Kinki Kidsが26年目に。約束の地を守り抜く「責任と決意」

 KinKi Kidsが年末年始のコンサートツアー「KinKi Kids Concert 2023-2024 Promise Place」を開催し、東京ドーム(12月16日~17日)、京セラドーム大阪(1月1日~2日)と全4公演を完走した。ツアータイトルは、最新アルバム『P album』にかけてKinKi Kidsとファンとの“約束の場所”を表わしたもので、結成26年目となる新たな1歩を踏み出した。

◆円熟味を増したパフォーマンスで観客を魅了

「皆さん、ブチ上がってまいりましょう!」

 12月17日に行われた東京ドーム公演2日目は、光一の叫びからスタート。ファンの手拍子とともにクラシックカーに乗った2人がステージに登場。ド派手なオーニングとともに最新曲「シュレーディンガー」などを披露すると、ドームに集まった5万5000人の観客から大きな声援が飛んだ。

 キンキにとっては1年ぶりの東京ドーム公演だが、コロナ禍での規制がないなかで開催するコンサートは久しぶり。そのため、今までとは違うオープニングにしようと演出にオープンカーを取り入れたそうで、光一が「ちなみに値段が1台5000万円だって。剛くん、買っちゃえば? アメ車、好きじゃない」と薦めると「すごい好きやな~、僕にものを買わそうとするのが。『あ、これいいな~』で買わないですよ。白菜みたいに(笑)」と返答。さらに光一が、「そんな高額な車が(オープニングで)何台かあったでしょう。全部あわせたら3億円ぐらい」と明かすと会場がどよめく。すると、剛が「オープニングからこんなにお金の話をする予定じゃなかったんですけどね」と笑いながらツッコんだ。

 続いて、ニューアルバムに収録されている楽曲「BANANA」「Through the night」「アン/ペア」などを披露。年齢を重ねて円熟味を増したパフォーマンスで観客を魅了した。

 そんなしっとりとした雰囲気もMCでは一転するのがキンキのコンサートだ。「股ゴムの話」「健康診断の話」「『ゆっくり休んだでください』発言をめぐるひと悶着」など、テンポよく爆笑トークを展開。

 MC終わりには剛が「この流れでも関係なくバラードを歌うのがKinKi Kidsです」と話すと、「こんな感じで26年やってきました」と光一。「もう君以外愛せない」をはじめ「銀色 暗号」「硝子の少年」など、2人の美しい歌声がドームに響き渡った。

◆単独アーティストによる東京ドーム最多公演数を更新

 1997年にCDデビューした翌年からコロナ禍を除いて、東京ドーム公演を毎年開催してきたKinKi Kids。この日は通算66回目で、単独アーティストによる東京ドーム最多公演数を更新した。

 その数字に光一が「もうさ、計算しちゃうよね」と切り出すと、すかさず「え、計算? また電卓たたき始めた?」とニヤリとする剛。「俺は累計で1000万人以上の方が見に来てくださったという話をしたかったの!」と光一。それにも剛が「で、計算する?」とボケを被せると、光一は「もう勝手にやってくれ!(笑)」とシャウト。そんな2人のやりとりをファンはほほ笑みながら見守っていた。

 ほかには、‘20年に行った配信限定コンサートに参加して花咲徳栄高等学校 吹奏楽部のOG・OB&現役生たちと「シンデレラ・クリスマス」で再共演。また、「愛のかたまり」「スワンソング」など、冬に相応しい名曲が盛り込まれたセットリスト。本編のラスト曲「フラワー」では、観客にマイクを向けると大合唱が起こって会場が一体となった。

◆「2人でステージに立っていること、今のこの光景がすべて」

 故・ジャニー喜多川氏による性加害問題で所属事務所が大きく揺れ動いた1年。そのなかで、光一は所属事務所の年長グループとして、ファンだけでなく、後輩たちのことも考えながら、自身の言葉で発信してきた。

 最後の挨拶で、光一は「こうして今年もドームのステージに立てることを嬉しく思っております。今は不安に思うこともある日々かと思いますけど、こうやって2人でステージに立っていること。今のこの光景がすべてだと思ってください。これからも皆さんとの時間を1ページ、1ページ刻めたらいいなと思っております」と話した。

 その言葉を頷きながら聞いていた剛は、「皆さんとこうして一緒にいれる時間をどうすれば繋ぐことができるのか、毎日、一生懸命に考えています。そして強い気持ちのなかで……」と言葉に詰まり、溢れる涙を抑えるようにステージに背を向ける。

 気持ちを整え直してから、再び前を向き、「一緒に美しい未来にいけたらなと思っております。どうもありがとうございました」と頭を下げた。

 観客から温かい声援と拍手が送られると、光一は「いいなぁ。俺もそういう風にすればよかった(笑)」とぼそり。「でも、今の言葉が本当にリアルな声だと思います。さきほども言いましたが、この楽しい時間をどうか来年も迎えられるように。それまで大切にしまっておいてくださればいいなと思っております。また、お会いしましょう!」と、言葉を添えた。

 ファンとともに歩みを続けてきた約束の地を守り抜く責任と決意を固めた、26年目のKinKi Kidsに今年も注目していきたい。

取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧

2024/1/6 8:51

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