米歌姫、公演会場でのファン死亡に沈痛。 現地気温40度も「水の持ち込み禁止」が物議

 今月17日(現地時間)にブラジルのリオ・デ・ジャネイロ行われたテイラー・スウィフト(33)のコンサートで、23歳の女性ファンが死亡。さらに観客1000人が脱水症状などで倒れたと報じられている。その日の現地の気温は40度前後まで上昇、会場内は60度の体感温度だったとされているが、水の持ち込みは禁止されていたという。

◆観客の「命と健康を危険にさらした罪」で捜査開始

 23歳の女性アナ・クララ・べネヴィデスさんは、今月17日に開催されたテイラーのリオ・デ・ジャネイロ公演で意識を失い、会場の救護所へ。その後、病院へ救急搬送されたが、後に死亡が確認された。コンサート中に心臓発作、もしくは心停止を起こしたとの報道もあるが、死因の特定までには時間がかかるとみられている。

 米NBCニュースによると、今回の件を受け、ブラジルの警察は公演を運営する会社「Time4Fun」に対して捜査を開始。べネヴィデスさんを含む観客の「命と健康を危険にさらした罪」で調査が進められていることになったと伝えられている。

 23日には運営会社がコメントを発表し、「異常な暑さの中で行われたコンサートの会場において、観客の安全を守るために別の対策を講じるべきでした」とファンに謝罪した。

◆「夢をかなえるために出かけていき、死んで帰ってきた」

 亡くなったベネヴィデスさんの父ウェイニー・マチャドさんは、現地紙『フォーリャ・デ・サンパウロ』の取材に応じ、「たった1人の娘を失いました。娘は心理学を学び、来年4月に卒業予定でした。娘を亡くした痛みをどう言い表せばよいのか。あの子は夢をかなえるために出かけていき、死んで帰ってきたんです」と吐露。

 また、今回の出来事がなんらかの「過失」が原因で起きたのであれば、関係者が「罰せられるべき」と発言。このような悲劇が二度と起こらないように責任を追及していくとしたうえで、こう訴えた。

「実際に、水を持ってスタジアムに入場することは禁止されていたのか。救護に過失があったのかどうか。こうした事実を明らかにしてほしい」

「スウィフトさんがファンに水を渡そうとしていたことは知っています。けれども、この規模のコンサートにしては合理的ではありません。もう娘を取り戻すことはできません。しかし、過失が確認された場合、誰かが罰せられるべきだと考えています。そうすることで、このようなことが他の誰にも起こらないようになるからです」

◆会場内は“体感温度60度”。水の持ち込みは「禁止されていた」

 ここ最近、記録的な熱波が続いていたブラジル。当日のリオ・デ・ジャネイロの最高気温は、40度を超えていたという。

 亡くなったベネヴィスさんは、公演開始前に会場外で長時間待っていることをSNSに投稿。その時の会場周辺の気温は35度であると明かしていた。そして会場にようやく入れた後、前列の席で観覧していたものの、しばらくして体調が悪くなり気絶。会場で手当てを受けたのち、病院に搬送されたが、間もなく死亡が確認された。

 気温の高さに加えて熱気や湿度も加わり、場内の体感温度は60度近くに達していたとも報じられている。

 そんな過酷な状況だったにもかかわらず、セキュリティ上の理由から会場に液体の入ったボトルを持ち込むことは禁止され、場内でも水の配布や販売がじゅうぶんに行われていなかったという。そのため脱水症状を起こす人が続出し、1000人近いファンが脱水症状で倒れたと伝えられている。

 ファンがSNSに投稿した動画には、公演中、観客席の一部から水を求める声が上がり、テイラーが水を配布するよう会場スタッフに指示している様子も。さらにテイラーがステージ上から水の入ったボトルを観客席に向かって投げる姿もうつっている。

 また、コンサートの間、テイラー本人も「明らかに苦しそうにしていた」ともいわれている。

 ファンの1人が撮影した映像には、酷暑のなかパフォーマンスした後、息切れで苦しそうにしている姿がカメラに収められている。

◆テイラー沈痛「このようなことが起こるなんて……」

 テイラーは翌18日(土)、その日に予定されていた公演を直前で中止。「このお知らせをスタジアムの楽屋で書いています。今夜のショーはリオの極端な気温を理由に延期することにしました」「私のファン、他のパフォーマー、スタッフの安全と健康が常に第一だからです」と告知した。

 ベネヴィスさんが死亡した17日に行われたコンサート終了後には、インスタグラム・ストーリーに手書きのコメントを発表。「今夜、一人のファンが私の公演で亡くなったとお伝えしなければならないことに、心が打ち砕かれています」としたうえで、つらい胸の内を打ち明けた。

「どれほど悲しみに打ちひしがれているか、言葉にすることさえできません。彼女が本当に美しく、とても若かったという事実以外に、私が知っている情報はありません。この件について、ステージで話すことは恐らくできないでしょう。話そうとするだけで、悲しみでいっぱいになってしまうからです」

「彼女の死を深く受け止め、ご家族や友人たちに心からの哀悼の意を捧げます。このツアーをブラジルで行うことが決まったときには、このようなことが起こるなんて全く想像していませんでした」

 その後、ブラジル公演は暑さ対策が取られたうえで19日より再開し、26日をもって終了した。最終日には、ベネヴィスさんの家族がVIP席に招待され、テイラーとも面会したと米誌『ピープル』などが伝えている。

 今後、現地の警察がベネヴィスさんの死因や運営会社の対応について検証を進めていくことになっているが、多くのメディアが「気候変動によってもたらされる熱波への対策が、各国で急務になっていることが浮き彫りとなった」と報じている。

<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>

2023/11/29 8:44

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