糖尿病で悩んでいた71歳女性「平手打ち療法」の最中に死亡(英)

英ウィルトシャー郡のウィルトシャー警察は現地時間11月30日、米カリフォルニア州クラウド・ブレイク在住のシャオ・ホンチ(Xiao HongChi、60)を、犯罪人の引渡しの請求により訪問中のオーストラリアからイギリスに入国後にゲイブルクロス拘置所へ連行して起訴したことを発表した。

シャオは2016年10月20日に英ウィルトシャー郡にあるイベント会場「クリーブ・ハウス」で「平手打ち療法」のワークショップを開催し、その最中に当時71歳のダニエル・カー=ゴムさん(Danielle Carr-Gomm)を死亡させたとして重過失致死傷罪で起訴された。

亡くなったダニエルさんは当時、1型糖尿病を患っていた。彼女は毎日インスリン注射をする必要があったが、注射針に対する恐怖が大きく、いつも苦労していたという。ダニエルさんは、代わりの治療法や自然治癒力を高めると言われるホリスティック治療について熱心に調べていたそうだ。

そんな中でダニエルさんは、シャオが主催するワークショップの「パイダ・ラジン療法(paida lajin therapy)」と呼ばれる「平手打ち療法」のワークショップに参加することにした。実はそれ以前の2016年7月にブルガリアで行われたシャオのワークショップにダニエルさんは参加しており、当時の彼女のブログには、平手打ち療法を受けて身体の広範囲が痣だらけになって毒素が出たと感じたことや、2日間インスリン注射を打たずにいたところ血糖値が急上昇し、インスリン注射を再開したことなどを明かしていた。また、今後のワークショップにも参加して病気が完全に良くなることを願っているとも綴っていたそうだ。そこでダニエルさんは、951ドル(約13万8千円)を払って2回目のシャオのワークショップに1週間参加したが、その最中に亡くなった。

パイダ・ラジン療法は、シャオ・ホンチが提唱する中国伝統医学と道教、仏教の哲学を組み合わせた自己治癒力を高める療法で、謳われている効能には糖尿病の治癒または緩和も含まれている。手で身体のさまざまな部位を皮膚が赤らんで痣ができるほど叩き、これによって血液中の毒素が排出されるという。しかしながら、この療法については専門家らが「単に血管の損傷や打撲を引き起こすだけだ」と主張している。

ダニエルさんの息子マシュー・カー=ゴムさん(Matthew Carr-Gomm)はメディアのインタビューに応じ、母親であるダニエルさんについてこのように語っていた。

「母はこの病気を自分自身で治そうと無我夢中になっていました。母はいつも健康的なライフスタイルを維持しており、充実した人生を送ることを妨げるものは何もないと断言していました。そんな母はここ数年、パートナーと素敵な家に住み、世界中を旅していたんです。母の死は家族にとって大きなショックでした。」

実はダニエルさんが亡くなる前、シャオはオーストラリアのシドニーで開催したワークショップで、糖尿病を患っていた7歳の少年が死亡した件についてオーストラリア当局から取り調べを受けていた。ウィルトシャー警察によるとシャオは起訴された後、今月1日にソールズベリー治安判事裁判所に出廷したという。

画像は『New York Post 2023年12月1日付「Self-professed healer charged in death of grandmother at ‘slapping therapy’ workshop」(Carr-Gomm family / SWNS.com)(Change.org)、2023年12月5日付「Model ends up engulfed in flames after trying treatment to cure stomach issues in Thailand」(ViralPress)、2019年4月11日付「Patient claims disgraced dentist fractured her jaw: ‘I started screaming’」(Facebook)』『The Daily Star 2022年7月1日付「‘Reckless’ vegan mum starved baby son to death on diet of only raw fruit and veg」(Image: NBC2)』『The Sun 2019年7月22日付「‘KILLED BY A MASSAGE’ Pregnant model, 25, dies and loses unborn baby six months after falling into a coma during foot massage in Thailand」(Credit: VIRAL PRESS)』『Capital City Police Peshawar 2022年2月8日付X』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

2023/12/8 11:31

この記事のみんなのコメント

3
  • 海外のことはわからないけど…日本では、医者以外の者の医療行為は法律で禁止されてます。ホリスティック“治療”っていうんだから医療行為なんだろうね。で、この犯人は医者なの?日本にも、オカルト系施術をする整体師とかいるけど…奇跡みたく言われてるときは、評判もさることながら、実際に治った人とかを直接見て判断した方が良いと思うよ。

  • 同感自分も入院してたとき抗癌剤がかなり糖が上がるからインシュリンの注射血糖値が高いと射たれてたがほとんど痛くなかったからね、そして民間療法?そんなのあるんだこの女の人は注射嫌いなのは不幸だったね。

  • 1型糖尿病は特にインシュリンを手放してはダメ。民間療法にすがる気持ちもわかるが、民間療法で良くなる事はない。

こちらも注目

新着記事

人気画像ランキング

※記事の無断転載を禁じます