えるでしょう。なにしろ大谷は、対右投手にはめっぽう強い。昨季の本塁打44本中、33本は右投手からで、出塁率と長打率を合算した数値のOPSも、メジャーの平均である・734を大きく上回る1・132と、驚異的です」

 カネやんと言えば、「180キロは出ていた」と自ら豪語するほどの剛球左腕。一方で、変化球はカーブのみと、極端に球種の少ない投手でもあった。

「金田さんは、その2球種を、状況に応じてオーバーハンド、スリークォーター、サイドハンドと投げ分けた。これらに緩急を加えて、自在に操れたんです。自称の“180キロ”は大げさとしても、スポーツ科学が専門の中京大・湯浅景元名誉教授の研究によれば、その推定球速は154・3キロと、現代でも十分通用する球速でした」(スポーツジャーナリスト)

 となると、全盛期のカネやんなら、現役最強の大谷にさえ勝てるのか。前出の大南氏はこう言う。

「ポイントとなるのは、変化球。昨季の球種別長打率を見ても、対右投手の速球には8割2分6厘と“無双”している一方、左投手の“曲がる系”の変化球は5割、“落ちる系”は4割5分5厘と、やや分が悪い。金田さんのカーブが、どの程度の変化量だったかは分かりませんが、仮にクレイトン・カーショウ(35)のような、大きく縦に割れるボールであれば、勝機はあるかもしれません」

■江川卓の“ホップする”ストレート

 そんなカネやんと同じく、ストレートとカーブを武器に三振の山を築いた豪腕レジェンドといえば、江夏豊と江川卓が左右の双璧。とりわけ、江川が武器としていた初速と終速の差が少ない、いわゆる“ホップする”ストレートは歴代最高との誉れも高いが……。

「近年、大リーグの主流である高め中心の配球には、確かにホップ系のストレートは有効です」(前同)

だが、大谷は右投手の速球が得意で、「江川さんのようなタイプは、おそらく大谷の最も得意とするところでしょう。可能性があるとするなら、カーブを外からアウトローいっぱいに決めて、見逃しを狙うぐらい。振られたら、まず厳しいのではないでしょうか」(同)

■驚異的奪三振率を誇った怪腕、江夏豊

 一方、そう語る大南氏がデータ的な観点から「最も大谷に勝てる可能性が高い」と見るのが、左の江夏。実際、同じカーブでも左投手のそれは、左打者である大谷には対応するのが難しい、対角線へと逃げていくような弧を描くからだ。

「打席に占める奪三振の割合『K%』は、現代に近づくにつれて高くなるんですが、そんな中で異彩を放つのが江夏さん。100イニング以上の投手に限ってみても、68年シーズンの31・9%は、22年のロッテ・佐々木朗希(22)の35・3%に次ぐ歴代2位。これは渡米前の大谷や、ダルビッシュ有(37/現パドレス)、千賀滉大(31/現メッツ)らをもしのぐ、圧倒的数字です」(同)

●日本記録の歴代最多

 ちなみに、その江夏が、今なお日本記録の歴代最多401奪三振をマークしたのが、前述の68年シーズン。稲尾和久の持つ従来記録を更新した同年9月17日の巨人戦、354個目の三振を、大谷と同じ左の王貞治から狙って取ったエピソードは、今も語り草だ。

「江夏さん自身は前の打席で王さんから奪ったタイ記録の353個目を記録更新と勘違い。そこから打者が一巡するまで意図的に凡打で打ち取り、再度、王さんから三振を奪う離れ業を成し遂げた。対する王さんも、“豊のカーブは分かっていても打てない。曲がらないから”なる独特の表現で、そのすごさを称えたそうです」(前出のジャーナリスト)

■“ミスター完投”斎藤雅樹

 時代は下って、80~90年代のセ・リーグ。この時代を代表するレジェンドとしては、“ミスター完投”斎藤雅樹や“精密機械”北別府学の名が挙がる。ヤクルトで活躍し、彼らとの対戦経験も数多い秦真司氏は、こう言う。

「横の変化を主体とする右投手は、初見ならともかく、対戦を重ねていけば、大谷であれば早い段階で攻略するでしょう。縦の変化は途中までは真っすぐに見えますし、一度、バットのヘッドが返ってしまうと下半身の我慢はもう利かない。対して横の変化は、体勢が崩れたとしても、肘を曲げるなりすれば当てることはできますから、その違いは大きいと思います」

 斎藤は、今も日本記録として残る11試合連続完投勝利をマークした89年を皮切りに、最多勝に輝くこと歴代最多の計5回。

■“精密機械”北別府学

 一方の北別府も、通算213勝のうち、先発だけで200勝。2度の沢村賞にも輝き、黄金期・広島の大エースとして君臨した。前出の秦氏が続ける。

「当時のヤクルトでも、池山(隆寛)や広沢(克己)といった右打者は、サイドスロー特有の揺さぶりに長ける斎藤にはキリキリ舞いでした」

 だが、左打者の秦氏は苦にしなかったと言う。

「斎藤と同様に北別府さんも、攻めはアウトコースの出し入れが主体。制球力が高いがゆえに、こちらからすれば狙い球を絞りやすい、という側面もありましたよね」

■伊藤智仁の高速スライダー

 では、そんなヨコ変化の曲がり幅が、さらに大きい場合は、どうなのか。秦氏とはヤクルトの同僚でもあった伊藤智仁の高速スライダーは「あれぞ正真正銘のスライダー」「史上最高」との呼び声も高い。前出の大南氏が言う。

「伊藤さんのスライダーは、今で言うスイーパーに近い球だろうから、右打者にはかなりの効力を発揮します。ただ、対左、つまり対大谷となると、どれだけ曲がってもバットには当たる。カウント球としては使えても、追い込んでからを決めきれないという状況に陥る可能性が高いです」

●セ・リーグ新記録を阻止したのも左打者の篠塚和典

 件の伊藤で思い起こされるのは、衝撃デビューの1年目。93年6月9日の石川県立野球場の対巨人戦だ。0対0で迎えた9回裏に、サヨナラ弾を放ってセ・リーグ新記録の17奪三振目を阻止したのも、やはり左打者の篠塚和典だった。

「スタメンを外れていた篠塚さんにとっては、あの打席が伊藤さんとの初対戦。同僚らが“消える”と口々に言うのをベンチで聞きながら、“みんな、目切りが早すぎるのではないか”と感じていたとか。打ったのは初球の真っすぐですから、厳密にはスライダーを攻略したわけではないですが、左の巧打者ならではの“読み”は当たったわけです」(元スポーツ紙デスク)

■“昭和パ・リーグ”を代表する東尾修

 他方、個性際立つ“昭和パ・リーグ”を代表するレジェンドたちはどうか。

 誌上登板を果たすのは歴代最多、通算与死球165個の“ケンカ投法”で251勝を挙げた東尾修。そして、「私のシンカーこそが本物」「高津(臣吾)や潮崎(哲也)のそれはシンカーというよりチェンジアップ」とも語る284勝の“史上最高のサブマリン”山田久志だ。

「東尾さんが武器としたシュートは、右打者の上体を起こすには有効ですが、大谷のような左打者には効果が薄い。山田さんのシンカーも、左投手の外へと逃げていく変化球と比べると、威力は落ちるでしょう」

■“史上最高のサブマリン”山田久志

 そう分析する大南氏は、一般に「大リーグ勢には有効」とされるサブマリンについても、こう続ける。

「実例が少な過ぎて、まだ検証しきれていない部分もありますが、現時点でアンダースローが、とりわけ国際試合で“有効”とするデータは、実はない。栗山英樹監督が先のWBCで変則投手を一人も入れなかったのも、そうした背景を加味したものと推察されます」

●真っすぐ狙いでも変化球には容易に対応

 また、実際に打席に立つ打者視点では、こんな見方も。秦氏が言う。

「シンカーがよほど強力な場合は別ですが、基本的にサブマリン投手はタテ変化のボールを持っていない。結果として、左打者には内に入ってくる球が多くなり、真っすぐ狙いでも、変化球にはわりと容易に対応できてしまうんです」

■唯一無二の“トルネード投法”野茂英雄

 そうなると、どんなレジェンドといえど、右腕にもはや勝ち目はなさそうだが、識者の2人が共通して「勝機はある」として挙げたのが、ともに大リーグで一時代を築いた右腕2人。まずは、唯一無二の“トルネード投法”とフォークをひっさげて、海外進出の扉を開いた野茂英雄だ。

「奪三振率も高い縦の変化球であるフォークを武器に、低めで勝負ができる。大谷が得意とするベルト付近より少し上のゾーンに注意を払えば、それなりに勝負はできそうです」(大南氏)

 現役時代は野村ID野球の薫陶を受けた捕手でもあった秦氏。捕手として野茂をリードするなら、対大谷の配球は、どうなるか。

「安打ならOKという配球。アウトローでカウントを稼げればベスト。ボール先行になった場合はコースだけは間違わないようにカット系のボールでファールを打たせられるか……」(秦氏)

■ワールドシリーズで“胴上げ投手”となった上原浩治

 続くもう一人は、フォーク&スプリットを武器に日米で活躍した上原浩治。抑えを務めたレッドソックス時代の13年には、ワールドシリーズで“胴上げ投手”になっている。

「上原さんのコントロールはメジャーの歴史に残るほどです。奪三振数を与四球数で割った『K/BB』は、投手の制球力を図るうえで重要な数値なんですが、23年のMLB平均で2・65のところ、上原さんは生涯通算で7・33と文句なし。レッドソックス移籍初年度の13年には11・22という数字を叩き出しています」(大南氏)

 では、どのような攻めで大谷を打ち取るのか。

「唯一の弱点とも言うべき、インハイとアウトローの対角線を正確に攻めます。インハイのストレートでストライクを稼いで、外角低めにフォークを落とす。ただ、タイプ的に長打を浴びやすい球質ではあるので、三振かホームランかという両極端な対決になりそうです」(前同)

 その上原の誇る制球力はプロ入り当初から、フォークさえ自在に操るほど。キャンプの時点で捕手の要求通りにフォークを投げ込む彼の姿には、視察に訪れた“フォークの元祖”杉下茂氏も驚嘆したという。

「杉下さんのフォークは、ご本人が“行く先は球に聞いてくれ”と言うほど。それを上原さんは自在に操った。WBCで初めてコンビを組んだ城島健司も“君が投げてほしいと思ったところにミットを構えていいよ”と言われて度肝を抜かれたと、振り返っていました」(前出の元スポーツ紙デスク)

 誌上“仮想対決”では、レジェンドたちでも、かなり分が悪そうな大谷との真剣勝負 。過去の名選手の偉業も我々の想像も、すべてを超えた大谷のプレーが見られるまで、あと少しだ。

※大谷の成績は2023年シーズンのもの

【画像】打者・大谷翔平「球種別打撃成績」

【画像】「対左投手」「対右投手」成績

【画像】ついに初対決!大谷VSダルビッシュ全球シミュレーション

※図は、上段から打数-安打数、打率、本塁打数です

2024/2/28 7:00

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