小池徹平よ、いつからこうなった!? ピュアイメージはどこへ…ヘンタイ不倫男役への適性とは

 とんでもないやつがいるもんだ。単なる不倫に飽き足らず、本能の赴くままにとことん変態であり続ける。

 毎週土曜日よる11時30分から放送されている『離婚しない男-サレ夫と悪嫁の騙し愛-』(テレビ朝日、以下、『離婚しない男』)で、不倫男を演じる小池徹平は驚異的な存在感をぎらっぎら放っている。

「イケメンとドラマ」をこよなく愛するコラムニスト・加賀谷健が、本作第3話でエスカレートする不倫男の実態を読み解く。

◆ピュアな役柄とは無縁の存在に

 ある作品で演じた役柄があまりにもインパクトがあると、その役がそのまま俳優自身のイメージになってしまうことはよくある。

 例えば、小池徹平は、『ドラゴン桜』(TBS、2005年)や『ホームレス中学生』(2008年)など、青春作品でのきらっきらな純度100%キャラ“だった”ような……。

 そう、でもそれはもはや15年以上も前のイメージに過ぎない。いつまでも過去のイメージをおしつけておくわけにはいかない。何せ現在の小池は、ピュアな役柄とは無縁の存在になってきているのだから。

 一見誠実に見えて実はひどい不倫夫だった『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(日本テレビ、2020年、以下、『ギルティ』)が本格的なターニングポイントになるのかしら。これが意外な魅力を引き出してしまったものだから、不倫男役への機運は俄然高まったに違いない。

◆こんな小池徹平、見たことあったか?

 とはいえ、『ギルティ』の不倫夫役はまだまだ可愛いもの。ほんの序章、序の口に過ぎなかった。伊藤淳史が不倫される夫役の『離婚しない男』では、もう目も当てられない、でも抗えそうにもない、魅惑の不倫男を演じている。

 いやだぁ~、見てらんないよ。なんて言わせないぞ。俺の魅力には誰も逆らえず、抗えない。みんな、とにかく俺だけを見ていろよ……。とばかりに小池の怪しい眼差しが語りかけてくる。

 大手新聞社に勤める岡谷渉(伊藤淳史)の妻・岡谷綾香(篠田麻里子)は、娘の子役事務所のマネージャー・司馬マサト(小池徹平)とえげつない不倫を重ねる。ほんとこんな小池徹平、見たことあったか?

◆ふしだらの権化のような不倫男

 セクシャルな感情が赴くまま、まるで性愛を操り、司る神のような人。相手の身体をひたすら求め、むさぼる。場所や時間も選ばない。それでも満足しない。神どころか、化け物的でもある。

 第3話冒頭、不貞を重ねる事務所会議室にて。綾香に500円玉を渡し、片目にあてさせたマサトが、「視力検査だ」と意気込み、「さぁ、何が見える?」と続ける。でもぼくら視聴者に見えているのは、ただひとつしかない。

 最低最悪、ふしだらの権化のような不倫男の姿。にも関わらず、いけしゃあしゃあと、綾香との未来を透視し、暗示にかけようとする。不誠実が染み付いたこの男の実態とは……。

◆どこまで変態なのか

 不倫を重ねるのは、会議室だけじゃない。何と次なる戦場としてマサトが選んだのは、綾香が夫と愛娘と暮すマンションの同じフロア、しかもわざわざ隣室。どこまで変態なのか、この不倫男。

 渉に気づかれていないか心配する綾香に対して、マサトは気づかれていないと言うけれど、ほんとにそう思ってるのかな。彼が一番興奮するのは、自分たちの不貞を誰かに見られること。

 第1話ラストでは、窓を開けて、隣にいる渉にわざとに聞こえるようにしていたじゃない。見事に脱力しながらも力を込めて、綾香のことを説き伏せようとするマサトの右目が終始微動する。

 それは、きっと他の女性とも関係をもっているに違いないこの男が、不貞と嘘を重ねる心の震えではないのか。

◆“善玉ウイルス”の潜伏期間

 そしてこの不倫男はさらにエスカレート。隣室では飽き足らず、ついに夫婦の空間に侵入するのだ。経路はもちろん綾香による手引によるもの。招いてはいけない、守るべき最後の砦であるにも関わらず。

 これでは自分の身体に自ら良からぬウイルスの侵入を許したも同然。綾香は身も心もマサトのウイルスで毒されつつある。でもご安心を。我らが渉だって黙って侵入させちゃいない。

 親権獲得のため、動かぬ証拠をおさえようと試行錯誤する渉は、謎の探偵・三砂裕(佐藤大樹)の指示で、小型カメラを手に、ソファの下にするりと隠れる。言わば、これは悪を打ち負かす善玉ウイルスの潜伏期間みたいなもの。

 対して、悪玉ウイルスのマサトは、ソファ上で不貞に及び、あたりかまわずに毒をぺっぺとまき散らす。怯むな、渉。負けるな、伊藤淳史。いやぁでも頼りない。最高に鋭い小池徹平の毒牙に抵抗できるのか。ちょっと心配ではある……。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】

音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

2024/2/10 15:46

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